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魔法少女ぜんぶのせ☆ ~マジカルハーレム、進行中!~  作者: 夏目八尋
第1章 みんな魔法少女だった
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第03話 妹(妹ではない)

毎度応援ありがとうございます。

頑張りますのでますます応援よろしくお願いしまーす!!


混沌は、変わり果てた父だけにとどまらず……

 拝啓、ご近所さん。

 あなたの占い、今日も大当たりでした。


「家族4人はみんな仲良し☆ チュッ☆ そうだよね、リリー?」

「え、あ……そ、そうそう! みんな仲良しよ! ね! お兄さ……兄さんっ!」

「親類縁者に誰一人として紫髪はいないんだよなぁ」


 父さんはバグってて、なぜか妹を名乗る不審者がいます。



(一体全体何がどうしてこうなったんだ!?)


 話の前後の繋がりがさっぱり読めない。

 妹(妹ではない)は一目見て普通じゃない見た目をしているから、間違いなく怪しい。おそらくこの状況を生み出した原因だと思われる。

 だが、変なコスプレ少女がいたとして。どうやったらあの物静かな父を、ここまでおかしくさせられる?


(無駄にテンション高いし、何かの薬でも嗅がされた? それともまさかこれ、催眠ってやつだったりするのか!?)


 混沌(ケイオス)と呼ぶにふさわしいワケのわからない状況に、思考が空回りしているのを感じる。

 とにかく冷静に、心を落ち着けて……。


「っ?」


 不意に、服の裾をギュッと掴まれる。

 目を向けると、そこには張り詰めた顔の同期がいて。



(……そうだ! 今の俺が一番にやらなきゃいけないこと。それはつむぎをひとまず安全な場所へ連れ出すことだ!)


 異質な状態にある父、妹を名乗る不審者。

 こんな先の見えない状況に、いつまでも彼女を置いてはおけない!


「つむ……おあっ?!!」


 声をかけようとしたその瞬間、掴まれた腕に重しがかかる!

 それは誰あろう調部つむぎその人が、俺の腕をギューッと握って、動きを制止した結果で。


「なっ」


 そこからは瞬間の出来事。

 つむぎがずいっと俺の前に飛び出して、不審者の美少女と相対する。


「待っ」


 何が起こるかわからない以上、迂闊なことをするべきではない。

 そう思って止めようとした俺に先んじ、つむぎが口を開く。



「キミ! 稀人(まれびと)支配(しはい)型の魔法少女(まほうしょうじょ)か!!」

「は?」

「へ?」


 つむぎの口から勢いよく飛び出てきた言葉は。

 この場において、誰にも理解できるものではなかった。



「ようやく、ようやく見つけたぞ! 不思議ノ(ふしぎの)市に現存する魔法少女!!」


 当の言葉を吐き出した本人だけはまるで我が世の春が来たかのような笑顔で、オレンジの髪から火の粉でも飛び出しそうなくらいヒートアップしながら歓喜に震えて白衣をはためかせていて。


 そんな同期の狂気すら孕んだ姿に俺は。


(け、混沌……!!)


 ご近所さんの占いがまだ終わってないことを悟った。



      ※      ※      ※



「え、は?」


 同期つむぎの豹変は、目の前の美少女にも予想外だったらしい。


「な、なに?」

「魔法少女だよ! キミのことだ!!」


 驚き戸惑う彼女の手を素早く掴んで握手をすると、そのままグッと目と鼻の先まで顔を寄せ。


「私の名前は調部つむぎ! キミの名前は!?」


 これまでのやり取りすべてを無視して真正面から名乗りを上げる。



「ワ、ワタシは……」

「リリーと呼ばれていたね! ならば御伽守リリーくんかな? だがしかしこれは仮名だろう? 本当の名前はなんて言うんだい? そしてキミはいったいどこから来たのかな? 星の海の向こうから? それとも天空の楽園から? 水中? 地中? 秘境魔境異界異次元過去未来、キミたちのような種族が暮らす隠れ里のような場所があるのかい!?」

「ひぇっ……な、なんなのこの人ーー?!」


 お相手ドン引きである。

 さっきまで得体のしれない存在に見えていた不審な美少女さんだったが、ただただ怯えて顔を青くしている姿を見ると、ついつい同情的な目を向けたくなってくる。


 今みたく、ひとたび探究者としてのスイッチが入ったつむぎは止められない。

 っていうか、言ってることの1割も理解できない以上、俺にはどうすることもできない。



「助手くんのお父さんは平常ではないというが、これはキミの魔法の力かな? 洗脳? 記憶改ざん? この結果は魔法抵抗が発生したのかキミの魔法の質によるものか、ああ、興味が尽きないね!」

