第11話 平穏に暮らしたい魔王、家来のつけたフラグを心配する。
王国の城に雇われた有名な占い師が魔王が生きていると占い結果を出した事はすぐに勇者パーティーの面々にも知らされていて、魔王討伐後に解散していたが再び国王の頼みにより集結した。まずはそんな勇者パーティーを一人ずつ紹介しよう。
〜一人目、勇者パーティーの突撃担当、重さ1トンの巨大な鋼鉄の斧を自由自在に操る怪力ムキムキ男、グロス、28歳。〜
「魔王が生きてるって本当かよ、ただの占いだろう?」
〜二人目、勇者パーティーの狙撃担当、どんな闇も浄化する光属性のアーチャー
あまりの美しさに男女問わずファンが多い、金髪巨乳エルフのレイア、26歳。〜
「私のお姉様がそう言ってるんだから、間違いないわ。」
ちなみに占い師は彼女の姉である。
〜三人目、勇者パーティーのヒーラー&遠距離魔法担当、少し怖がりで背が小さくロリな魔女、でも見た目とは裏腹にこのパーティーで最年長のアイリス、32歳。〜
「もっもし事実なら、またあの怖い魔王と戦わなくちゃならないんですよね…」
〜そして最後に勇者パーティーのリーダーにして最年少、神から選ばれた世界でもっとも最強の青年、勇者のロード、20歳。〜
「その時は今度こそ、息の根を止めればいいだけだ、この世界を再び闇に侵攻させるものか。」
「そうね、ロードの言う通りだわ。」
「俺らは勇者パーティーだもんな?」
「わっ私も怖いけど、頑張ります!」
「ありがとう、みんな。じゃあ、さっそく魔王の城跡地に調査に向かおう。」
〈おう!〉
世界を不安と混乱に巻き込まないために魔王が生きているかもしれないことは世間には公表しないで勇者パーティーだけで隠れて王都から旅に出て密かに調査することにした。
なので少女姿で田舎に住む魔王本人など知る由もなく、家来達といつものように平穏に暮らしていた。
「ふぅ、今日の売り子の仕事は終わったぞ。」
「お疲れ様でした。」
「まぁ、今日はチズが仕事を休んでリズを遊びに連れて行っておるからな、お主の作ったポーションの売り子しかしてないからそれほど疲れておらん。」
「もうすっかり売り子が板について来ましたね。」
「2年以上もこの仕事をしてきたからな、そろそろ新人でも育てたいぞ?」
「魔王様だけで十分やっていけますよ。」
「相変わらずお主、家来のくせに主の我に楽させる気ゼロだよなぁ?」
「愚痴らないでくださいよ。食後のおやつに今から餡子入り饅頭作りますから。」
「なっなら仕方ない、多めに作るのだぞ?」
「はーい。」
バフォメットのリリアンはキッチンに立ち、餡子入り饅頭を作りを始めた。
「あっでも今晩の夕飯の買い物して来なくちゃならないの忘れてましたね!」
「ならば我が買い物して来てやる。」
「いいんですか?」
「餡子入り饅頭が出来るまで暇だからな?」
「じゃあ、お願いします。」
買うものをメモした紙を受け取った魔王はお店で買い物を済ませたら、ついでにミノタウロスのチズがリズを遊ばしている公園を見に行った。するとリズがヴァンパイアだというのに帽子も被らずに元気いっぱいに同い年ぐらいの子供達とボール遊びしていた。
「リズちゃん、いくよ?えい!」
「とった!いくよ!」
「こい!」
「えい!」
「はやっ!」
「すごい!リズちゃん!」
「えへへ。」
その様子をチズと子供達の母親が微笑ましく見ていた。
「リズちゃん、外で元気に遊べるようになってよかったですね。」
「凄く楽しそうで見ているこっちまで明るくなるわ。」
「皆さん、ありがとうっす。」
離れた場所から見ている魔王も思わず笑みを浮かべていた。
「リズはもうほかの子供達と変わらないぐらい周りに溶け込んでおるな、良いことだ。」
するとボールを高く上げすぎて木に引っ掛けてしまった。
「どうしよう?」
「とれないね?」
「おれがとる。」
