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詠う者、斬る者  作者: 杞憂涼弥
ミドルスクール
1/5

プロローグ


きっと、この世界に住んでいる人々の記憶には無いお話。

正確にいうならば、聞いたことはあるかもしれないが、事実としては認識されず、作り話と思われているお話。



何十年も何百年も何千年も昔のこと……、この世界は1度終わろうとしていた。

この世界に存在する武器という武器、魔法という魔法、全てを駆使してもなお、消滅させることのできない姿、形の特定できない、得体の知れないとてつもない大きさの何か。


そのとてつもない大きさの何かは、人々を殺し、喰い、ひたすら世界を壊し続けた。


敵うものなどあるはずがなく、誰もが世界の終わりを悟った。


その時―――


目を焼くような閃光が空を駆けた。


そして微かに鼓膜を揺らす歌声。いや、歌声とは違う……まるで吐息であるかのような静かな旋律。


その旋律に合わせ飛び出した人影は、そのとてつもない大きさの何かへと一直線に、まるで吸い込まれているかのように向かっていく。


そのままとてつもない大きさの何かへと斬りかかる人影。斬りかかると言っても、斬るための道具は手にしていない。なのに、見ている人は口を揃えてこう言うのだ。


確かに斬りかかっていた、と。


そしてそのとてつもない大きさの何かにわずかに触れた、その刹那―――


それは跡形もなくその場から消滅していた。


その消滅と共に、旋律を奏でていた人影も、斬りかかっていた人影も、世界から姿を消していた。


その人物のことを知る人はいなかった。その行方も分からなかった。全てが謎に包まれているその二人のことを、人々はこう呼んだ。


詠う者[ウィスパー]


斬る者[クリッパー]


と。



そして現在―――


そのお話は、まるでおとぎ話であるかのように、ふと思い出した時に人々によって語られるのであった。

それがこの世界で起きていた、実際の話であることを知るものはいない。


恐怖に怯えることも無く、今日も人々は穏やかな毎日を過ごしている。



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