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245  作者: Nora_
7/10

07

 終業式が終わった。

 つまり明日から初めての夏休みということになるけどどこか実感がわかない感じがする。

 夏休みになったら〇〇しようねみたいな会話がほとんどなかったからだろうか。

 まあでもそうか、新次郎君も久里子も彼氏彼女がいる状態だからフリーの隼人が盛り上げようとしない限りはこんなものかと片付ける。


「お待たせ」

「暑いからどこかに寄ってから帰りませんか?」

「いいよ、かき氷でも食べにいこうか」


 日に一回は敬語をやめてほしいと言われているけどなんとかそこだけは守り続けられている。

 幼馴染でもなんでもない年上のことを呼び捨てにする時点でアレだからこれ以上は駄目だ。

 ただどこかに寄りたいと言ったのは避けたかったからではなくて本当に暑かったから、店までいくなら家に帰っても変わらない気がするとしてもだ。


「さて、夏休みはどうしようか」

「新次郎君と久里子はほとんど無理という前提でいるべきでしょうね」

「んーまあ、迷惑をかけるのも違うけど最低でも三回ぐらいはみんなで遊びたいかなあ」

「私達の間になにかが起きれば久里子なら興味を持ってくれそうですけどね」


 報告してほしいと頼まれているからうざがられない程度に送るつもりでいる。

 でも、なにもなくてもそれは問題ない、なにかがあっても問題ないけど。


「まずは目の前の相手に集中しろということか」

「いえ、なにもないならないで興味を持ってくれると思います、そのときの久里子は『あんた情けなさすぎ!』と言うでしょう」

「えぇ、どうして僕が動けない前提なの? そんなことを言っていると攻め攻めでいくよ?」

「まあ、授業なんかもありませんから時間を経過させるという点ではいいと思います」


 そもそも私は隼人に対してツッコミを入れるとは言っていないから墓穴を掘ってしまっている状態だった。

 だけど曖昧なのが一番嫌だからこれで変わっていくかもしれない。


「固まっていても氷が溶けてしまうだけですよ」

「あ、食べなきゃ」

「食べたら隼人の家にいきましょう」

「な、なんで?」

「近いからです、涼しくなるまでは家にいさせてください」


 だらだらとしないで課題をやっていればあっという間に時間は経過する。

 早く終わらせれば早く休めるようになるから後の私が助かるというわけだ。


「流石に借りるわけにはいきませんからタオルを持ってきておいてよかったです」

「はいお茶」

「ありがとうございます。課題をやりますから自由にしてくれればいいですよ」


 私の家の場合でも同じことを言っていた。

 

