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第4話 お前の子供は授かった

season(シーズン)のリーダー、ナツの赤ちゃんが出来ました! 元気な赤ちゃん産んであげるね! ナツ!」


 昨夜9時ごろ、陽性反応が出ている妊娠検査薬の画像と共に、とあるSNSにそんな書き込みが行われていた。


【seasonって、あのseasonだよね?】

【このアカウント女子中学生だよな!? って事はナツって女子中学生と……!?】

【うわーこれ終わったわー。バンドがボンッ! って消し飛ぶぞこれ】


 書き込みが書き込みを呼び1晩で30万PV以上という、とんでもない規模で拡散されてしまった。




 翌朝……ナツのスマホにseasonが所属していた音楽レーベルの担当者から怒りの電話が届いた。


「おいナツ! どういう事だこれは!? 女子中学生を妊娠させただと!?」


「!? ちょ、ちょっと待ってください! どういう事か説明してくださいよ!」


「知らないのか? わかった、じゃあ教えよう。事の発端は……」


 seasonの担当者は昨夜起こった事を出来るだけ詳しく教えた。

 発端は中学生と思われるアカウントが、ナツの子供を妊娠したという書き込みをし、そこからバズりにバズって1晩で30万PV以上という大拡散が起こってしまったのだ。




「で、どういう事なんだこれは?」


 担当者は詰め寄るが……。


「知りませんよ! オレは淫行なんてやった事ないですよ! そいつが勝手に書き込みしたに決まってます!

 PV欲しさになりふり構ってられなくなって、他人を巻き込んでやらかしたんじゃないんですか!? とにかくそんなのは知りません! 知らないって言ったら知らないですよ!」


「……お前たちの間で淫行の噂を聞いたのは1度や2度じゃないぞ。本当なんだろうな?」


「本当ですよ。俺はファンに手を出しただなんて1度もありませんよ。潔白ですよ俺は」


 ナツは裏では散々ファンを食ってるくせに、こういう時は口からいくらでもでまかせが出る。色々と「慣れてしまっている」その表れなのだろう。




「……わかった、お前の事を信じよう。事務所側には『中学生側が大ウソを付いて勝手にナツを巻き込んだ』と報告して、それを前提として調査するという事でいいか?」


「ええ、それで構いません」


「それと! こういう淫行が噂されるんじゃ今後の活動にも影響が出るんだから、身の潔白を主張したいのならくれぐれもこういう話が出ないようにしてくれ。

 今じゃ世間の目はスキャンダルにことのほか厳しいから、くれぐれもやらかさないでくれ。頼んだぞ!」


「はい。申し訳ありませんでした」


 通話が切れた。




 その日の夜、舌の根も乾かないうちにいつものようにファンを「1対3」で食って彼女の意識を飛ばした後、seasonメンバーは例の話をリーダーのナツにしだした。


「オイ聞いたか? ナツの子供を妊娠したっていう女子中学生の話だよ」


「ああ、聞いた聞いた。妊娠検査薬で陽性がでた、って奴だろ? ナツ、本当の事はどうなんだ?」


 仲間からの問いかけに、ナツはとんでもない暴言をぶちまけた。




「そういえば前にゴムが外れた時があったんだけど、あれと時期が合ってるんだよな。一応あの時アフターピル飲ませたんだけどなぁ」


「ええ!? 否定しないのかよ!?」


「なぁに時間が経てば無かったことにされるだろ? 平気平気。それにアカウント名に今まで食った女子中学生の名前は無いからガセネタだと思うぜ。

 万一オレの子供を妊娠したとしても中絶費用と慰謝料と口止め料出せばいいだけだろ? どうってことねえよ」


 もし本当に妊娠したら中絶費用を払えばいい。悪びれることなくそんな悪臭漂うセリフが口から出た。

 この事がseasonの活動に「致命的な一撃」となるのだが、今の彼らは知らなかった。

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