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第7話 平穏に暮らしたい魔王、街にお出掛けする。

「今日も売り子として働いたぁ…」


魔王は居間のふわふわソファーにダイブした。


「最近、お疲れみたいですね、魔王様?」

「当たり前だろ、朝はリリアンが作ったポーションの売り子、さらに午後からはチズの作ったシュークリームの売り子までさせられてるんだからな、営業スマイルのしすぎで顔の表情筋が痛いぞ、おまけに肩や腰がいつも以上に凝る。」

「マッサージしてあげましょうか?」

「そんなこと出来たのか?」

「得意中の得意です。」

「じゃあ、試しに頼むか。」


自信のわりはあってリリアンのマッサージは疲れ気味な魔王(少女姿)を癒した。


「あっそこ、そこ、気持ちいい…」

「本当に凝ってますね。」

「だろ…売り子がもう一人ぐらい居てくれたら、我がこんなに疲れることもないんだが…」

「ですよね、だけど人間を雇って万が一にも私達が魔物だとバレたら厄介ですから。」

「ハァ、だよな…んっ、そこも気持ちいい…」

「へえー?マッサージっすか?」

「やらせろって言っても交代しませんからね。」

「言わねぇっすよ。あたいはマッサージ下手なんで。なぜかマッサージしてやった奴はみんな身体の骨がバラバラになるみたいっすね。」

「うわぁ…流石は怪力自慢のミノタウロス…」

「してもらわなくてよかったぞ…」


魔王は心の底から思った。


「魔王様の後でいいっすから、あたいもマッサージ頼むっす。胸が重くて肩が凝って、凝って。」

「なんか自慢に聞こえるのは私だけですか…?別にいいですけど…?」


そしてチズへのマッサージもした。


「ほぅ、ガチで身体が軽くなったっす。マジで上手なんっすね、少し見直したっす。」

「それはどうも。」

「最近、マジで胸が重くて肩凝りが大変だったんすよ、助かった。」

「成長でもしたんじゃないですか。」

「よくわかったっすね?実は最近、ブラジャーがきつくて。」

「適当に言ったのが当たるとは…?」

「新しいの買わなきゃならないんっすけど、この村に下着売ってる店ってあるっすか?」

「あるにはありますが、田舎の村の店ですし、あなたぐらいのサイズとなると置いてる所はないかもしれませんね…?」

「そうか、そいつは困ったっす。」

「だったら街まで買いに行けばいいだろう?」

「そうっすよね、遠くて面倒いけど行ってくるしかないか。」

「それでしたら!」


次の日、魔王達は街を目指し馬車に乗っていた。


「なんでせっかくの休日に我まで出掛けるハメに…」

「昨日も言ったじゃありませんか。」


‐昨日の会話の続き‐


「我の新しい服を買うだと?」

「そうです!村にはないハイカラでお洒落なお店で魔王様に似合う可愛い服を買いましょう!」

「今ある服で十分ではないか、これは擬態だから身体が成長するわけでもないし。」

〈駄目です!〉


リリアンだけでなくチズまで言い返した。


「なっなぜ、リリアンはともかく、チズまで言うのだ…?」

「せっかく可愛い姿してるのに勿体ないっすよ!」

「お洒落しましょうよ!」

「我はべつにお洒落に興味など。」

「わかりました。」

「なんだ…?」

「言うこと聞いてくれたら甘味処で宇治金時を食べさせてあげます。」

「宇治金時!それって小豆の乗っかった抹茶のかき氷のやつだよな!」

「じゃあ、あたいはおしるこをご馳走するっす。」

「おしるこ!小豆の飲み物だったよな!」

〈どうしますか?〉

「しっ仕方ないな…行ってやるか…」

〈チョロ可愛い♡〉


‐そして戻って馬車の中‐


「やっぱり断るんだった、家でゴロゴロしてたかった…」

「まぁまぁ。宇治金時のほかに明日のおやつ用に羊羹も買ってあげますから。」

「羊羹!」

「ハハハ、魔王様は本当に小豆が大好きっすね。」

「わっ悪いか。」

「確か今から行くトーカって街はヴァンパイアのメアリーに支配させてたんっすよね?」

「あっああ、奴は我が勇者パーティーに敗れたあとに討伐されたと新聞で見た…」

「魔王様…」


しばらくして街に到着した。


「どうだ、チズよ、ここがトーカの街だ。あれっ?チズがいないぞ?」

「本当ですね?」

「あっ。」

「ヒュー、ヒュー、ねえちゃん、すっげえ美人じゃんか。」

「胸めっちゃでかいし、イカした格好してるじゃん、マジタイプだわ。」

「俺らとお茶しようよ、奢るからさ!」

「人間に興味ないっす。」

「ナンパされてますね…?」

「こらー!!」


魔王が怒ってナンパ男達を追っ払った。というよりどうやら男達は魔王が小さい少女姿をしてたのでチズに娘がいる人妻だと勘違いして諦めたようだ。


