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魔法少女ぜんぶのせ☆ ~マジカルハーレム、進行中!~  作者: 夏目八尋
第1章 みんな魔法少女だった
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第06話 妹(やる時はやるタイプ)

毎度応援ありがとうございます。

頑張りますのでますます応援よろしくお願いします!!


たとえ普段はポンのコツだとしても。

「新たな、魔法少女……!?」

「なに、あの魔法……ワタシの知らない魔法?」


 目的の人物は、同期とならんで急変した状況を前に呆けていた。


「つむぎ! それと……えーっと、リリー!」

「助手くん?!」

「な、なにかしら!?」


 声を張り、呼びかければ、幸いにもすぐに気づいてこちらを向いてくれた。


「二人とも聞いてくれ!」


 捕まってて手も足も出ないが、出すべきは……口だ!



「つむぎはとにかく安全な場所に退避してくれ! 命大事に!」

「わ、わかった!」

「そしてリリー……って呼ぶぞ! キミがこの状況を作った元凶だ! その自覚はあるな!?」

「うっ、あ、あるわ……!」

「よし! それじゃあその上でお願いだ! みはりちゃんが時間を稼いでくれてる今のうちに、俺の葉子を何とか元に戻してくれ!」

「えっ」


 俺からの指示に、リリーがギョッと目を剥いた。


「あの観葉植物は、家族の思い出の品なんだ! できるだけ傷つけず、元に戻してくれ!!」

「! 家族……」


 ことここに至って無茶ぶりなのは自覚してる。

 壺とか窓とか散々割れてんだからいまさらってのもその通り。


 でも!

 葉子は、母さんからもらった大事な思い出の品だから……諦めたくない!



「わ、ワタシ……」

「頼む!」


 動かせる限りで頭を下げて、俺は真摯にお願いする。


「今頼れるのは、キミだけなんだっ!」

「!」


 俺の叫びが通じたのか。



「……っ!」


 リリーの瞳の輝きが、強くなった気がした。



      ※      ※      ※



「俺が考えるに――」

「モッ!」

「――あっ!!」


 俺が口を出せたのはここまでだった。

 騒がしくしてたのが葉子にバレ、俺は猿轡みたいにつるを噛ませられ黙らされる。


「むぐぐっ!」


 身をよじって暴れようとしたら、手足をさらにきつく縛られ身動きすら封じられる。


「もうも!」

「モッ! モー♪」


 もごもご喋ったら同じ言語を話したと思われて、葉子が嬉しそうにしていた。

 状況は全っ然よろしくはないんだが、それはそれとして長く世話した情が目の前の愛らしい姿に絆される。


 やっぱり俺は、葉子が壊されるところを見たくない。

 母さんとの思い出だけじゃなく、俺自身がこの子と繋がった縁を、切り捨てられない……!



「陸人さん!」

「モモモー!!」


 みはりちゃんが手を伸ばすが、新たに伸びていったつるに邪魔され近づけない。

 こうなるともう、俺自身が助け出される可能性はほぼないと言っていい。


「助手くーん」


 で、同期は何でダイニングキッチンの向こうにいるんだろう?

 そっちじゃますます逃げ場がないのでは?

 いや手は振らなくていい。こういう時だけパリピか。



「モモモーーーー!!」

「!?」


 突然の咆哮……咆哮?

 とにかく葉子がこれまでにないくらい大きな音を立てて、勢いよくつるを振り回し始めた。

 当たり構わず振り回し、壁や床、天井にぶつけてはブンブンと暴れさせる。


 何事かと思えば、その原因はすぐにわかった。


「……むむむ!」


 今回の騒動の元凶、妹(妹ではない)、リリーだ。

 彼女はこちらに両手を掲げ、何やら球状のバリアみたいなのを張っていた。


 それに何度も葉子が攻撃をして、弾かれた結果が大暴れになっていた。



      ※      ※      ※



 振るわれるつるのムチ。

 受け止めるバリア。


「モモモ!」

「むむむ!」

「モモモ!!」

「むむむ!」

「モモモーー!!」

「むむむ!」

「………」


 …………いや、あのバリア強すぎないか?



「モーモーモー!!」


 シュバッバチンッ!

 シュババッバチンッ!!


 攻勢を増していく葉子のつるたちが、あっさりと弾かれていく。

 対してリリーの張ったバリアには、一切のキズが入ってない。


 代わりにこの部屋はぐっちゃぐちゃだが!



