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高校中退から始まる探索者生活  作者: 聖花 シヅク
借金苦の生活は嫌なので探索者になろうと思います
3/13

初めての攻略です→押しつけ屋を訴えました

どうも、シシノです

前話から1日と半あきましたが、思っていたよりも見て貰えているようで嬉しいです

続きが読みたい、いい暇つぶしになった、そう思ってくれた方は、ブックマーク並びに評価の方よろしくお願いします


次話の投稿は明後日のこの時間になります

10話ほどしか書きだめしていないので、2日おきの更新となります

また、来週の水曜日から、1週間ほど更新を中止させていただくことになります

ご理解のほどよろしくお願いします

 北浦迷宮から出た珱霞は、真直ぐ協会へと向かった。

 今日も今日とて、昨日と同じ人の所が空いていた。


「おいアイツ」

「昨日もあの人の所に行っていたよな」

「証拠がないから誰も文句言えていなかったアレ、やられなかったのか?」

「でも、いつも次に潜るときにはやってるよ」

「じゃあ、何で無事なんだよ。昨日登録したばかりのやつだぞ」


 後ろの方で数人が固まってこそこそと話しているが、周りが騒がしいのも相まって何を言っているのか分からない。


「すいません。魔石の売却とゴブリンナイフ、スライムゼリーの売却。あと、押しつけ屋の訴えをお願いします。顔は写真に撮ってあるので」

「は、はい!では、アイテムの方をこちらに置いてください」


 いわれた通り机の上に、今日取れたアイテムをバックから取り出し置いていった。

 かなり重かった気もするが、バイトで運んでいた物に比べればかなり軽い気がする。ステータスが上がったおかげか?


「あ、あの、まだありますか?」

「はい、魔石だけでもあと300はあります」

「すいません。今トレー持ってきますね」

「お願いします」


 ナイフは何故か持ち手部分に穴が開いているので、そこにひもを通して持ってきた。スライムゼリーは瓶の状態で出るので、そのままバックの中に居れ、魔石で割れないように気を付けた。


「お、お待たせしました!」

「大丈夫ですよ。息を整えてください」

「あ、有難う、ございます」


 受付の人は随分と急いだのか、息が切れていた。体力がないだけかな?


「ふぅ。落ち着きました。では、こちらに魔石を出してください。魔道具で識別するので、分けなくても大丈夫ですよ」

「分かりました。では、こっちがスライムゼリーです。で、こちらがゴブリンナイフ。最後に、魔石ですね。これで全部です」

「はい。確認しました。では、清算してきますので少々お待ちください」


 受付の人はまたも走って去っていった。


 5分ほどが過ぎたころ、受付の人はまたも息を切らしながら戻ってきた。


「お、お待たせ‥‥しました。では、こちらが明細です。お確かめ、ください」

「はい。ありがとうございます」


・スライムの魔石…40個:\2000

・ゴブリンの魔石…307個:\21490

・スライムゼリー…28個:\5600

・ゴブリンナイフ…51個:\1530

小計:\30620

税3%:\918.6

合計:\29702


「はい。大丈夫です」

「では、アプリの方開いてもらえますか?」

「えっと…アプリ、ですか?」

「‥‥?」


 ポカーンとした顔で首をかしげる姿も確かにかわいいが、今回はきちんと仕事をしてほしい。


「すいません。昨日伝えませんでしたか?」

「ええ。何も」

「すいません。では、スマートフォンでこちらのQRコードを読み込んでもらえますか」

「分かりました‥‥読み込めました」

「では、そちらのURLを押してください」

「これで大丈夫ですか?」

「はい。では、ご自身のカードのバーコードを読み込んでください‥‥はい、出来たようですね。では、アプリのバーコードを開いて貰えますか。はい、大丈夫です。では、こちらに置いてください‥‥はい。これでお金が入ったと思います」

