盛大にお祝いされました→寮母に就任しました
皆さんおはようございます
昨日の夜、本作には全く関係の無い私的なものでしたが、Wordのファイルを何故か保存できずに1時間ほどキレている間に日をまたいでしまっていました
この話を日をまたぐ前には投稿しておこうと思っていたのに過ぎてしまうという事になりました
新規で保存するのに『ファイルがありません』と言う謎メッセージにガチでキレました
休みに入った直後の昨日が、休みで一番切れた日になるかもしれません
では、改めて『第10話』お楽しみください
「夜冥さん。ついて来てください。寮の場所をお教えしますので。あと、寮に住んでいる人を改めて紹介させていただきます」
「分かりました。よろしくお願いします。久良さん、色々と有難うございます」
「いえ、これが仕事ですから。それに、無茶を言われているわけではございませんので、全然大丈夫ですよ」
きっとリオナさんから色々と無茶を言われてきた経験があるのだろう。何となく、あの人は自分が出来ることは他の人にもできる、そう思っている気がする。彼女は自分の非常識さを分かっていないのだ。
なお、珱霞にもそのふしがあるが、自分では気が付いていない。
「寮はここから歩いて5分程の所にあります。出来たのはここを作ってからなので、築3年程度です。かなり新しいですよ。当時の技術を丸々詰め込んだ形ですからね」
「そうなんですか」
正直、技術を詰め込んだと訊いても、良く分からない。土木関係の知識など殆ど無いのだ。家のつくり程度なら少しは知っているし、材木の種類も知っているが、技術関係の事は全く分からない。
「ええ。まあ、あまり分からないでしょうから、この話は終わりにしましょうか。そう言えば、夜冥さんの目標は何ですか?」
「目標ですか?そうですね‥‥取り敢えずAランクになるのを目標にしようと思います」
「ほう。Aランクですか。かなり高い目標ですけど、それが取り敢えずですか」
「まあ、元々の目標が、今月中にCランクになること、3ヶ月でDランクの迷宮に潜ることだったんですよ。取り敢えずCランクに上がったら、誰かに師事しようかと思っていたのですが、ここに入れて貰えたので、見て盗む…と言うと、言葉が悪いですかね?まあ、そんな感じで今月中にはDランク以上の迷宮に潜れそうですし、1年以内の目標をBランクに、来年の目標をAランクの迷宮で上の階層を目指す、また、あなた達トップパーティに追いつくことにしようと思いまして」
「私達に追いつく、ですか。あなたなら将来的には出来るでしょう。ですが、簡単に追いつかれたりはしませんよ」
「ええ。相手が強い方が燃えるというものです」
珱霞は基本的に負けず嫌いだ。基本的には何事でも負けないが、それでも負ける事がある。その度に、珱霞は努力を重ね、今の珱霞がいる。
頭脳明晰、文武両道、まあ、容姿の事は特に努力もしていないので置いておくが、兎も角噂には堪えなかったし、告白も沢山されていた。その度に断ってはいたが、何度も告白してくる相手も珍しくはなかった。
「そうですか。では、楽しみにしていますよ。ところで、誰かに師事したいのですか?」
「まあ、そうですね。個人的な意見なのですが、動画で剣道の試合や剣に纏わるものは一通り見たのですが、実戦。それも、対人型以外にはあまり向いていない感じがするんですよね」
「そうですか。まあ、そうですよね。人が今まで歩んできた歴史の中で、人型以外を相手にしていることは早々ありませんからね。そう考えると、確かに魔物を相手にするには向いていませんね」
ゴブリンやスライムを相手にしている分には気にならなかったのだが、ブラッドウルフたちと戦ったときに違和感を覚えた。
