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Hello,Black Spinel

続きです。


高校生活は恐ろしく速く進んでいく。

テストが終わった日から次のテストへのカウントダウンが始まっているのだ。

「先輩!テストが終わったのにまた1ヶ月後にはテストってどういうことですか!」

テストから3日経った日の昼休み彼女は心底解せないという顔をしてお昼ご飯をかき込んでいる。

「解せないよね……。」

「まあ?また乗り切ってみせますけどね!先輩と!」

お弁当に向いていた視線をぱっとあげてニコニコと言う。

「そうだね。また図書室でおこもりだね。」

逆に私がお弁当に目を落とす。

目を合わせるのが苦手すぎてすぐに逸らしてしまう。悪い癖だなぁ。

特に怜奈ちゃんの目は明るめの色ってこともあるからかキラキラしていて見つめることが出来ない。

彼女はいつも私の目を見つめてくれるのに。

ふるふる。と少し頭を振る。

「どうしたんですか?」

「ううん。なんでもないよ。」

気まずい空気が流れる。

なんとか話を変えなきゃ。

あっ部活の話しなきゃ。

「部活ってどうやって作るんですかね?」

まるで私の思考を読んだように彼女は言った。

「そうだね。生徒手帳にも書いてないし…。」

制服の胸ポケットから生徒手帳を取り出しパラパラとめくる。

なかなかないことだからか校則として書いてないのだ。

「やっぱり作れないんですかね…。」

少し悲しそうな顔で彼女が笑う。

そりゃ彼女は1年生だから聞けるはずもないよね。

私が先輩として頑張らなきゃ。

「わ、私聞いてみるよ!村瀬先生とかにさ…。」

少しずつ声は小さくなってしまったけど言えた。

「ほんとですか?無理、しなくていいんですよ?」

「ううん大丈夫!」

心配そうな彼女に向かって私は頑張って言った。

言ってみたにならないように頑張ろう。

そんな昼休みを越えて放課後、私は図書室に向かった。

聞いてみせる!

入口の前で深呼吸をする。

いつもはしない緊張。

やっぱり私って臆病だ。相手はいつもの村瀬先生なのに。

無理かも。足がもと来た道の方へ向こうとする。

ガラッ。

その瞬間にドアが開いた。

「ひっ!」

「あっごめんなさい!大丈夫でしたか?」

図書室からいきなり人が出てきて私は驚いてしまった。

スラッとした綺麗な黒髪の女子生徒。

「ぜ、全然大丈夫です…。」

怜奈ちゃんとの関わりで人見知りマシになったと思ってたけど全然だ。

「良かったです。驚かせてごめんなさい。では。」

優雅なお辞儀をして彼女は言ってしまった。

「大丈夫〜?ってあら黒原さんじゃない!どうぞどうぞ!」

私の悲鳴を聞いた村瀬先生が顔をのぞかせる。

あぁ。逃げられぬ。これは。

私はぎこちない足取りで図書室へ入っていった。

ガラガラ。トン。

静かに扉を閉めると図書室は私と村瀬先生、2人だけになった。

いつもなら本棚を物色するが今日は本棚へ向かない。

今日はそのために来たわけじゃないから。

ただならぬ雰囲気を感じたのか村瀬先生が声をかけてくれる。

「黒原さんどうしたの?何かあった?」

とても穏やかな顔だった。

ブンブン。逃げたい気持ちを追いやって私も口を開く。

「じ、実は!ぶ、部活作り…たくて…。」

最初はすごい大きい声が出たのに本題の部分はとても小さくなってしまった。

恐る恐る村瀬先生の顔を見るときょとんとした顔をしている。

あっこれ伝わってないかも…。

もう1回言わなきゃなの…?

