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その時魔界は震えた。

お久しぶりです。更新が亀過ぎる拙作にコメントありがとうございます。リアル友人の続き読みたいパンチにも気力いただいておりまふ。これからもがんばりますので生暖かく見守ってください。

魔界の上空に突然異界の裂け目が発生した。


魔界で各々の領地を統べる魔王達も、有象無象の悪魔達も、裂け目が出来た瞬間から魔界という世界で枯渇しかけていた瘴気が大量に流れ込むのをはっきりと感じ取った。


悪魔は総じて我欲の塊であり、誰しもがこの降って湧いた恵みを我が物に独占しようと裂け目を目指す。

悪魔が集まる程、結局力ある魔王達が場を制すが……


他を威圧し裂け目に一番に到着した魔王は眼を見開いた。


そこには近頃行方不明になっていた魔王マルコキアスが、いかにも神聖な銀の刺の蔓に刺し貫かれて吊るされ、穴という穴から瘴気を吐き散らしていたのだ。


マルコキアスはとある事件から、棚ぼたで一気に序列を5位にまで登り詰めた事と、全魔王の中で一柱だけその事件に関わらなかった事で、他の魔王に白眼視されていた。


「好機……良きかな…良…!!!???キャーーッッデタァアアアアア!!!」


裂け目の奥を覗いた魔王は雷に打たれたように大きく震えた。


瘴気の独占に序列争いという旨味が加味され、マルコキアスを追い落とす好機に舌なめずりさえしたのもつかの間。

裂け目の向こうにチラチラ見える黄金のトサカに奇声をあげて引き返し、居城の奥に引きこもってしまったのを嗤える魔王種はこの魔界に存在しない。(出遅れた魔王も遠隔視で現場確認済み。突撃中止は必然!!)


「「「アカン……アレはアカン……」」」


全ての魔王が瘴気の大瀑布というフィーバータイムから背を向けたら、木っ端の悪魔達もアレが『ヤバいモノ』だと迂闊に近づけなくなってしまった。

そもそも魔王以下の悪魔にとって、魔王は雲の上の存在であり、その魔王マルコキアス(しかも現在序列5位)が無惨にも聖なるトゲに刺し貫かれ拘束され為す術もなく吊るされている様など恐怖でしかない。


唯一、マルコキアスの眷属(わんわん系多数)だけが一族の王たるマルコキアスを心配するあまり、接近できるギリギリの距離まで近づいてクゥーンと切ない声をあげ、地味にチンピラーノに会心の一撃を我知らず与えていたのである。


それはさておき。


裂け目の周辺地域だけが瘴気活性化し潤ってしまうと、魔王達が多少やきもきしたものの。


「すげぇ量降り注いでるけど、一体何があったらこんなに瘴気を溜め込んでおけるんだ……外界怖い……」


なんとそれから1ヶ月という期間に渡り、大量に注がれた瘴気は魔界全体を潤す程に染み渡った。


某勇者パーティに暴れられ大魔王の城が崩壊したり、72柱中71柱の魔王が再生誕を余儀なくされ魔界のエネルギーたる瘴気が大量に消費される前の魔界よりも瘴気は満ち溢れたのであった。


「……我が君……マルコキアス様……」


「「「「クゥーン……」」」」」


眷属達は、至近距離で瘴気を浴びそれらを取り込み自身を強化させ種族進化さえ果たしたが、彼らの王を救うには至らず、今日も悲しげに王を見つめていた。

それによりチンピラーノの心に有刺聖銀線よりも鋭い何かが突き刺さっていることを彼らは知らない。


「瘴気が……」


大滝のようであった瘴気がどんどん量を減らし細く枯れ始めていく。

とうとう瘴気の滝が枯渇し最後の一雫を落とす、その瞬間、全身の傷という傷から聖銀の色に染められたマルコキアスの身体がヒト型から本性である蝙蝠羽根を背に生やした狼の姿に変わっていく。

真の意味で力尽きようとする王の姿に眷属達は涙する。


「我が君ーーー!!」


「「「「アオーーン!!」」」」


「……ラぁブリぃわんわん!!?」


「ひぃっ!!」


「「「「「!!???」」」」」


金色のモヒカンが裂け目から飛び出して、慌てた様子でマルコキアスをハグする。

その欲に満ちた目(本人的にはもふもふ愛に満ちた慈愛の眼差し)でアレ程ムチャ振りしたマルコキアスを大仰にもふり出す。

一瞬で有刺聖銀線はトゲごと消えた。


「わんわん!あーわんわんだったら早く言えよ!!可愛いよわんわん!トゲトゲしてごめんねぇ!!すぐ治しちゃるからなぁ!!よーしよしよしよーしよしよしはぁああもふもふたまらん!!」


「きゃうん!きゃうん!」



高速で全身を撫で回されるマルコキアスは瘴気を撒き散らしていたあの時よりも悲痛な叫びをあげた。何故かチンピラーノの勢いが増した。


撫で回すチンピラーノの手のひらからはマルコキアスを癒す為の治癒魔法が噴出。

高レベルプリーストであるチンピラーノがわりとガチ目に力を振るったその威力は、強すぎる神聖力でマルコキアスの辛うじて残っている悪魔の属性を焼き付くす神の炎に匹敵した。

チンピラーノの溢れ出すもふもふ愛により痛みはない。

だが、自身の属性が拠り所である属性がアイディンティが、対極に書き換えられていく感触はただひたすらにおぞましい。


「ひぃっひぃん!!」


形振り構わず逃げようと踠くが正気でないチンピラーノのもふもふ欲求から逃げること能わず。



「よーしよしよーしよしわっしょーい!!」


魔界で最も恐れられているチンピラーノの狂喜乱舞。

1ヶ月もここに缶詰めでマルコキアスを吊るしていた彼も相当のストレスを溜め込んでいたわけで……目の前のもふもふに正気を失うのは仕方のない事だったのだろう。

……マルコキアスに救いの手を伸ばせる勇者は魔界には存在しない。


天使が魔に堕ちるのを『堕天』というが、その反対で悪魔が聖に堕ちることをこの世界では『昇天』と言う。

勿論、魔界で最も忌むべき行いだ。


瘴気供給の現場はチンピラーノが恐ろしくて近寄れないが全ての悪魔が注視せざるを得ない事象である。


つまり、この悪魔的に残虐極まりない『世紀の公開昇天(意味深ではない)ショー』は生きとし生ける悪魔全ての目の前で行われ、全悪魔の中でマルコキアスは悲劇の魔王(昇天したので永久欠番)として伝説になったのである。

限界状態のチンピラーノさんの前でもふもふしちゃったマルコキアスさんも悪いと思うの(運が……)

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新ありがとうございますヽ(´▽`)/ 1ヶ月も晒し者にされた挙句に属性転換までさせられたマルちゃん。 哀れ過ぎて何も言えない(笑) ……しかしチンピラーノさんに慈悲を乞うていた(地味に種…
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