「あの、これって、何処でも使えるのですか?」

「はい。大抵の場所で使えると思います」

「出し方ってありますか?」

「銀行の方で出せますよ。ここの協会にもATMがありますので、ご利用の際はご自由にお使いください」

「分かりました。丁寧にありがとうございます」

「いえいえ。それにしても、珱霞さんでしたよね?凄いんですね。私、1日目であそこまで倒してきた人始めて見ました!あ、哲也はしていないですよね?」

「ええ。今朝から入っていたので。昨日はステータスを取るのに、入り口にだけ」

「それなら良かったです。あ!忘れていました。押しつけ屋を訴えるのでしたね。写真を見せていただけますか」

「分かりました…これです」


 仕事はきちんとできる人だったようで良かった。でも、押しつけ屋のこと忘れていたとは。


「えっ!この人たちがやった押しつけから逃げられたんですか?」

「いえ、逃げられそうになかったので、倒してきました」

「ああ、それで‥‥ええ!?本当にあんなに倒したのですか!?」

「はい。結構大変でしたけど、3階層に溜まっていたスライムから水魔法が取れていたおかげで助かりました」

「それは良かったです。でも、今後は無茶なことは控えてくださいね。では、こちらの写真は警察の方に上げておきますので」

「ええ。お願いしますね」

「では、次回のご利用お待ちしております」


 そう言ってペコリと受付の人は頭を下げた。

 僕は、一言挨拶を残し、家へと帰っていった。




「よし、今日は昨日の残りでも食べるとするか」


 昨日大家さんが持ってきてくれたおかずと、今朝おにぎりを作るのに作ったご飯がまだ残っている。

 一般的な高校生の食べる量としては少ないかもしれないが、普段からこの量しか食べていない珱霞からすると、丁度いいくらいだ。これでも中学の頃よりは量が増えている。


「いただきます」


 10分足らずで食べ終わった。


「明日の予定を立てるとするか」


【目標】

①北浦迷宮の完全攻略

➁レベルを10まで上げる

③スキルを新たに手に入れる


「こんな所だな。最低でも1つ目の目標は達成しよう。それが出来れば2つ目の目標は達成できるし、運次第で3つ目の目標も達成できるからな」


 迷宮攻略の報酬は運しだいだが、スキルオーブが手に入ることもある。このスキルオーブは何が手に入るかはランダムだ。

 他には魔法のスクロールや鉱石、武器に防具、ポーションなどのアイテムが出たこともあるらしい。スキルオーブ以外は迷宮のランクに合った報酬が出てくると言われている。


「今日は疲れたし、少し休んだら寝るとするか」


 その時、珱霞のスマホに電話がかかってきた。


「ん?誰か、かけてくるような人いたか?」


 残念なことに、珱霞のスマホにはほとんど番号が入っていない。学校の友達は“Link”と言うアプリで十分だったので、電話は入っていない。電話がつながっているのはバイト先位のものだが、バイト先からかかってくる理由が良く分からなかった。

 ついでに言うと、珱霞はバイト先を番号でいれていたので、何処からかかってきているのか分からなくなっていた。


「18番‥‥積み込みのバイトか?まあ、出てみれば分かるか‥‥もしもし、夜冥です」

『ようやく出たわね!何で仕事辞めたのよ!』

(ええ…こいつからかかってきてたのか。あいつの親、過保護だったからな‥‥)


 電話先の相手は『白水河(しらみかわ)凛夏(りんか)』だ。かなり大きな財閥のお嬢様らしい。そこの家で、家の掃除と家庭教師のバイトを週2でやっていた。

 雇い主である彼女のお父さんにもかなり良くしてもらっていたし、バイトの給料も他の倍くらいはあったのだ(その分守秘義務もあった)が、探索者を始めるこの際、週2回もバイトに行くのは移動も大変なのでやめてきた。


「何で、とはどういうことですか?」

『そのまんまの意味よ!勝手に辞めてただで済むと思っているの!』

「ええ。思っていますよ。きちんと、雇い主である心夜(しんや)様には報告しましたので、勝手に辞めたわけでもありません。そして、この国にはバイトを辞めることに対して、それを引き留める法律はありません」

『うっ‥‥それでも!あんたは辞めちゃダメなものはダメなの!分かったら、明日はちゃんと来なさいよ!』

「すいま『ツーツー』切れた…まあ、いいか。どうせ行く気はないからな」


 凛夏の相手は大変なので、基本的には流すことが必須スキルだ。僕の場合は両親が酔っ払ったときの対応と同じような対応で、凛夏からは逃れていた。


「よし、早く休むとするか」


 珱霞は直ぐに切り替え、寝る準備を始めた。




 翌朝、珱霞は朝食を食べ昼食の準備を終えると、北浦迷宮へ向かって自転車を飛ばした。

 今日は空に雲がかかっていて、多少涼しさを感じる。梅雨の時期なのでジメジメとした空気があるのは否めないが、それでも気温が多少下がるだけでかなり涼しく感じる。


「はやく迷宮に入って涼もう。迷宮は季節関係ないからな…」


 迷宮の中は季節に関係なく、その階層ごとのギミックに応じて温度が変化する。

 迷宮によっては火山地帯や氷山地帯、砂漠などもあったらしい。ステージギミックで温度変化が大きいのは、Bランク以上の迷宮だけなのでしばらくは関係ないのだけどね。


「じゃあ、5階層までは一気に駆け抜けるとしますか」


 5階層にはフロアボスと言う存在がいる。フロアボスは5層ごとに居て、それぞれがゲートキーパーのような役割をしていると言われている。その魔物を倒すことで、次回からその階層から潜れるようになるらしい。勿論、最初から潜ることも可能だ。