「ちょ、ちょちょちょ! 待って! 待ちなさい! や! 近い!! ……あ、あの! そこのアナタ! アナタ!!」


 質問攻めと自己解釈を繰り返すつむぎに捕まったリリーさん(仮称)が、思わずといった様子で俺に目線を送ってくる。

 捨てられた子犬みたいなきゅーんっと瞳をウルウルさせての救助要請。


 俺はそっと、視線を逸らした。



「ちょっ! アナタ」

「リリーくんリリーくん! 質問に答えておくれ! さぁ、さぁさぁさぁさぁ!!」

「いやーーーーー!!」


 再びつむぎの質問攻めに吞み込まれていく不審な美少女さんの断末魔を耳に入れながら、俺は俺で解決するべき存在へと目を向ける。


「ふふ、リリーと彼女は仲良しさんだねっ☆」


 もうダメかもしれないけど。


「ああー、父さん?」


 とにもかくにも対話を試みようと、改めて声をかけた――その時だった。



「あー、もう! こうなったら力づくで!」

「!?」


 不穏な言葉に、とっさの判断で声の主の方を見る。


「なっ?!」


 そこにはおよそ現実的じゃない光景が広がっていた。



「マジカル・マジック・マギア・マナ!」


 何事か呪文のようなものを唱えるリリー(仮称)が腕を振っている。

 その指先から淡い光のようなものが奔っては、シャボン玉のようにたくさんの丸い輝きを放ち辺りに散りばめていって。


「そこの植物! こいつらみーんな、捕まえて!!」


 一転。

 命令とともに彼女が指さした先へと輝きたちは殺到し。


「あっ!」


 玄関の隅にひっそりと飾られていた観葉植物(母さんのお土産・俺が普段から大事にお世話している)を包み込み。

 次の瞬間……!



「! モモモーーー!!」

葉子(ようこ)ーーーーーーーー!!」



 それは突如として意志を持ち動き始めた。



      ※      ※      ※



 魔法。

 さっきまでのつむぎの話から察するに、コレはそういうものだと思われる。


 魔法少女。

 俺の知る限り、日曜朝にやってたり、最近じゃどこかの町とグル……コラボして大々的に話題になってたりする――“創作”の話だ。



「モモモー!」

「よ、葉子っ!!」


 だが今。

 それは現実として俺の前に存在している。


 観葉植物が意思を持ち、枝葉や絡んでるつるなんかを伸ばして鞭みたいにビュンビュンさせている。


 こんな非常識で非現実的な現象を、魔法と呼ばずして何と呼べばいいんだ!



「はっはっは。こらこら、観葉植物がそんなに暴れちゃダメじゃないか☆」

「父さん!?」


 異常な状況にもバグった父さん(多分これも魔法、魔法であって欲しい)は対応し……てるのかわからないが、のんきな態度のまま。

 っていうか無防備に葉子に近づいて?!


「ほーらほら、おとなしくし――」

「モー!」

「――てヘブシッ!!」


 ドゴォッ!


 案の定。

 葉子の振るった“つるのムチ”で、リビングの方へ派手にぶっ飛ばされてった。



「父さーーーーーーーーーーーーん!!」

「ヤバいぞ助手くん! あれは魔法で操られている! このままではみんな捕まってしまうぞ!」

「捕まるどころかぶっ飛ばされてるが?!」


 いつの間に冷静さを取り戻したのか、俺の隣でしたり顔の同期。

 ギャルっぽい見た目でヤバいって言ってるのに、全然ギャル感がない。今この瞬間にも原理を解き明かそうと知恵を絞る探究家の顔をしている。


「あれ、なんでぶっ飛ばしたの?」

「えっ」


 そこにスーッと入ってくる、元凶たるリリーの気の抜けた声。

 絶世美少女はポカンと口を開けたまま、視線を吹っ飛んでった父さんと葉子の間で行ったり来たりさせている。


 それが意味するところは、おそらく――。



「モ、モ、モ……」

「ちょ、待って。待ちなさい! ワタシがアナタに力を与え」

「モーーーー!!」

「いーやーーーーーーーー!!!」


 魔法の失敗、暴走だった。


「なんでなんでなんで! どうしてこうなるのよーーー!?」

「………」


 さらに混迷を極める状況の中、俺は察する。

 妹(妹ではない)は人智の及ばぬ超常の力を持ちながら……いわゆる“ポンのコツ”と呼ばれる類の存在である、と。

登場初期の魔法少女、魔法でちょくちょくやらかしがち。


応援、高評価してもらえると更新にますます力が入ります!

ぜひぜひよろしくお願いします!!

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