3.初めての王国
村を出て少しした頃。
二人は一緒に行動する事になっていた。
そして今は次の目的地を決めているところである。
「ここから一番近い、アッシュ王国なんてどうだ少し遊んでこうぜ! きっと楽しいぞ!」
俺がレイラに元気よく尋ね、返事が返ってくるまで待つ。
「……そうですね。行ってみてもいいかもですね。
でも、本当に魔王軍と戦いに行くんですか?」
レイラは村に居た時と比べたら、よく話してくれるようになり、簡単な質問くらいなら答えてくれるようになった。
「いや、まだ魔王軍と戦うのはやめておいた方が良いだろ。レイラと俺が強くなった時に挑戦しよう。それに今はお互いやる事があるだろ」
レイラは困ったような顔をして言ってきた。
「一体何の事ですか?」
「お互いの親探しだよ。俺も両親が誰なのかすら知らないからな」
レイラの両親は物心ついたときには居なくなってしまったそうで、それから村の人達で育てることになったそうだ。
だが、手の甲に鱗が出てきた事をキッカケに気味悪がって虐められてしまったらしい。
「そうですか。――でも、もし見つかっても仲良くなれる自信ないです……」
レイラは両親からどんな理由があろうと見捨てられ、その村では虐められてきたのだ許せるはずがないだろう。
その点俺は、ゴンゾー爺ちゃんに厳しくも愛情を持って育ててもらっていたのでそこまでの恨みはなない。
「まあ、そこまで考え過ぎんなよ。嫌だったら会わなくてもいいんだ。今は虐められた分、楽しいことして暮らそうぜ。金と時間はたっぷりあることだしな!」
実はゴンゾー爺ちゃんの島から出ようとした時にお金を根こそぎ貰ったきたのだ。
「いいんですかね? 本当にそのお金使ってしまって? ……ちょっと気が引けますね」
「だいじょーぶ! お金は使わなきゃ経済回らないらしいだろ。……それに使わないんじゃ宝の持ち腐れって言うしな。俺が使ってやらなきゃ、それじゃ早く行こうぜアッシュ王国に!」
◆◇◆◇
行き先が決まった俺達は、魔物達の襲撃を受けながらもレイラの特訓をこなし、無事アッシュ王国に辿り着くことができた。
だが、俺達は驚きを隠せなかったアッシュ王国のあまりの大きさに。
二人は多少村より大きいくらいだろと考えていたが、その想像の上を大幅に超えてきた。
「――いや、デカすぎんだろーーー!!」
「――これがアッシュ王国ですか!?」
その後、俺達はテンションがぶち上がり気付けば大声を上げていた。
王国内に入ると中には様々な物が売られていた。食べ物、便利道具、剣、服、などなど何でも売っており、そこで俺達は堕落のかぎりを尽くしていた。
魔王軍の陰にも気付かずに。
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次の話は、ちょっと文字増えるかも