未練
君が怒らないから、私は安心してしまった。
君が泣かないから、私は満足していた。
君が笑うから、私は今の自分を愛してしまった。
こうして今も君ばかりを責めているような私だから君は消えたのだろう。
君がいなくなったと気づいてから泣いていた私だから君は答えないのだろう。
あぁ、なくなってからでしか気づけない人間の愚かなサガよ。
こんな生臭い詩を叫んでも君は姿を現さないだろう。
たとえ私が大衆の前でこの詩を叫ぼうとも、君は素知らぬふりをするだろう。
ただ、もしこの詩が君の耳に入ったのなら一言だけ聞かせて欲しい。
幸せだと言ってほしい。
ただその言葉さえ聞けたのなら、私はもう君を想い出さないと誓おう。