第14話 調部つむぎは××がしたい。
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天才ちゃんの胸の内
「それじゃ、今日は色々と話してくれてありがとう。またな」
「つむぎ! 協力するとは言ったけど、ワタシはワタシのやりたいようにやるわよ、いいわね!?」
「はっはっは。もちろんそれでこそだとも。お互いに尽力し合おうじゃあないか! では、また次の機会に色々と触らせてもらうよ!」
「ぴぇっ! そ、それは結構よー!!」
「はいはい帰るよリリー。それじゃ本当に、またな、つむぎ」
「うむ。気をつけて帰りたまえ! 最近、町の樹木が倒壊する事故が多発しているようなのでね! ……ふぅ」
残されて、一人。
慣れ親しんだ椅子に腰かけ、私はテーブルに頬杖をつくと。
「……ぬあ~~や~ら~か~し~た~~~~!! ノットワンダフル!! 私と助手くんによるワンダフル・ラブ・ストーリー! 大修正必至だぁ~~~!!」
すぐさまビタンッと、机に額を打ち付けて、今日の後悔を吐き出した。
※ ※ ※
自論『魔法少女ものがたり論』において、私は魔法少女を大きく3つに分類している。
(すなわち稀人族、魔女族、戦士族の3つだ)
本論では“○○族□□型”という形で、さらにそれぞれ型分類3つを行ない計9つに分類している。
既存の魔法少女モノや伝承はおおよそこれらの分類に正しく振り分けられ、あるいは複数にまたいで物語を展開し、その分類傾向に沿ったストーリーを繰り広げていく。
これについて私は、現実の魔法少女たちにも同じように適用されると、仮定している。
(生まれついての魔法使いが多い稀人型の魔法少女が現れた時点で、遅かれ早かれ私は助手くんに自らの正体を明かすことになっていただろう。だが、可能ならばそれは、最大限に秘匿して、効果的に使いたい切り札だった!!)
私は魔法少女だ。
『魔法少女ものがたり論』内における分類は、魔女族契約型。
“超常側に属する存在と契約を結び、力を使えるようになる”魔法少女カテゴリーである。
「リリーくんが言う通り、私のこの力は借り物……偽物だ」
力の主体は契約元にあり、つまるところ、契約できるなら私でなくてもいいのがこの分類となる。
(私は決して、特別な存在では……ない)
畢竟、私はただ、選ばれただけの普通の女の子。
くじ運がいいだけの、本物には決して勝てない、モドキでしかないんだ。
「確かに私は私以外の魔法少女に会いたいとは思っていた……だが、これはなしだろう!?」
本物の、生粋の、生まれついての魔法使い。それが。
よりにもよって、彼の近くに現れて。
よりにもよって、彼の近くに落ち着いてしまった。
「助手くんは……私の、特別なのに!」
用意していたワンダフルな正体バレシナリオも当然に崩壊。
それも、後手後手に回ってしまうという大失態。
一人目ならまだしも、二人目は彼のご近所さんに奪われての三人目。
こんなんじゃもう、インパクトなんてありはしない!
いくら物語を研究しそれを有効活用できる立場にあろうが、不利は必至だ!
「っていうかなんだいキミは! 身の回りに魔法少女3人だなんて! 魔法少女ホイホイか何かなのかい!?」
机に額をこすりつけたままじたばたともがく。
もがいたところで現状は変わらないけれど、胸のもやもやが溢れ出すんだからしょうがない。
「まずい、まずいぞ……」
私の想定していたストーリーとは大きく変わり始めている。
歩めていたはずの私と助手くん二人三脚の物語は、気づけばライバルだらけじゃあないか。
間違いなく、彼はあの二人の物語の中でも重要な役割を担っている。
今後、彼の日常は大きく変化し、不思議な体験を通じてあの二人とも絆を深めていくに違いない。
(リリーくんのあの様子。間違いなく彼に想いを寄せている。おそらくはみはり女史も、彼に懸想しているだろう。そりゃそうだ。あれだけ世話を焼いてくれる上に優秀な男性なんて、この世界にどれだけいるかという話なのだから)
助手くんは、世間一般でいうところの『理解ある彼くん』というやつだ。
相手の望むことをそれとなく察して、相手の負担にならないよう、いつだって誠実に実践してくれる。
望む言葉をくれるし、時には優しく叱ったり、心から想った感情を吐露してくれたりもする。
出会ったあの日から、彼はずっと私にとって、そういう姿勢を取り続けてくれた。
(助手くんは特別。この世に二人とない本当に特別な存在だ。誰かに奪われてなるものか!)
便利だからじゃない。
そこまで尽くしてくれるその心が、それを当たり前だと言ってのける善性が、何よりも私には尊くて、そんな彼と共に居たいと思わせてくれるから。
『キミはまだ“子ども”だから』
あの日。
この言葉を告げられた時の私の絶望を、寂しさを、彼との日々が塗り替えてくれた。
『御伽守陸人、キミと同じ大学一年。不思議ノ伝承研究室に参加希望します!』
『どうしてそこまでするのかって? そうだな、研究が進んだ時のつむぎが、いい笑顔でいてくれるからかな?』
『ちょっと待ってくれ。この伝承……もしかしてこっちの話と繋がってるんじゃ……?』
『やったな、つむぎ! さすがは天才! そこらの大人が束になっても敵わないぞ!』
研究を続けるだけでは足りなかった最後のピースを、彼が埋めてくれたんだ。
「この力は……私が彼と出会うためにくれたものに違いない」
根拠なんてない結論。
けれど、私の心が理屈なんて蹴っ飛ばせと言っている。
「そうだ。これは、私の物語なんだ!」
魔法少女が増えたところで、私の物語の主人公は私だ。
初めに想定していた事態とは違っても、大筋、根幹は変わらない。変えさせない。
※ ※ ※
「私はこれまで通り、魔法少女の研究を続ける。より深くその存在を解析し、より最適化されたハッピーエンドに向かって全力を尽くす!」
乗り越えるべき問題は山積みで。
越えた先が私の望む理想とは違う可能性だってある。
それでも。
「私は、私と助手くんが結ばれて、幸せになれる物語を掴み取ってみせる!」
絶対に手放したくないものを、もう見つけたから。
彼との日常を、輝かしき研究の日々を、大切な時間を……これからも積み上げていく。
体の内側から燃え上がる情熱が、私を自然と椅子から立ち上がらせる。
「助手くん。キミなしのこれからなんて、私には想像もできない。いや、想像する必要なんてない」
鏡に映る、小学生のちんちくりんボディとは全然違う、ボンキュッボンのわがままボディ。
それこそが私のイメージする理想の、ワンダフルな大人そのもので。
「切り替えろ、調部つむぎ。彼がいつもそうしてるように、前を向け」
だから、負ける気なんてのは一切、これっぽっちも浮かばない。
「助手くん。私もギアを上げよう。恋の要素は、魔法少女モノの王道なのだから!」
オレンジに燃え盛るサイドテールも頼もしく。
私は決意に滾り、拳を握り締めるのだった。
燃える女の子。
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