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第20話 平穏に暮らしたい魔王とチズ、蜘蛛女と戦う。(前編)

「スパーミ様、これで村にいる若い娘達は全員捕らえて馬車に入れました。」


木にぶら下げた蜘蛛の糸で作ったブランコに足を組みながら座る、黒いセクシーな衣装を身に纏った蜘蛛女に部下の兵が跪きながら報告した。

 

【クフッ。よろしい、城に帰るとしましょう。】

「抵抗した村の男達はいかが致しましょうか?」

【新魔王様が欲しいのは好みの女よ、そのまま捨て置きなさい。】

「ミノタウロス族の男達ですよ?奴隷にすれば戦力になると思うのですが?」

「僭越ながら自分もそう考えます。」

【戦力は十分足りてるわ。】

「ですが、いつ新魔王軍に反乱を起こす脅威が現れるとも限りません。」

「戦力増強は必要かと。」

【脅威などいるはずないわ、ワタクシ達、新魔王軍は以前の旧魔王軍より最強だもの。】

「確かに。」

「新魔王様とスパーミ様達四天王に勝てる相手なんて居ないか。」


兵達は納得していた。


【にしても兵隊ごときがワタクシに意見するとはね、お仕置きが必要かしら?】


蜘蛛女はムチを出して叩くデモンストレーションをした。


〈喜んで!〉


しかし、怯えるどころか、兵達は待ち望んだような顔をした。


【クフッ。普通、そこは嫌がる所でしょう?全く新魔王軍の兵、特にワタクシの部下は変態さんが多いんだから。】

〈その通りです!〉

【帰ったらたっぷりお仕置きしてあげる。】

〈ヒュー!〉

【わかったら、とっとと馬車を動かす準備をしなさい。】

〈了解です!〉

【クフッ。ミノタウロス族の娘は種族柄、巨乳や爆乳ばかりでアイリス様の好みしかいない、さらには乳まで出る、アイリス様に褒められること間違いなし、愛のご褒美が楽しみだわぁ♡】


それを蜘蛛の糸で縛られて身動きの取れない村の男達や兵に武器を向けられて迂闊な行動が出来ないほかの村人達が悔しそうに見ていた。


「このまま村娘達を連れて行かれてしまうのか…」

「我々、ミノタウロス族の力が及ばないなんて…」


その中にチズの両親もいた。


「あなた、このままではシルが…」

「大丈夫だ、バニラがきっと人間界に行ってチズと魔王様を呼んできてくれる…」

「そうね、最後まで諦めず信じましょう…」


そして馬車の中にチズにそっくりな美女がいた、姉のシルである。近くで泣いている自分より年下の子を慰めていた。


「いやだ、新魔王の所に行くなんて…」

「泣かないで、きっと助けが来るわ。」

「助け…?」

「ええ、私にはわかるの、きっとあの子が助けに来てくれるって。」

「あの子…?」


すると次の瞬間、村の外にいた兵達の悲鳴が聞こえた!


【何事かしら?】

「報告します!ミノタウロス族の娘だと思われる女と謎の少女が現れて、村の外の兵が倒されました!」

〈何!?〉

【まだミノタウロス族の娘がいたのね?でも謎の少女って誰かしら?】


それはもちろん、魔王とチズだ。ちなみにリリアンは戦えないので近くの林で待機。


「きさまが新魔王に仕える四天王の蜘蛛女か?」

「きささまだと!」

「スパーミ様に無礼な!」

【構わないわ。そうよ、可愛いお嬢ちゃん。ワタクシは新魔王であるアイリス様の忠義な家来、蜘蛛女のスパーミよ。】

「魔力の質でだいたい強さが分かる、幹部クラスはありそうだな。」

「倒し甲斐がありそうっすね。」

【そこのあなたはミノタウロス族の女よね?強そうだわ、どこに隠れてたのかしら?】

「隠れてたんじゃないっす!村の危機に駆けつけてきたんす!」

【それは勇敢ね。】


チズの姿を見て、村の者達が安堵していた。


「あなた、来てくれたわ、チズが!」

「バニラがやってくれたようだ。」

「チズちゃんだ!」

「チズちゃんが帰ってきてくれたぞ!」

「しかし、一緒の娘は何者だ?」

「人間の娘に見えるが?」

「ありえないだろ、人間の娘が魔界に来れるはずがない。」

「わからないけど、チズちゃんと一緒なんだし味方よ、きっと!」


蜘蛛女は質問した。


【いちよう聞くけど、ワタクシの兵に手を出した時点で、反逆行為に当たるのはご存じよね?】

「知らないでやっていると思っているのか?」

「知っててやってるに決まってるっす!」

【そう、だったら反逆者としてあなた達を拘束して魔王様のもとに連れて行くわ、村人達を封じる兵以外、全員、おやりなさい。】

「みんな、かかれ!」

〈おおっ!〉


かなりの数の兵達が魔王とチズに襲いかかった。


「やるしかないか。」

「実力の違いを見せてやりましょう!」


チズと魔王は格下の兵など相手ではないみたいで、余裕な表情で次々とぶっ飛ばしていった!


「そりゃ!」

「ふん!」


そして残るは蜘蛛女と村人達の動きを武器で封じる部下の兵、数名だけになった。


〈わぁぁ!〉

「チズちゃん、最強!」

「背の小さいお嬢ちゃんもやるな!」

「おいおい、背の小さいが余計だぞ…?」

「まぁまぁ。」

【全く情けないわね。仕方ない、また反逆者をワタクシが直々に痛めつけてあげるわ。】


蜘蛛女がブランコから糸を使い降りて、地上にゆっくり着地した。



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