「……だいたいわかったわ」

「モッ!?」

「まぁ、わたしのしでかした結果だもの。冷静に調べる時間さえあればどうとでもできるわよね」


 バリアの中、絶対的な優位を作ってリリーが何事か口にし始める。

 不穏な気配を感じ取ってか、葉子がさらに激しく攻撃し始める。


「うわー! 助手くーん!!」

「大丈夫ですか!」

「キミは! すまない!」


 同期の悲鳴が上がったが、どうやらみはりちゃんが助けてくれたらしい。

 同期は逃げなかった自業自得とはいえ、どうか二人ともケガなく無事でいて欲しい。


 多分、もうそろそろこの状況は終わるから。



「モッモッモ!!」

「……ごめんなさい。あなた、あの人にとっっっても大事にされてた物だったのね」


 バリアはそのまま。

 突き出していた手を引き、リリーが腕を振る。



「マジカル・マジック・マギア・マナ!」


 シャボンのような光の玉が、部屋中に広がっていく。


「魔法の国のプリンセス、リリーネイア・デカルマーニ・エターネーヴァの名の下に命じます!」

「!?」

「元に……戻れ!!」


 瞬間!

 部屋を、家を、すべてを包み込むように……光が膨れ、染め上げて。



「モー!!」

(これは……また、綺麗な……)


 俺自身も光に包まれながら、目の前の幻想的な光景に目を奪われて。


「モッ!」

「ぐぇっ」


 それは最後の抵抗か、はたまた偶然の事故か。

 葉子のつるにキュッと絞られ、俺の意識はあっさりと、闇深くへと落とされたのだった。



      ※      ※      ※



「…………はっ!?」

「気がついたかね、助手くん」


 目覚めると、見下ろす同期の影が視界を覆っていた。

 頭の後ろの柔らかい感触からして、どうやら膝枕されているようだった。


「あぁ、待ちたまえ。そのままそのまま」


 起き上がろうとしたら押さえつけられ、膝枕を続行される。

 首に痛みがはしったのもあって、大人しく身を預けた。



「ここは?」

「キミの家さ。ほら、見てごらん」


 頭を支えてもらいながら、辺りを見回す。


「え?」


 そこは確かに、俺の家のリビングだった。


「どういう、ことだ?」


 ただし。

 さっきまでの大乱闘の傷跡が、いっさいがっさい無くなっていた。

 リビングの隅っこに、ちゃんと葉子も無傷で置かれていた。



「魔法だよ」

「え?」

「リリーくんの魔法さ。あれがキミの観葉植物だけじゃなく、家中の騒動の痕を元に戻したんだ」

「元に、戻した……」


 ぼんやりとした頭で思い出す。

 確かにあのリリーって子は、魔法を使うときにそんなことを言っていた気がする。


「すさまじいな、本当に」

「つむぎ?」

「これが、私が探し求めた魔法少女の魔法の力とは……予想こそしていたが、実際に目の当たりにするとこうも圧倒されてしまうものなのだなぁ」


 胸が傘になってるせいで、つむぎの顔が見えない。

 だけれどその声音から、彼女の並々ならぬ想いがあるのを、なんとなく察した。



「陸人さん! 目を覚ましたんですね!」

「おはようお兄さ~ん。もう夜だけどさ~」


 名前を呼ばれて目を向ければ、キッチンの方から大きな鍋を抱えたみはりちゃんと、その頭にぴこょんと乗ってる喋る黒猫さんがいて。


「食べられますか? あの、一応……(たつみ)さんから許可はもらってキッチンに立ったんですが」

「あの人、目覚めるなり“今すごいインスピレーションが沸いたから部屋にこもる”って言ってアトリエの方に行っちゃったけど、大丈夫~?」

「あー、それなら大丈夫だ。多分」


 この話しぶりからすると、父さんは正気に戻ったっぽいな。

 閃いたらアトリエにこもるのはいつものことだし。


 それよりも、今は。



「みはりちゃん、キミは……」


 びっくりご近所さんに気になることを聞こうとした、その時だった。


「あ、あの! ちょっと、いいでしょうか!」

「あ」


 多分、俺が意識を失ってる間も、ずーっとそこで待っていたのだろう。


「え、と、その……」


 ソファに座らずカーペットの上に正座して。


「……ご迷惑、おかけしました!!」


 リリーが俺に頭を下げて、そのままびっくりするほど美しい流れで、土下座に移行した。

土下座は伝統芸能。


応援、高評価してもらえると更新にますます力が入ります!

ぜひぜひよろしくお願いします!!

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