人間とは骨格から何から、全てが別物なのだ。スライムはそもそも粘性の物体なので関係なかった。
「多分ですが、夜冥さんはレベルが上がればDランクの迷宮なら十分にやっていけますよ」
「そう言ってもらえると嬉しいです」
「あと、剣の使い方でしたよね。進登か櫂に頼んでおきましょう。どちらかと言うと進登の方があなたの戦い方にあっているとは思いますが、彼は何かと忙しいので難しいかもしれません」
「いえ、紹介してもらえるだけでも助かります」
「それなら良かったです。…寮が見えてきましたよ」
「あれですか?」
久良が指さした方を見ると、かなり大きな、屋敷があった。
今時の西洋風の建築で特に珍しくもないが、兎も角広い。そして、大きい。
敷地の広さは分からないが、門から家までの距離を見るかにかなり広いだろう。
「では、こちらが寮です。正確に言うとシェアハウスですが、一応寮と言う扱いになっています。シェアハウスだと経費が降りませんが、寮ならば経費が降りますからね。まあ、経費で降りなくとも問題は無いのですが、顧問税理士と話し合った結果寮と言う扱いになりました」
「そうですか‥‥凄く広いのですね」
「敷地面積は50万平米くらいで、家は5万平米くらいでしたよ。敷地の大きさに対して、家が小さく感じるかもしれませんが、3階建てなので、その3倍ほどはあると思ってください。面積で言うと…水戸のイ〇ンほどですかね?」
家の敷地だけでイ〇ン並みとか、広すぎるだろ。
敷地面積はその10倍あるのか‥‥。
正方形で考えると、1辺220から230mくらいだが、歩くことを考えるとかなり長く感じる。とは言っても白水河家の本邸に比べると、かなり小さいけどな。
「かなり広いんですね」
「そうですね。ですが、深芭様は高層ビルを所有していますよ」
「高層ビルですか⁉」
「はい。ご実家の方は一部の区を丸々所持していますしね」
「そう聞くと、この家の広さが普通に感じてくるんですね」
「まあ、そうですね。私自身、かなり価値観が狂っている自覚はありますが、それでもまだ深芭様に比べるとまともですよ。彼女の場合、下手すると億単位のお金を動かしますからね。この寮だって100億以上しましたよ。それに加えクランハウスの方も彼女のポケットマネーから出ていますからね。あちらも数十億はしていましたから」
「億単位だと、デカすぎて逆にあまり良く分からなくなりますね」
「そうかも知れませんね。でも、あなたも将来彼女に追いつくつもりなのならば、それ位のお金がまとめて入ってくるようになるかもしれませんよ」
「スポンサーがついたり、CMに出たりですか?」
「そうですね。彼女もいくつかのCMに出ていますし、私達もパーティ単位でなら何度か出ていますよ」
CMなどに出ると、物によっては数億単位のお金が動くという。特にスポーツメイカーなどだとそう言った事が多いらしい。それ以外はあまり聞いたことがないので分からないが、それでも大きなお金が動いているのは確かだろう。
「それに、あなたなら東京で大通り歩いていれば、そっちの話もかけられそうですよね」
「そうですか?」
「ええ。モデルにスカウトされるかもしれませんよ」
「スカウトされても、そちらに所属することは無理ですけどね。バイト程度ならともかくですけど」
「はい。よく覚えていましたね。時折、これで調子に乗ってスカウトされるために東京に行くとかいう莫迦もいるんですよ。そう言った方たちにはもう一度契約書の読み直しをさせています。逆に凄い勢いで謙遜する人もいますけどね」
「まあ、突然そんなこと言われれば戸惑いますし、人見知りの人には少し恥ずかしいですよね」
「そうなんですよ。まあ、私としてはそちらのバイトをして、本業の方を忘れさえしなければ自由にしていいと思いますけどね」