「それなら僕も課題をやろうかな、終わらせておけば後で楽ができるよね」

「それなら一緒に頑張りましょう」


 元々の集中力の高さは彼の方が上だったみたいで会話は一切なかった。

 途中、電気を点けるために動いたことに意識が逸れたぐらいでそれだけだ、だから気が付いたら彼のお母さんがいたことに驚いた形になる。


「そこからでも心臓が大暴れなの見えませんか?」

「うーん、わからないかな、それに友達の母親と話すことになったぐらいで史果が慌てることになるとは思っていなかったから驚いているんだけど」

「今回は急だったからです、隼人が急に現れて私が気が付くまで待っておくのとは訳が違うんですよ」

「なるほど、ま、もう遅い時間になってしまったから家まで送るよ」


 それがいい、残っていくわけにはいかない。

 ちゃんと挨拶を済ませて外に出ると急激に火照った体も少しずつ戻り始める。

 まだ明るい時間ではあるからすぐのところでもういいと断っても付いてきてしまうから結局家まで彼を連れてきてしまった。


「ちょ――なんですかもう……」

「課題をやって色々と抑え込んでいたからいまになって爆発した感じかな」

「明るいだけでもう夜ですけどここで欲情するのもどうかと思いますが」


 ここは玄関でそろそろ時間的にも両親が帰ってくる可能性がある。

 ごちゃごちゃ言われたくないのであればせめて部屋までは我慢をするべきだ、付き合っている久里子達だって玄関でなんかはしないだろう。


「敬語をやめてくれたら抱きしめるのはやめるよ」

「お母さんが心配するから帰った方がいいよ」

「よし、それなら泊まらせてもらおうかな、着替えを持ってくるからご飯でも食べて待ってて!」


 どうしてそんなに非効率なことをするのか、泊まるなら泊まるで持ってきていたらよかったのに。

 私が意外と抵抗してこないで盛り上がってしまったということなら、いやそれでも私が悪いわけではないから堂々としていればいいか。

 ご飯なんかはあのときから作れるようにしてあるから言われた通り、作ったり食べたりして待っていた、つまりそれだけ時間が経過してしまったということになる。


「お゛、おまたぜ……」

「遅かったね、お母さんに駄目って言われていたりしたの?」


 敬語は……まあいいか。


「……ふぅ、ううん、臭いとか言われないように隅から隅まで念入りに洗っていたら時間がかかってしまってね」

「はは、なにそれ、そもそもお風呂に入ってくるとは言っていなかったでしょ?」

「結構長時間入るタイプで迷惑をかけてしまいそうだったから入ることにしたんだよ」


 両親はもう食べてお風呂と部屋にいったからここにはいない。

 一応は彼の分も作ってあったから温めて食べてもらうことにした。


「うん、美味しい、走ってきたからより美味しく感じるよ」

「お風呂に入ったのに走ったら意味がなくなるでしょ」


 あと明日から夏休みなのだからもっと遅くなったって問題はなかった。

 二人きりでいてもたまにしかああいうことはないし課題からは逃げれないからどうしたってそれが中心になる。

 早く終わらせて会話なんかをできる時間を増やしたいのだとしても会話がしたいなら一時間ぐらいは寝るまでの時間を伸ばしていいからちゃんと言ってもらいたいところだった。


「だけど待たせていたからさ、そう考えると僕は史果を待たせてばかりだね」

「違うよ、私は私らしく生きているだけで隼人は来てくれているというだけでしょ? だから待ってなんかいないよ」

「え、それはそれで寂しいんだけど」

「別に悪い意味じゃないんだから気にしなくていいのに」


 このままだと気にしてしまいそうだからなんとかしておかなければならない。

 というのも私も楽しくなってしまっているからだ、ここで拗ねて来てもらえなくなると退屈な時間が多くなってしまうからなんとかするのだ。


「それなら言い方を変えるよ、隼人は待たせてなんかいないよ」

「史果!」

「しーあんまり大声を出すと両親が来ちゃうよ」


 よしよし……って、随分とキャラが変わってしまったみたいだった。


「でも、頭を撫でているだけだから問題もないと思う」

「それより早く食べちゃって、洗い物がしたいからね」

「わかった」


 洗い物を終えたらお風呂にいくために部屋まで移動したら何故か付いてきてしまった。

 お風呂後にすぐに戻るつもりはなかったから客間かリビングにいてほしいと言っても聞いてくれなかったからそこで待たせてとにかく済ませてくることに。

 いまが夏でよかった、冬なら私も長時間入ってしまうタイプだからすぐに出られていい。

 それでも風邪を引かないようにちゃんと拭いたり当たり前だけど服を着てから部屋にいくと床で気持ちよさそうに寝ている彼がいた。


「風邪を引いちゃうよ」

「……おかえり、はは、今日は初めて僕が史果を待った日かもしれない」

「え、隼人は私が気づくまで声をかけないようにしていたりしたことがあったよね?」

「あー確かに、それなら学校以外で待ったことが初めてと言った方がよかったかな」

「はは、それなら確かにそうだね」


 さて、これからどうしよう。

 これなら部屋に入っても彼が寝たままであってくれた方がよかったかもしれない。

 私的には下でゆっくり話して、少ししたら火照った体を冷やすために散歩なんて考えていたのにこれだ。

 寝てしまうぐらいには疲れているということだから無理はさせたくないし……本当にどうしよう。


「あ、本読む?」

「うーん、今度でいいかな」

「そっか……じゃあ一人で歩いてくるね」

「え、危ないからそれなら付いていくよ」

「なら残るよ、本でも読んでいるから隼人は寝てていいよ」


 天邪鬼というわけではないことはわかってもらいたい。

 実際に本を開いたらなにも言ってこなくなったから時間が経過することを完全にこれに頼っていた結果、すやすや寝ている隼人が戻ってきた。

 夏でもしっかり掛けておかなければ風邪を引いてしまうから布団を掛けてから読書を再開、それでも二十一時前にはやめて電気を消した。

 部屋に彼がいても特に緊張とかもなかったから朝まで寝て、ご飯を食べさせるために作っているのが現在だ。


「起きて、朝ご飯ができたよ」

「……おはよう、いま何時?」

「いまは六時半だね」


 ちなみに私は五時半には起きた。

 別に慣れない朝ご飯作りで時間がかかったわけではなく六時ぐらいから始めたことになる。

 少量であってもお味噌汁とかを作っていたらそれなりの時間がかかることはよくわかった。


「はは……史果は早起きだね。さて、と、歯でも磨いてくるよ」

「うん、リビングでは食べづらいでしょ? だからここまでご飯を持ってくるからね」

「んーリビングで食べていたらご両親に迷惑かな?」

「そういうわけではないだろうけど隼人が気になるかなって思ったんだよ」

「それなら悪いけどここで食べさせてもらおうかな」


 最初からそのつもりだし出したのは私だしということで頷いて持ってくることにした。

 台所からテーブルまで運ぶことはあっても二階まで運ぶことは全くなかったから地味に危なかったけどなんとか運ぶことに成功、二人で食べ始める。


「美味しいよ」

「よかった」


 食材に感謝だ。


「食べたらまた課題をやって午後から遊ぼうか」

「うん、ちゃんと付き合うよ」

「よろしくね」


 よし、頑張ろう。

 あと違和感はないけど年下的によくない気がするから段々と敬語に戻していこうと決めた。

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