 今日は押しつけ屋もいないだろうし、昨日のようにスライムが大量にいるという事もないだろう。という事で、5階層までなら一気に駆け抜けられると考えたのだ。




 その考えは当たり、5階層までほとんど戦闘もせずに辿り着くことができた。


「それじゃ、行きますか」


 ボス部屋の前には比較的大きめな扉がある。

 扉に刻まれている紋で敵が分かるらしいが、それを覚えている人は早々いない。わざわざ調べても、相手の強さが分かる訳でもないので、わざわざ調べるだけ無駄なのだ。

 珱霞は重たい扉をゆっくりと開いていった。


■■■■■


「敵はホブゴブリン。レベルは‥‥12か。まあ、そう手間取る相手でもないかな」


【ホブゴブリン:レベル12】

ゴブリンの上位種

モンスターランクとしてはFランクとなっている

武器は主に棍棒、またはゴブリンナイフを使用する


 モンスターランクは迷宮ランクと同じ区切りになっている。ゴブリンやスライムなどがGランクで、その上にその上位種や別の魔物が入る形だ。

 勿論ランクが高いほどレベルに対応するステータスも高くなっている。人間の平均と同じレベルになるのはCランクと言われている。Bランクにも同じくらいのやつもいて、スキルなどの影響でCランクとBランクは分かれている部分もある。


「それじゃ、行きますか」


 珱霞はゴブリンナイフを両手に持って駆け出した。


「グギャ!」


 ホブゴブリンの反撃をバックステップで避けると、前方に向かって急加速。首を狙ったが、それは避けられ顔を掠るだけにとどまった。


「ゴブリンなら今ので終わっていたんだがな。腐っても上位種か。〈水球(ウォーターボール)〉」


 今までほとんど使ってこなかった水球をホブゴブリンに向かって放ち、自信はその後ろに隠れるように走る。

 ホブゴブリンに近づいたところで、身を屈め水球の下を通る様に飛び出した。


「これで終わりだ!」

「グギャッ!」


 突然下から現れた珱霞に反応しきれなかったホブゴブリンは、攻撃を避け切れず攻撃をもろに食らった。

 しかし、ホブゴブリンは魔石化しなかった。


「まだ死んでない!?くッ」

「ギャギャギャ!」


 ホブゴブリンの動きにはスムーズさなど無く、ステータス頼りの攻撃だったことが功を奏しギリギリで振りおろしを回避することができた。

 ホブゴブリンの腹は避け、ドバドバと緑色の血が流れ出てきている。そこまでかからずにきっと死ぬだろう。しかし、それまで待っているのはつまらない。


「〈水針〉クアッド〈水球〉ダブル」


 血を流し動きの鈍っていたホブゴブリンは避けることは敵わず、その攻撃で今度こそ死んだ。


「はぁ。もっと早く倒すつもりだったんだがな。予想よりも強かったか」


 ステータスだけに頼って戦う事でも勝つことは十分にできる。しかし、珱霞の強みは多彩な才能だ。それを活かすためにも誰かから教わることも必要なのかもしれない。今回の戦いでそのことに気付いた。


「金が溜まったら、誰かに教えて貰うか。誰かやってる人いたかな?」


 珱霞のやっていたバイトの仲間の中には、探索者をしながら少しバイトをやっている人もいた。

 しかし、珱霞の覚えている限りでは、武器を上手く使える人はいなかった気がする。


「まあ、最悪協会の方で募集してもらうとしよう。それはそうと、今回の報酬は何かな?」


 フロアボスを倒すと、出口の近くにアイテムの入った宝箱が現れる。

 それを目的として、低い階層だけを潜っている人もいるらしい。勿論、よりランクの高く、より低い階層でのほうがアイテムはいいものがもらえる事が多い。

 今回はそこまで良い物でもないかもしれないな。


 そんなことを考えながら宝箱を開くと、中には5つのポーションが入っていた。


「“鑑定”」


【ヒールポーション】

5級のヒールポーション

小さな怪我までを直すことができる

連続で使用すると効果が薄まる


「5級のポーションか。かなりいい方だよな」


 酷いときはゴブリンの牙とかが出るらしい。よっぽど運の悪い人だけだと訊いているが、まあ、そうそう出るものでもないだろう。


「先を急ぐとするか。ここからは、多少ゆっくり進むしかないからな」


 ここから先の階層では、魔物のレベルが上がる。ここから先には、ホブゴブリンやスライム上位種が出ることもあるらしい。レベルの平均は15だそうだ。先程戦ったホブゴブリンよりも強い可能性もあるらしいので、気を付けて潜るとしよう。


最後までお読みいただき有難うございました


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