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詩人アルディスの観察日記  作者: ボタン
第四章 アルディス暇を持て余す
24/25

【日記】金剛石の月 1日目

【金剛石の月 1日目】


 日記を書き始めてから半月程たちました。

 日々の習慣として、こうして文字を記すことにも随分慣れてきたと思います。

 ただ、最近困った事が一つありまして。

 なんと、特に書くことが無い!


 とはいえ、全く何も書けないというわけではありません。

 例えば、その日思いついた詩についてとか、今日はどこに行ったかなんてことは全然書けます。

 しかし、それでは駄目なのです。

 私が今書いているものは、日記は日記でも観察日記です。

 そして、観察の対象は勇者候補のリエトさんです。


 私は王命を受けてこの観察日記を書いています。

 我が国ダータリアはヘルムフリート殿下のやらかしで、期限までに勇者を生み出し、その英雄譚を公表しなければいけないためです。

 観察日記は勇者の英雄譚を作るためのたたき台。

 それなのに、そのリエトさんのことを書くことがほとんど無いのです!


 原因は分かっています。せっかく勇者候補としてリエトさんを連れてきたのですが、そこから事態が全く止まってしまったからです。

 そもそも、リエトさんを連れてきたのは完全なイレギュラー。

 フェナ王女が思いつきで城から飛び出して連れてきたのがリエトさんです。


 国を左右する会議を幾度も経験している人達がリエトさんをどうするかで意見がまとまらず、はや半月。


 あまりの停滞ぶりに、この前リエトさんと会った時に「俺、これからどうなるのかな?」

 と、不安そうに聞かれてしまいした。ああ、可哀そうなリエトさん!

 私は、城に戻ったすぐ後に実家から帰還命令を受けたため、少し城を離れていました。

 それから、城に戻った直後に会ったリエトさんお言葉に私は心底同情してしまいました。

 詳しく話を聞くと、張本人のフェナ様はまだ謹慎中で会えない上、知っている人がほとんどいない城内でどう振舞えば困っているようでした。

 ただ、盗賊退治を手伝ってくれた客人らしい。と事情を知らない方々からは思われているらしく、城の中に居て変な目を向けられること無いようで、そこは安心しました。

 気の毒に思った私は、良かったらいつでも私の部屋に遊びに来てください。最近、覚えた詩でも聞かせますよと伝えておきました。

 これで、少しは気が楽になればいいんですが。


 とにかく、事態が動かないとリエトさんは動けない。そして私が観察日記に書く内容が生まれません。

 この観察日記を元に小説家に見せる用に書いた日記(自分でもなんて面倒なことをしているんだと思っています)なんて、元の観察日記に書いた愚痴やあまりに正直に書いたさわりのある部分を省いているため、小説家に「同じ様な内容が続くけれど、もっと面白いこと無い?」などと言われるしまつ。


 まったく、早く何でもいいから新しい指標を会議で決めて欲しいものです!

 確かに、今会議室で顔を突き合わせている方々はどなたも一癖も二癖もある方々。

 しかし、英雄譚のお披露目までの期限は待ってくれません。

 どうか、明日の観察日記は食事の内容か天気以外に変化のあるものでありますように。

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