「そうなんですか?」
「ええ。…玄関に着きましたね。改めて寮についての説明をしますね。中については直接聞いてください。私も全てわかっているわけでは無いので」
「お願いします」
「寮の名前は『蒼穹寮』です。まあ、そのまんまですよね。見た目には全く蒼要素無いですけど」
寮の見た目は黒主体で、場所によっては白色の壁を使っている。
少なくとも青色の部分は無い。
「人数は女性4名です」
「あれ、男性は?」
「今はいませんね」
「男性もいると訊いたのですが?」
「残念ながら、ここは女子寮です」
「女子寮、ですか?」
「はい。そうですよ」
「……」
「まあ、そう言う事ですので。話しを続けますね。自己紹介はあとでしてもらうとして、仕事は洗濯、料理、掃除、点呼の4つです。まあ、洗濯については皆さんと話し合って決めてください。では、中へ入ってください。私はあなたが中に入ったのを見届けたら帰りますので」
ジト~っとした目線を向けてみたが、意にも返さず淡々と仕事の確認を終えてしまった。
「入らないのでしたら、無理矢理中へ突っ込みますよ。すでに、契約書は書き終えた後なので、契約を破棄するとなるとかなりの違約金が…」
「分かりましたよ」
「では、頑張ってくださいね」
そう言って、久良さんは帰っていった。
珱霞はインターホンを押して、中から人が出てくるのを待つ。
「は~い。あれ?新人君だよね。どうしたの?」
「今日からここの寮母としてバイトすることになりました。夜冥珱霞です。よろしくお願いします」
「寮母さん‥‥まあ、いいか。じゃあ、ついて来て。皆の事を紹介するから」
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「じゃあ、私からね。私は藤堂美愛、18歳。美しいに愛すると書いて美愛ね。ミアって呼んでね。よろしく」
美愛さんはは茶髪で身長は女性の平均よりも少し大きく、170はありそうだ。身体の起伏もそこそこあり、健康的な感じがする。見た目だけで判断するならば。リア充と言う奴だろう。
「次は私。綾川那波。年は18。那覇の那に波と書いて那波。好きに呼んでくれていい。よろしく」
那波さんは黒髪ロングの正統派の美人さんだ。身長は160手前くらい。身体の起伏は寂しいが、それを置いても余りあるほど綺麗で、クール系の大和撫子と言った感じだ。
「私は深鷺優姫。年は19。優しい姫と書いて優姫だけど、名前と違ってきつい性格だから。名字で呼んでちょうだい」
深鷺さんも黒髪ロングで、身長は美愛さんと那波さんの間くらい。目付きも鋭く、身体の起伏は平均ほどで、きつめの美人さんだ。
「次は私、だよね。私は、陽衣良夏弥、です。年は17歳、です。夏に弥生の弥で、夏弥です。好きに呼んでください」
夏弥さんは銀髪で見た目は西洋人と言った感じだ。身長は皆の中でも特に小さく150程度しかないだろう。それと同じように体の起伏にも恵まれておらず、どちらかと言うと妹のように感じる、守ってあげたくなるような感じだ。まあ、自分の方が弱いので守られることはあっても逆は無いだろう。
「最後は僕ですね。パーティーでも自己紹介はしましたが、夜冥珱霞16歳です。桜の木辺を王に変えて霞と書いて珱霞です。ここで寮母のバイトをすることになりました。呼び方は、ミアさん、那波さん、深鷺さん、夏弥ちゃんでいいかな?僕のことは気軽に名前で呼んでください」
ごく一般的な挨拶だ。小さい頃はホストだ、女誑しだと言われてきたが、今の年ならばごく一般的な挨拶に見えるだろう。
そう、今さっきまでそう思っていたのだが、深鷺さんも含めて皆が赤面している。どうしてこうなった?
