6.始まった選別
ここマノミ王国では、日々魔法の修行するもので溢れていた。
そこに一人の青年が闘技場に向かって全力ダッシュをしている。
この国の中では珍しい光景が目の前に広がっていた。
全力ダッシュしている青年がいきなり飛び上がったのだから。
「やばいやばい急がないと、あと一時間もない」
アドラーは全力で走っていた。
闘技場の参加まであと一時間もなく人目を気にする余裕がなく走っていたのだ。
そこで、アドラーは思いついた。
飛べば良いんじゃないかと時間に余裕がなく気が付かなかったのだ。
「受付お願いします!」
「今飛んでませんでしたか? 絶対飛んでましたよね!?」
受付嬢が驚いた様子で言ってきた。
「早くしないと間に合わないって! 頼むって!」
その後、ぎりぎりで受付を済ますことが出来たのだ。
受付嬢が何か言っていたが、無視して今すぐ宿に帰ることに。
宿にはレイラが入っている箱を置いてきている。
そのため、早く状態を確認したいので少しでも早く帰りたかったのだ。
いつ魔法が解けるかわからないため、一日一回確認する事になっている。
レイラの体は変わりがなく酷く傷ついたままだった。
あの後、久々にぐっすり眠ることができたが朝の目覚めは最悪だった。
あの時の夢を見てしまったのだ。
アドラーは、忘れてはいけない。
この事態を引き起こしたのは自分だと言うことに。
忘れられない悲鳴、燃え崩れる家々、あの時アドラーは何もする事ができなかったのだ。
今アドラーが出来ることは、レイラを救ってやることだけだった。
それからは、大会が始まるまで死にかけながらも修行を続け、ついに必殺の魔法を使える様になった。
大会前日に選手を選別するらしい。
間に合うのかなとは思ったが、すぐその理由がわかった。
「それでは、選手の中から大会に参加できる資格があるものを選別したいと思います」
選別? なんだテストでもするのか?
「この水晶に触れてもらい、光った人だけが大会に参加することが出来ます。力量が一定以上ではないと光りませんので」
周りがざわざわし始めていた。
「――ここでほとんどのやつが落ちるらしいぜ」
「――光るやつなんて居ないんじゃないか?」
次々と落ちてしまう参加者達。
そしてアドラーの番になり水晶に手をかざす。
すると水晶から光りが漏れ始めた。
「おめでとうございます。強さが一定レベルを超えているため大会の参加券を得ました」
今までの努力が無駄にならず一安心していた。
しかし、それを快く思わないものがいた。
「おいおいおい、何かの間違いなんじゃないの? こんな若い奴が俺より強いって壊れてるんじゃないのその水晶?」
受付嬢の方が一瞥しこう言ってくれた。
「それはあり得ません。水晶は今まで壊れたことはありませんので」
そう言うと男は、アドラーに舌打ちをして去っていった。
色々あったがアドラー意外に光るものが現れなかず、これでは試合が出来ないんじゃないかと心配したが。
聞いてみたら他にも分けてグループを作っているんだそうだ。
それでも人数が少ないんで前日でも余裕で時間が余るんだろう。
いよいよ明日は、大会だ失敗したら二度と救えないと思った方がいい。
絶対に勝たないと!
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