「あぶないよ。」
「あらあら。」
「私達でとってあげましょう。」
「ならあたいが登って取りますよ。」
「危ないですよ、チズさん。」
「今、家から脚立持ってきますから。」
「ママたちがとってくれるまでできないね?」
「だな。」
「ならわたしがとる。」
リズはヴァンパイアの翼を広げて飛び立とうとした。
「いかん、リズのやつ!デーモン・キング・ウインド!」
〈きゃあっ!〉
魔王は弱い風を巻き起こし、砂埃で子供達や母親達の目を誤魔化した。
「なんにもみえない!」
「おれも!」
「なんですか、今の風。」
「砂埃で視界が見えませんわ。」
「今のは魔力の風、どうして?」
すると遠くで見ている魔王を見つけて、リズがヴァンパイアの翼を広げていることをジェスチャーで注意して、気づいたチズがリズに急いで近づいた。
「リズ!駄目って言ったでしょう!翼はしまって!」
「はーい。」
魔王は冷や汗をかいたのか額を拭って一安心したら、家に帰った。
「リズちゃんがヴァンパイアの翼を使おうとしたんですか?」
「うむ、もう少しで騒ぎになる所だったぞ…?」
「あはは、考えすぎですよ。ここの田舎の人達、魔族への知識が都会の人と比べて浅いですからね。きっとコスプレかなんかだと思ってくれますって。」
「ハァ、なわけないだろう?我らがこうして人間として暮らしていられるのは正体を隠しているからだ、我らの正体は絶対に秘密にしなければならん、この平穏の日々を維持するためにもな。」
「でも私達が魔族だなんてわかるとしたら、勇者パーティーかそれより劣るけど強い腕の立つ王都の騎士団の連中か上級冒険者ぐらいですよ。」
「それもそうなんだが。」
「魔王様と私達家来が生きてることを知って奴らが探しにでも来ない限りありえませんって。」
「おいおい、変なフラグを立てるでない…?」
「大丈夫ですって、もし仮にそんなことが実際に起こっても魔王様は魔力がすっごく減ってて、しかもこんな可愛い女の子の姿になってるんですよ?魔王だなんて、たとえあの勇者だって思わないですって〜♡」
リリアンは後ろから抱きついた。
「まっまぁな、そのためにこの姿になったわけだし…?」
「でしょう?あまり考えすぎずに楽しく生きましょうよ。」
「そっそうだよな、二年も我が生きていることがバレてないんだ、今さらないか。」
「納得出来て偉いです〜♡」
リリアンは胸に抱き寄せた。
「子供扱いするな!」
「いいじゃないですか〜♡」
「全く、仕方ないやつだな?」
「そうだ、久しぶりに城の跡地に行きませんか?」
「なぜだ?」
「リズちゃんに城があったことを教えてあげたいんです、後々、魔王様の魔力が全回復したら建て直すことも。主従契約したんですし。」
「なるほど忠誠心を植えつけさせるわけだな?」
「そういうことです。」
「しかし、あそこはまだ瓦礫だらけでいくらヴァンパイアとはいえ、子供が歩くには少々危ない、少し掃除した方が良さそうだな?」
「ですね、次のお店の休みにでも掃除しに行きましょうか?」
「それがいいな、我も手伝おう。」
「最近、手伝いをいっぱいして偉いですね〜♡」
「だから子供扱いをするな!」
それから3日後、魔王達はお店を休みにしてリズとチズを留守番させて、リリアンと城の跡地に掃除に向かった。
「久しぶりですね。」
「うむ、二年ぶりの我が城だ、戻るのは我は田舎に引っ越して以来だからな。」
「そろそろ見えてきますね?」
「んっ?誰かの声がするぞ?」
「えっ?あっ本当だ、誰でしょう?4人くらいはいますね?」
「木に隠れて覗くぞ?」
「はい。」
次の瞬間、魔王達は驚愕する!城の跡地に居たのはあの勇者パーティーだったからだ!
「まっまっまっ魔王様!?あれは勇者パーティーですよ!?なんであいつらが城の跡地に!?」
「わっわっわっわっ…」
魔王は完全に怯えきっていた。




