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どうにも間が悪くて。

作者: 福田光一

 娘の誕生日だが、どうにも体が重い。あちこち痛い。息が切れる。

 ケーキを買いにいったが、店の中でやたらと咳をしてしまった。マスクをしてはいたが、迷惑な客であったかも知れぬ。だがしかし、売り子さん相手にいきなり値引き交渉をはじめるオッサンがいたので私の咳の存在感はそれほどでもなかったようだ。

「こちらの商品は賞味期限が短くなっておりますので」

「じゃあ負けてくれんの」

「あ、いえ、あの」

そういうやりとりはしかし、風邪気味で体のだるい人間には、顔面にケーキ押し付けて窒息させてやろうかと思う程度には鬱陶しいものであった。

 家に戻りケーキに火をつけ、ハッピーバースデーを唄い、見事に吹き消したところまでで限界に達し、ケーキを頬張る娘たちをほったらかしにして携帯をいじって気を紛らわせる。さすがに、まだわけがわかっているようでわかっていない子供たちの相手をする忍耐力は、病魔によって蝕まれてしまってうまく働かない。子供たちはケーキに夢中であったからまあよかった。

 どうにも間が悪い。休日に外で遊ぶ約束をすると、たいてい雨が降る。各種行事の際には必ず仕事が入る。すべて私の行いの悪さが原因だろう、ごめんなさい。

 それでも更に頑張って子供たちを風呂に入れると、少し体が楽になった。体温を図ると三十八度二分。三八度を超えると、辛いの痛いのがわからなくなるのだ。

 これ以上上がるか下がるか、今夜が峠。大袈裟ではあるが、明日も休日だから親子関係にとっては割と切実なのである。

 

 



 

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