表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

18/21

第18話 平穏に暮らしたい魔王、決意を語る。

勇者パーティーと再戦の約束をしてから三年後、魔王達の田舎暮らしは続いており、変わりなく平穏な日々が続いていた。唯一変わった事といえばドラキュラ娘のリズが成長して6歳になり、今年の春から村の小さな小中一貫の学校に普通の小学一年生の子供として入学して勉学を学び、遊ぶ友人を増やしたこととそのリズが魔王や母親役で強いミノタウロスのチズに夜な夜な密かに森で修行をしてもらっていることだ。


「リズ、行くぞ!」

「いつでもいいよ!」

「そらっ!そらっ!そらっ!」


月光しかない暗闇の中、魔王があちこちに高く投げた木の枝をリズは確実に目で捕捉して、黒い翼を広げて空を飛び、見事な飛行テクニックで全部取った。


「ぜんぶとれたよ!」

「よくやったっす!リズ!」

「えへへ。」

「修行を始めて僅か一ヶ月でここまでになるとは、感心だ。」

「母親として鼻が高いっす。」

「ねぇねぇ、つぎのしゅぎょうをやれるよね!」

「ああ、次は魔法の修行だ。飛行ほど簡単ではない、厳しく教えるぞ?」

「やれるもん、わたしはママみたいにまおうさまのさいきょーのけらいになるんだから。」

「リズ、お主。」

「泣かせるっす。」


チズは嬉し涙を流した。


「期待しておるぞ、リズ。」

「がんばる!」

「皆さんー。お風呂沸かしましたから修行はそのくらいにして帰ってきてくださいー。」


リリアンが呼びに来た。


「帰るとしよう。」

「そうっすね。」

「えっ〜、まだしゅぎょうしたいよ〜。」

「リズは夜に強いとはいえ、あまり夜更かしすぎると朝起きられなくなるぞ?」

「魔王様の言う通りっす。明日も友達が迎えに来てくれるんでしょう?」

「そうだった!アンナちゃんとラウくんとがっこうにいくんだ!」

「だろ?」

「かえってはやくねる!」

「それがいいっす。」

「ママ、かえったらいっしょにおふろはいろう!」

「もちろんっす。」

「まおうさまも!」

「我まで入ったら狭いであろう?」

「はいるの〜!」

「わかった、わかった、入ろう。」

「わーい!」

「嬉しいっす♡」

「ずるいです〜!明日は私と入りましょうね!魔王様!」

「気が向いたらな。」

「ひどーい!」

〈あはは。〉


三人でお風呂に入った後、寝かしつけるためにチズはリズと部屋へ。

魔王はお風呂から上がったリリアンと居間でココアを飲みながら会話していた。


「リズちゃん、凄いなぁ。将来は幹部クラス間違いなしですね。」

「うむ、リズのような優秀な若者を育てられれば勇者パーティーを倒して人間界支配も夢じゃない、魔界はもっと安泰するというものだ。」

「魔王様?本当に魔界に戻られなくていいんですか?」

「なぜそのようなことを聞く?」

「以前話してましたよね、魔力が7%まで回復出来ればゲートをくぐれて魔界に帰れると?」

「覚えておったか。」


魔王はテーブルにカップを置き席を立つと、窓から月を眺めた。


「魔界の王として気になりませんか?去年、里帰りしたチズさんに何やら魔界で不穏な動きがあるとの噂を聞いたばかりですし?」

「我が不在の王城を攻め落として新たな魔王を祭り上げようとしている輩達がいるという噂のことであろう?」

「はい。」

「気にならないといえば嘘になるな…」


魔王はうつむいた。


「ですよね…」

「だがだ、我が人間界を支配すると魔界を出た際、そういうことも想定して城に幹部クラスの家来を数名残した、きさまも知っているはずだろう?」

「もちろん、存じています。」

「奴らの強さならそんな反乱分子達を抑え込めるだろう。」

「ですが、人間界から逃げ戻った者達から勇者パーティーに魔王様が倒されたと聞いているはず、魔王様が生きていると知らないのに城を守り続けてくれるでしょうか?」

「そこは心配しておらん。」

「なぜです?」

「幹部の奴らは忠義に厚い者達ばかりだ、お主やチズのようにな。」

「魔王様…」

「奴らは必ず城を守ってくれていると信じている。」

「わかりました。私も幹部の皆さんを信じたいと思います。」


リリアンは少女姿の魔王の背中に頬を寄せた。


「我が帰る時は魔力が全回復し勇者パーティーを倒して人間界を支配した時だ。待っていてくれ、魔界の家来達よ。あと93年だ。」


それから数日後、魔界で反乱が起きた。反乱軍の長は顔を半仮面で隠した悪魔の美女、驚きなのはその半仮面の美女一人に魔王の家来の幹部達全員が戦闘不能となり、城が1日で陥落したこと、捕らえられた幹部達は地下の牢獄に入れられた。

そして城を占拠した新魔王軍の長の半仮面の美女は魔界の全国民にラジオを通じてこう宣言した。


《よく聞け!魔界の愚民ども!我は新たに魔王となった者だ!たった今、旧魔王の城を攻め落とし、旧魔王の家来共は全て牢獄に閉じ込めた、今から魔界は我の支配下となったのだ!》

〈ワァァ!!新魔王様!!〉


部下の兵士達が歓喜の声を上げた。


《ここまで聞いてわかっていると思うが、魔界にいる愚民どもおまえらは全て奴隷だ。我に従わない者は反乱分子として容赦なく捕らえ、罪人として牢屋に閉じ込める。逃げたり隠れても無駄だぞ、反乱分子は必ずあぶり出して捕まえる!我には逆らわぬことだ!ハハハハッ!》


宣言通り、新魔王軍は魔界全土で国民達への尋問を開始、逆らう者は捕らえて牢獄に入れていった。

さらに横暴は続き、新魔王の半仮面の美女は女が好きで好みの女を魔界全土から連れてこさせて自分の玩具にしようとしていた。


『ハハハハッ、我の好きな胸の大きい綺麗な女をもっと連れてこい!』


その魔の手はチズの故郷であるミノタウロス族の村にも来て

その村から一人のミノタウロスの少女が逃げ出して、森の中で人間界へのゲートを開いた。


「やった!!チズお姉ちゃんの言うとおりに呪文唱えたらゲート開けた!!

 これでチズお姉ちゃんと魔王様に助けを求められる!

待っててね!連れて行かれたシルお姉さんとほかの村娘のみんな!」


ミノタウロスの少女はゲートをくぐった!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