5.解決の糸口
見覚えがない場所でただぼーっとしている。
そこには、変わり果てたレイラの姿とそれをただ見つめるアドラーがいた。
アドラーは、これ以上レイラの体に腐りもしなければ血ももう出ないよう新しい魔法を掛けていた。
アドラー自体知らない魔法だったが、咄嗟に魔法を作り出し使う事が出来ていたのだ。しかし、これ以上魔法を重ねて掛ける事が出来ず、回復魔法が使えないことに気付いた。
だがアドラーは希望を感じていた。
もしかしたらまだ助かる可能性があるかもしれない。その希望を胸にアドラーは再び歩き出した。
あれから数日が経ち、レイラの体をでかい箱に入れ次の王国を目指していた。目的地は、魔法が発達している国で名前はマノミ王国である。
そこで、アドラーはレイラの体を一瞬で治せる回復魔法が見つかることを信じて向かっていた。
マノミ王国を目指し旅をしている最中、ある商人と出会った。
「マノミ王国が魔王軍に狙われているらしいよ。
もしかしたら、アッシュ王国の二の舞になるかもしれない、もし行こうとしているなら行かないほうがいいと思うよ」
アッシュ王国が滅びた事は全ての国で噂になっており、次に近いマノミ王国に魔王軍が現れるのではないかと噂になっていたそうだ。
「わざわざありがとうございます。……でも行かなくちゃ行けないんです」
商人のお爺さんは、優しく微笑んだ。
「そうかい。気をつけて行ってきなさい」
その後お爺さんは、マノミ王国より少し離れたセンショク王国と言う所に行くらしい。
回復魔法の用事が終わったら、そこに行ってみてレイラを助ける情報を手に入れに行ってみるのも悪くない、そう思っていた。
しばらく経った後、様々な魔物と出会い、戦いにより強い魔法を手に入れる毎日。
ここで、何故魔物の全てが魔王軍に従っているのか説明しよう。
魔王はあの圧倒的な強さと六人の幹部をまとめ上げるカリスマ性を持っている。
戦闘をすることを嫌がるものや強いものに従うものをそのカリスマ性で従わせているのだ。
魔王の強さをこの目で見て、奴の強さの底が見えないほど圧倒的だった。
そうこうしている間に、マノミ王国に辿り着くことが出来た。そこは、アッシュ王国とは裏腹に思ったより小さい所だった。
その代わり魔法の実力が優れていると考えたが、どの魔法使いもアドラーの実力より低かった。
こんなところでは一瞬で全開になる回復魔法や死んだ人を生き返らせる魔法なんて期待できない。
そこに、ある一枚のチラシが目に映る。
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