「プンプン、全く人間風情が!我の家来をナンパしようとは!今度ナンパしよったら八つ裂きにしてくれる!」

「あたいも正直、うざかったんで。あともう少しで殴り飛ばしてたっすよ。」

「いや、きさまが殴り飛ばしたら跡形もなくなってシャレにならんから、やめろ…?」

「ハハハ、それもそうっすね。」

「チズさんってモテるんですね?街で私、一度もナンパなんてされたことありませんよ?」

「小さい少女姿の魔王様がいるから子連れの人妻と間違われてるんじゃないっすか?」

「あっなるほど。」

「納得するなよ…?」

「それか、貧乳よりあたいみたいに胸が大きいのが好きなのか。」

「だから貧乳じゃありませんって!」


魔王御一行はまず目的の一つであるチズの下着を買いに街で一番大きい下着屋に着いた。


「お客様は何をお求めでしょうか?」

「ブラジャーっす。胸が成長してきつくなったんで。」

「こっこれは当店始まって以来一番の大きさです!」


店員は興奮していた。

 

「ふふん、そうっすか。」

「でっではお客様に合うブラジャーを見つけるためにもサイズを測りますね!こちらへどうぞ!」


店員とチズは試着室に移動した。


「さて、我達は椅子に座ってるか。」

「私も下着見てきてもいいですか?いいのがあったら買いたいんですが?」

「好きにしろ。」

「じゃあ、待っててくださいね。」


リリアンは自分に合ったサイズのブラジャーを見つけると試着室で着た。


「うん、いいかも。買っちゃおうかな?それに私、貧乳じゃないよ、どちらかというと大きい方だもん。」


すると隣から店員の興奮した声が聞こえてきた。


『凄い!凄いです!大きいのに全然垂れてないし!形も綺麗!生きてる間にこれほど素晴らしい胸に出会えるなんて!神様に感謝です!』

『照れるっすね。』

『記念に触ってみちゃ駄目ですか…?』

『いいっすよ。』

『ありがとうございますー!では、わっわぁ!重さが手にドシンと伝わってくる!柔らか!ずっと触ってたい!』

『そうっすよね、そうっすよね。』


それを聞いたリリアンは居づらくなりさっと着替えて試着室を出て下着を買うと、椅子に座る魔王の所へ来た。


「買い終わったか?」

「負けました…」

「何の話だ…?」


店員のおかげでチズもサイズのあったブラジャーを買うことが出来て移動、次の目的の魔王の可愛い服を買うために子供向けの服が売っている店に来た。


「待ちに待った着せ替えタイムの始まりですね♡」

「そうっすね♡」

「我は着せ替え人形じゃないぞ!一人ずつ我に似合う服を買うのだろう!真面目にやらんか!」

「だからそのために色んな服を試着してもらうんですよ♡」

「その通りです♡」

「おっ落ち着け!わっ!わっ!」


まるで着せ替え人形のように魔王(少女姿)は色んな服を着させられて疲労で魂が抜けたようになっていた。


「疲れたぁ…」

〈お待たせしました、魔王様。〉

「うむ、それで二人はどんな服を買ってくれたのだ…?」

「私は白のワンピースです。これが一番の似合うと思ったので。」

「えー、何もわかってないっす。魔王様が似合うのは黒っす!だから黒のワンピースを買いました。」

「どっちもワンピースか…そうか…」

「しっかりしてください!魔王様!」

「そうっすよ!このあとは魔王様のお楽しみの宇治金時とおしるこを食べに行くんすから!」

「宇治金時!おしるこ!」


魔王の苦労は報われて約束通り、リリアンとチズの奢りで甘味処で宇治金時とおしるこをご馳走になった。


「うまい!どっちも最高だ!」

「魔王様、可愛い♡」

「本当っすね♡」


すると近くのテーブル席に座るお客達の話が気になった。


「ねぇ、今朝の新聞読んだ?また馬車が盗賊団に襲われって?」

「読んだ、読んだ、なんでも金目の物を全部奪い取ってさらには奴隷商人に売るからって若い娘や子供達を連れ去って行くのよね、怖いわ。」

「この街から出る馬車は襲われたりしないかしら?」

「そうね、心配ね。」


それを聞いたリリアンは不安になっていた。


「魔王様、帰りの馬車が盗賊団に襲われたりしないですかね…?」

「ないんじゃないか。」

「そうっすよ、考えすぎっす。」

「だといいんですけど…?」


しかし、その後、村に帰るための馬車に乗ってすぐ、それが見事に的中することになる。


「聞け!馬車に乗ってる客ども!俺らは盗賊団だ!この村を襲いに来た!」

「おいおい、マジか…?」



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