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第13話 平穏に暮らしたい魔王、家来の身を案じる。

勇者パーティーに見つかるも村に帰ってくることが出来た魔王と家来のバフォメットのリリアンは家でヴァンパイア幼女のリズと留守番させていた家来のミノタウロスのチズにその事を話した。


「リズの魔力を感知して、勇者パーティーがやって来た可能性があるっすか…」

「なので万が一に備えてチズさんはリズさんを連れてこの村から別の場所に避難していて欲しいんです。」

「それは絶対にいやっす!うちも魔王様を守る為に残りたいっす!」

「チズさん…」

「おまえの忠誠心は非常に嬉しい、しかしだ、今はリズの命を守ることが第一だ。それは母親役であるきさまにしか頼めない。チズよ、おまえはリズの事だけを考えてやってくれ。」

「魔王様…わかったっす、うちは母親としてリズを全力で守ることに専念するっす。」

「うむ、頼んだぞ。」

「ママたち、なにはなしてるの?」


ただならぬ雰囲気を感じ取ったのかリズが聞きに来た。


「リズ、これからママとしばらくの間、旅行に行くっすよ。」

「りょこう?」

「わからないですよね。」

「少し遠くの場所まで遊びに出掛けることっすよ?」

「わーい!あそびすき!」

「無邪気だな。」

「でもどこに避難するつもりですか?」

「それが問題っすね…」

「魔界に戻るといい、あそこなら勇者パーティーとて行くことは出来ぬ、安全だ。」

「なるほど!名案です!」

「ついでだ、チズ、里帰りするといい。」

「正直、魔王様を人間界に置いて魔界に帰ったら、故郷の両親や妹達にどれだけ怒られるかわからないっすけどね、リズのためっす、我慢するっす。」

「へぇ、リズさん、妹さんが居たんですね?」

「三人いるっす。」

「ではすぐに魔界に帰る支度をせよ、いつ勇者パーティーが来るか分からぬからな。」

「はいっす!」


帰る支度を済ませたチズはリズの手を握り、魔界のゲートを開いた。


「勇者パーティーが諦めて王都に帰ったら、私が迎えに行きますから。」

「わかったっす。リリアン、魔王様のこと頼むっすよ。」

「言われなくても命に変えても守ります。」

「リリアン、まおしゃま?しばらくあえない?」

「少しだけな。」

「さびしい…」

「我もだ。」


魔王はリズを抱きしめた。


«魔王様。»

「リズ、帰ってきたらまたいっぱい遊んでやる。」

「やくそくね?」

「うむ、約束だ。」


そして指切りをした。


「じゃあ、行ってくるっす。」

「行ってらっしゃい。」

「いってきます。」

「うむ、魔界を楽しんでこい。」


二人はゲートをくぐって魔界に出掛けて行った。


「リズのやつが無事にゲートをくぐれてよかったぞ、やはり主従契約をして魔力が上がっているようだ。」

「本当は魔王様も魔界に避難してくれたら、安全なんですけどね。」

「仕方あるまい、まだ我の魔力ではゲートをくぐれぬ。」

「どれくらいなら通れるですか?」

「あと3%ぐらい回復出来ればギリギリ通れるかもしれん。」

「つまりあと三年ですか。」

「先は長いな。まぁ、たとえ魔力が回復しても魔界に帰る気はないがな。」

「なぜですか?」

「今帰ったら魔界の奴らに勇者パーティーに負けて帰ってきた負け犬と思われるだろう?そんな情けないのはごめんだ、魔力を全回復し、勇者パーティーにリベンジして倒して、人間界を支配できたら、胸を張って帰る。」


魔王は野望を捨てていないと決意の目をしていた。


「ふふふ、てっきりこの村が気に入ってて帰りたくないだけかと思いましたよ。」

「なっなっなっわけあるか!」

「はいはい。私はそんな魔王様に家来として一生、付いていきますから。」

「ふっふん、きさまに期待などしてないわ。」

「もうー。またそんなこと言う。」

「だが、きさまにはずっとそばにいて欲しいとは思っている…」

「きゃ♡まさかプロポーズですか♡」

「変な解釈をするな。」

「いたぁ。」


魔王はリリアンの頭を小突いた。


「家来としてだ、家来として。」

「わかってますよー?」

「しかしだ、一応礼を言うぞ。魔界に帰らずに我のそばにいてくれて、その…ありがとう…」

「魔王様が私に感謝を♡魔王様、好き好き大好きですー♡」


リリアンは魔王を抱きしめて喜んだ。


「全くいちいちオーバーな奴だ。それにしても当分はチズの乳も飲めぬし、乳を使った料理やおやつも食べられるぬな?」

「それは大丈夫ですよ。」


リリアンは冷蔵庫を開けた。すると冷蔵庫の中にはチズの乳の入った瓶が大量に置いてあった。


「凄い量だな。」

「チズさんが出掛ける前にいっぱい絞っていったんです、魔王様のためにって。冷蔵庫に入れていれば消費期限は2か月ぐらい持つらしいです、私が変わりにこれを使って料理してあげますから。」

「そうか、頼んだぞ。」

「ただ、シュークリーム屋はしばらくお休みですね。」

「半分ぐらいなら、シュークリームを作るのに使ってもよいぞ?」

「駄目です。これは全て魔王様にと。」

「愛が重いな。まぁ、嬉しいのだが。」

「わっ私だって愛なら負けてませんからね。」

「張り合うでない。」


魔王は二人の家来、そして妹のような存在のリズからも慕われていることで勇者パーティーへの怖れを忘れた。


(勇者パーティーよ、来るなら来てみろ。我はもう恐れぬぞ、全力で人間の少女を演じきってやる。

でっでもできる限りは来るな、我も居場がバレないように魔力は出さないように控えるぞ。)


魔王は自分でフラグを立てていた。



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