ぐっと拳を握りしめて声を出そうとする。と。

「いいじゃない!こっちで話聞くわよ!座って座って!」

先生はすごく嬉しそうに言って椅子を引いてくれる。

「は、はい。」

「あらぁ部活いいじゃない〜!どんな部活が作りたいの?」

ど、どんな部活…。あっ!そこ考えてなかった…。

「ま、まだ…。作り方知りたいなって…。」

「まぁまぁまぁ大丈夫よ〜。作り方ね!」

「生徒手帳にもなかったので…。」

「そうね〜。今なかなか作ろうと思う子いないからねぇ。」

まるで懐かしむように先生は言った。

やっぱりそうなんだ。

「部活の作り方としては顧問と部員を見つけて届け出を出す。それを生徒会長に承認をもらった後に職員会議をするって感じかな?」

「意外にハードルが高いですね…。」

「そうね…部員は人がいればって感じだから探したりするのは意外にハードル低いけど顧問と承認がね…。」

工程とハードルの多さに驚愕した私が言うと先生も苦笑いをして言った。

「ちょっと考えます…。」

とても本を読む気にはならなくて図書室を出ようとする。

「うんうん!もし聞きたいことあったら気軽に聞きに来てね!応援してるから!」

ぱちんとウインクをして村瀬先生は言った。

「ありがとうございます。失礼します。」

ドアを閉めて私はため息をつく。

作るのハードル高いな…。

やれ…るのかな…。

とぼとぼと歩きながらずっと考えてしまう。

とりあえず怜奈ちゃんにも明日伝えよう。


次の日の昼休み。

「聞いてみたんだけどね。」

「えっ!」

突然話し始めた私に心底驚いた顔を怜奈ちゃんはした。

「作るには、顧問を見つけて届出を書いて生徒会長と職員会議をするんだって…。」

「わぁ…難しい…。」

「そうなんだよね…。」

沈黙。

「あ!黒原さんってあなたですか?!」

その沈黙を破ったのは見たことない女子生徒。

スラッとした高身長にまっすぐな黒い髪…。

あれ?この子どこかで…。

「昨日ぶりですね!私、2年4組の白霧寧々と言います。生徒会長をしています。村瀬先生からあなたが部活作りたいと思っていると聞いて!」

黒い瞳が私を見つめる。

凛とした雰囲気の彼女に圧倒されてしまう。

怜奈ちゃんを見ると

「スピネル…。」と目をキラキラさせながら見つめている。

「スピ…?別に圧をかけに来た訳じゃないですよ!むしろ応援しに来たんです!なかなかないことなので…。」

眩しい笑顔をしながら白霧さんは言い、なんとそのまま座った。

コミュ力お化け…。

「スピネルみたいな目綺麗ですね!」

こっちもすごい…。

「スピネルってなんですの?」

「白霧さんその質問は…。」

「スピネルは和名を尖晶石と言って、亜鉛を含んでいる物がブラックスピネルと呼ばれるんです。他にもピンクとか緑もあります!で白霧先輩の目はブラックスピネルにそっくりなんです!」

「宝石…ですか?」

優しい笑みを浮かべて白霧さんは言った。

「そうです!」

「黒原さんも宝石好きなんですか?」

「まだ勉強途中…です。綺麗だなぁとは思います…。」

なんと言ったら分からなくてすごい曖昧な言葉が出てしまう。

「うんうん。じゃあ作るのは宝石部ですか?」

「「宝石部?」」

「え、違うのですか?」

宝石部って何?!隣を見ると怜奈ちゃんもキョトンとした顔をしていた。

「え、それどんな部活ですか?!」

キョトンとしていた顔をぱあっと輝かせて白霧さんに言った。

「それは分からないですよ。お2人で決めてください。」ニコニコとしながら白霧さんは言った。

「私たちで決める…。」

怜奈ちゃんは考え始めた。

「宝石部なんていいんですか?」

純粋な疑問をぶつける。得体の知れない部活なんて。

「ふざけた感じで作るのはダメですけどお2人とも真面目そうなのでしっかりどんなことやるか練っていただければ大丈夫ですよ!少なくとも私の方は!」

先生は分からないですけどね〜とはにかみながら彼女は言った。

「しっかり…。」

難しい…。うーんと悩む私たちを見て白霧さんは言う。

「そんな気負わなくたって大丈夫ですよ!お2人がやりたいことでいいんです!ゆっくりでいいのでたくさん悩んでください!最初に言った通り応援してるので!あ、もう少しで予鈴なっちゃいますね。それではまた!」

そう言って白霧さんは優雅に戻っていった。

「宝石部…か。」

ぽつりと私が呟く。

「……めっちゃ良いですよね!」

がたっと立ち上がって怜奈ちゃんが言った。

「おお…。」

圧倒されていると私の手を握って彼女は言った。

「宝石部作りましょ!」

彼女のキラキラとした目を見てるとなんだか出来てしまう気がする。

「そ、そうだね!」


お会いできて光栄です。

部活ってどうやって作るんですかね。

宝石部ってなんでしょうか楽しみにしててください。

ではまた次の夜にお会いしましょう。

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― 新着の感想 ―
宝石部は気になりますね! でも生徒会長が気持ちを汲んでくれた時は心が温かくなりました。 青春っていいな……更新を楽しみにお待ちしております!
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