海からの落とし物
すみません、嘘つきました。前作の後書きでは一年後に会おうと書いたのに、もう新しいものを書いてしまいました。なんかパってお話が思い浮かんでしまったので。あと、今回の登場人物の名前はcとpです。ミスとかではございません。
これは俺、cが同級生の女ヤンキーで俺の喧嘩の師匠でもあるpと朝の海辺を散歩してた時のお話。
「すごいなあの樽、でかくね?」
俺は樽が浜に落ちているのを見つけ、それに走って近づき、それに彼女も追いかけてくる。
「すごいなこれ、cがひとり分くらいのでかさだ」
「こういうの人を基準にして言うもんじゃ無くね?」
ちなみにこの時の俺は高1の春だったので176cmぐらいだった気がする。
「やっぱりでかいな…誰かの落とし物とかかな。俺が考えるに、激しい戦いの中、海に落としてここまで流れてきた物かもしれん」
「その理論だと、海賊あたりが落としたことになるぞ」
「だとしたら、中に入ってるのはお宝とか船長とか、金目のものが入ってるかもな」
「船長?…もしかして、後でお礼をたんまりいただこうとしてる?」
「そうだ。命の恩人ということで、たくさん焼き肉をおごってもらおう」
「c…結局は食いものかよ」
「ちょっと高いやつを食べてからは開放してやろう」
「優しすぎね?もうちょい高い物とか」
「なんでだよ!それだと可哀そうだろ!」
「じゃあお礼を期待すんなよ!」
「だったらp、お前は何を期待するんだ?」
「ん~。なんだっていわれてもなぁ。あたしだったら…好きな、人とか?」
「金で釣ろうとしてる…どうなん?」
「た、例えの話だよ!それに、あたしだったらストレートにお見舞いさせながら告るぞ!」
「さすがに殴りながらはやべぇって。せめて羽交い絞めとかにしとけよ」
「一緒だろ!」
らちが明かないので、この樽を開けてみることに。
「海賊の樽だったら、ワインな気がしてきた。俺の父さんが好きそうな」
「あ~。なんかわかる。樽ってそんなイメージあるかも」
「じゃあ、この樽の蓋をワイ~ンってあけるぞ」
「それが言いたかっただけかよ」
ワイ~ン、というわけでは無かったが、蓋を開けた。
中には…
「か、か、かつおぶし!じゃなくて、かね!」
「c、どういう間違いしてんだよ!え⁈でもこれ本物⁈え~⁈」
しかも大量に。価値は俺一人分ぐらい。
「こっちのほうを人で表すのはもっとありえねえよ!ていうか自己肯定感たっか」
「父さんと母さんが俺を大事に育ててくれたから」
「ちゃんと親思い」
「でも確かに、今のじゃ伝わりにくかったかもしれん」
なんと、樽いっぱいに、金や金の延べ棒とかはいってた。うひょ~。
「やったな、p。焼き肉も好きな人も俺らは手に入ったのも同然だ」
「なんか発想が幼稚…ていうか、好きな人ってのは悪いジョークだから!あたしは好きな人には星空の下で二人きりになった後、星座について色々語って、ストレートをお見舞いさせてから告るの!」
「せっかく途中までロマンチックだったのに、最後の最後で台無しになってる…ていうか、耐えられるのか、ソイツ?お前のパンチ食らったことあるからわかるけど、まあまあ威力あるよ。凡人なら気を失うぞ」
でも俺は凡人じゃないから気を失わない。何なら気を拾えるぐらい。
「大丈夫。そいつは初めてあたしのことを正面から向き合って、優しく、殴りかかってきたし、それにあたしのパンチぐらいじゃ気を失わない」
「そうか。でも大丈夫?ソイツ殴りかかって来てんだぞ?」
「間違えた、話しかけてきたんだった」
「大事なところを間違えてる…」
「まあその後殴りにきてるからな」
色々不安だ。でも、最初にあったころと比べたら明るくなったし、仲間思いのいい奴だし。だから大丈夫だろう。
「よし、それじゃあp、交番に届けて、お巡りさんと三人で山分けしよう」
「倫理観が変なところでストップしてる…」
結局、交番に届けようと持ち上げたら異様に軽く、偽物であることが分かった。そりゃ重かったら浮かばないし、漂うことも無理だろうし。
pもストレートをお見舞いさせなかった。
でも俺は焼き肉を食べれた。やったね。
「卑怯者…あたしも誘えよ!」
ヒロシではありません。馬戸です。このお話も、昨日の泉の女神と同じく、今後書くかもしれないお話の登場人物のお話です。少なくとも、一年間はこういう短編をまれに書くぐらいはするかもしれませんが、長編は書きません。でも、いつか書きたいですね。その時までに覚えていたらいいのですが。最後に、読んでくださった皆さん、どうもありがとうございました。それでは、お元気で。