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閑話 魔王達のララバイ

更新が滞ってしまい申し訳なく。

ブクマ&評価ありがとうございます。


喚ばわれた人の回想的なナニか。

 魔界。そこは魔界最強とうたわれた大魔王が支配する、力こそが正義の悪魔の楽園である。


しばらく前に勇者パーティーが異界のダンジョントラップで落っこちてきて魔界を恐怖のズンドコに陥れたが、それからは概ね平和だった。



「アガレスとフォルネウスが消えた?」


魔王マルコキアスはその報告に眉を潜めた。

魔王といっても大魔王の直属の配下の魔王は72柱いる。

マルコキアスはその72柱の一柱で、序列は中の中だ。

自己中心的で我の強い魔王達の中でちょっとだけ社畜気味な性質を気に入られ、四大実力者、魔王サルガタナスに重用されている。


自分より序列の低い魔王だが複数が突然行方をくらましたという報告にいずれかの派閥の陰謀を企てたのか? と思い巡らす。

派閥の筆頭である、他の四大実力者達の動きはそれなりに掴んでいたのに裏をかかれた?


マルコキアスが自身の手落ちを表情も出さずに煩悶していたところに、魔王モラクスが飛び込んで来た。

その姿は生まれたばかりでふわふわ浮いている黒いモヤモヤ。魔王モラクスの幼生体であった。


魔王は死なない。一度消失したところでその精神体は何度でも復活するのだ。ただし、元の力を取り戻すまでは相当に時間がかかるだろうが。

力ない序列の低い魔王では幼生体になって動くまでも更なる年月が必要になるだろう。

そして、まだ完全復活とは言いがたい幼生体では、人前に現れるのも自殺行為だ。

だがモラクスは派閥の長である魔王サルガタナスへの忠義によって敢えて推参した。


「その姿、モラクスとあろう者が易々と殺されるなど想像出来んが………」


無表情に聞いていた、サルガタナスが初めて言葉を発した。

小さくなったモラクスはプルプル震えながら主君と同僚に絶望を告げる。


「いえ、誰であろうと死は免れないでしょう。私は自分の目の前で魔王バアル様が消失するのを見ました………大魔王様を降した勇者パーティーが、高次元の神………と戦いを開始、魔王の指輪にて我々を次々に召喚しているのです」


モラクスが話している間に先の報告に来ていたガミジンが消えた。

四大実力者の一柱バアル様が瞬殺と聞いてその場に居た者は震えるしかない。


あの勇者パーティーが魔界に落ちてきた時の第一声は「フザケンナァァァ!!」だ。


その声は魔界中に鳴り響いた。

憂さ晴らしのように魔王の城を荒し回り大魔王様を蹂躙した恐るべき強さだった。

あの勇者パーティーが本来戦うべき戦場に我々が何の役に立つと言うのだ。


「あの指輪は、誰を喚ぶか決まっておらん………いつ、誰が、喚ばれるか、全て運だ」


大魔王様が消失する危機を回避する為とはいえ、72の魔王を誰でも一回づつ喚べる指輪を手離した。その事を誰も責められない。

この事態を想定してなかっただけだ。

責めたところで大魔王様が魔界最強なのは変わらないのでどうしようもない。


「高次元の神………、名前は絶対に言うなよ! 縁が繋がれて眷属が攻めて来るやもしれん」


「指輪の使用者はモヒカンのプリーストでした。次々と魔王を召喚し弾幕にしていました。神の方が「お前に人のココロは無いのか!?」とか言ってました。正直もっと言って欲しかったです………」


「それに奴はなんと返したのだ?」


なんとなく、想像はつくのでそこを聞くのはマルコキアス的に避けたかったが、彼の主君はその知的好奇心に抗えなかったようだ。


「………悪魔なら肉壁にしても胸が痛まない、と」


これだから、聖職者は!!

プリーストの悪魔に対する塩対応なんとかならないのだろうか、と誰しも、思う中で魔王サルガタナスが消えた。

この場に控えていた魔王達もマルコキアスを残し後は復活したばかりのモラクスしか居なかった。


「!!」


消えたのとほぼ同じタイミングで、サルガタナスは復活し転移して現れたのでマルコキアスは安堵の息を吐いた。

四大実力者ともなれば、再誕用の生体を用意している。勇者パーティーの襲撃の件もあり理不尽な存在に対する防衛についての備えは万全のようだ。


「「サルガタナス様が若くなった!!」」


マルコキアスとモラクスが声を揃えて歓喜の叫びをあげる。

美醜や若さに頓着しないサルガタナスは、永く安定した実力の為、死ぬこともなく、普通に老いた老紳士の姿をしていた。彼にとっては久々の死と再生であった。

成人したばかりの若く美しい体をサルガタナスはブルリと震わせた。


「喚ばれたら、竜の顎であった………見てはならない光が………」


某高次元の神の第三形態は三つ首黄金竜………

神と超越し過ぎてる人間達の戦いの凄まじい事よ。

遠い目をした主君にかける言葉はなかった。



てか、ブレスを吐こうとしてる竜の口内に召喚は外道が過ぎないだろうか。あれが世に聞く †心を喪いし者† というやつか、そうか。


マルコキアスは、自分がその戦場に喚ばれるのを震えながら待つしかなく、それは絶望故に永く長く感じられたが、彼が喚ばれる事はついぞなかった。


それが幸運に思えたのはほんの僅か。


後に自分以外の魔王71柱がその戦いに巻き込まれたと知った後は、その幸運は地獄を見た魔王達からつま弾きにされる理由となり、魔界に彼の居場所はなくなった。



力だけが序列の査定基準なので、マルコキアスさんは一時的に序列五位になったけど。不憫。そして今回召喚されましたとさ。

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