「‥‥え~っと、皆。大丈夫?」
「はっ⁉あ、うん。私は大丈夫だよ。うん。アイドルを見たときと同じような物。うん。そう‥‥(ブツブツ)」
「私は大丈夫。ただ、その笑顔がいいと思っただけ」
「あ、当たり前でしょ!何を勘違いしているのかしら!」
「だ、大丈夫、でしゅ」
徐々に声が小さくなっていったのがミア、素直に感想を言ったのが那波、逆切れしたのが深鷺さん、噛んだのが夏弥さんだ。
「えっと、名前の呼び方は大丈夫、かな?」
「私の事は呼び捨てでいいよ。珱霞君、でいいんだよね?」
「うん。これからよろしく、ミア」
「は、はい!」
「呼び捨てでいい」
「那波もこれからよろしくね」
「ん」
「私はそれでいいわ。私は夜冥って呼ぶから」
「よろしく、深鷺さん」
「ええ」
「わ、私も、それで大丈夫、です。珱霞、さん」
「夏弥ちゃんもこれからよろしくね」
自己紹介はこれで終わりだ。無事に終わった、とも言い切れないが、取り敢えずは大丈夫だろう。
次に、仕事の話に移るとしよう。
「じゃあ、仕事の話なんだけど。一応頼まれているのは、洗濯、掃除、料理、最後に点呼。洗濯についてはあとで話し合うとして、掃除はどうする?皆の部屋もやろうか?」
「私はお願いします!」
「私も」
「私はいいわ」
「私も、大丈夫です」
「じゃあ、ミアと那波の部屋はやるね。次に料理だけど、皆の好き嫌いとアレルギーだけ教えて貰えるかな。あとでアンケートをスマホに送るよ。あ、でも、皆の連絡分からないか。じゃあ、紙で作るね」
「じゃあ、連絡先交換しようよ!Linkでグループ作ればいいでしょ。取り敢えず私の方でグループの申請送るから。じゃあ、はい。珱霞もバーコード出して」
「うん。仕切ってくれてありがとう。じゃあ、これね」
珱霞はバーコードを画面に出し、読み取ってもらう。
その後ミアからグループの申請が来たのでそれに入った。
「じゃあ、アンケートはあとで送るとして、最後にお風呂の時間だね。皆は何時に入っているの?僕はあとの方が良いかな?それとも、先の方が良い?」
「私はどっちでもいいかな。あ、私はいつも2番目か3番目くらいに入っているよ」
「私は最初が良い」
「私は最後でなければいいわ」
「わ、私は最後がいい…です」
元気よく手を上げながら自分の意見を言ったミアから始まり、小さく手を上げながら言った夏弥ちゃんで終わった。
「こうなってくると、ミアか深鷺さんの前後になるけど、大丈夫?」
「なら、私が先に入るわ」
「じゃあ、私は真ん中で入るよ」
「じゃあ、僕は4番目ですね。時間もある程度決めておきましょうか」
最初に入る那波は6時頃から30分間、二番目の深鷺さんは那波があがってから1時間程度、深鷺さんがあがったら夕食にして、ミアが夕飯後30分程度、次の珱霞は15分程度、最後の夏弥ちゃんは特に時間の制限は無し。点呼の時間までに上がれば良いことになった。長風呂をしたいから、最後が良いといったのかな。
「じゃあ、最後に洗濯だけど‥‥どうする?」
「私は出来ないかな~。あはははは…」
「私も無理。任せる」
「私は自分でやるわ」
「私は、お願いしてもいいですか?」
「じゃあ、ミアはどうする?」
「私もお願いします」
「じゃあ、下着なんかは洗濯網に入れてください。下着は夜のうちに皆さんの部屋へ届けますので、部屋で‥‥あ、干す場所ありますかね?」
「あ、私は見られてもいい。だから全部よろしく」
「え?あ、はい。分かりました」
流石に下着まで任されるとは思っていなかったので驚いた。
「わ、私もお願い、します」
「私もお願いしちゃおうかな‥‥」
「わ、分かりました。この家って、洗濯を干すような場所はありますか?」
「あるわよ。部屋の場所などはこの後教えるわ。あなたの部屋も決めなければならないから」
「あ、その話なんですけど、僕この寮に入るのは明日からです。今日は料理だけしたら帰らせていただきますね。荷物は何も持ってきていたないので」
「そう。私は明日迷宮に潜るから、案内は他の人に任せるわ」
「あ、私は明日学校だから」
「私は買い物に行くから、家にはいない」
「え…あ…わ、わたしが案内、しますね」
こうして、珱霞の案内係が決まった。大丈夫かな?
最後までお読みいただき有難うございました
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