恐怖のバランス調整
ブクマありがとうございます~(*´ω`*)
人口密度? がいきなり減った空間に取り残されたクルセイダースはポカーンと口を開けたまま固まってしまっていた。
こういう時は何事もなかった風に………
「さぁ、急ぎましょう」
「………」
良かった、無言だけどついてきてくれた。
何食わぬ顔で歩を進めるけど視線が痛い。
ジャスティオーザからすれば見逃した事になるのかな? 悪魔は殲滅するって言ってたけどあの子達は悪魔ではなかったもん、セーフ、セーフ!
ほら!もうすぐ魔王召喚魔法陣のある大広間だよ~気合い入れて!
駆け足気味に長い廊下を進んで、大広間に入りかけて入り口のアーチに紋様が浮かんだのが目に入った瞬間、とんでもなく危険察知が働いた。
シーフのマスタースキル『緊急避難』か、プリーストの『天啓』かわからない。もしかして両方?
今、なんか凄い、ヤバい。見られてる感じ。ナニコレ?
うっすら浮かんだ紋様は古代語のメッセージだ。
『死力を尽くし我に捧げよ』とかダンジョンにありがちな警告。
こんなの珍しいものじゃないのに。
「どうしたんだ?」
急に入り口から飛び退いてうずくまっていると隊長さんが青ざめながら入り口を警戒した。
そりゃそうだろう。アレやらかした私が動けなくなるレベルなら………レベル?
あ!
たとえば攻略パーティーのレベルが低かったり、プレイヤー同士の連携が上手くないなら、ダンジョンの途中に宝箱にポーションや単発武器等仕込んでラスボスに瞬殺されないようにする。ゲームマスターはゲームを盛り上げなければいけないから。
そうだ、バランス調整だ。
思えばこのダンジョンに来てからあまりにもモンスターの数が多すぎたのは、領主が選り抜きの討伐隊を派遣したから。
そして私の相手には程遠いレベルなのは、私はずっと離れて見物していたから?
そうだ、ここに来て初めて先頭に立って進もうとしてしまった。
やっべ! 私のレベルに合わせた敵とかこの人達瞬殺されちゃう! てか私現役(TRPG)10年ちょい遠退いてたし、本気全開のギリギリ戦闘はかなり辛い。
豆腐やスイカ割るのならともかく、死ぬほど痛いのはカンベンだ。
トゲトゲ肩パッドの防御力を越える敵にはまだ会いたくない。
お、紋様消えた。プレッシャーも消えた。
あのアーチが観測機確定。
「隊長さん、このダンジョンについてわかったことがあります」
ゲームマスターだのメタな視点を隠し、アーチの紋様から知った風に説明せねばならない。
「先ほど、アーチに浮かんだ紋様は古代の装飾文字で意味は『死力を尽くして、我に捧げよ』でした。
これは意思を持つダンジョンにある特徴なんですが、通った者の強さに反映したモンスターを出現させる可能性が高いのです」
ホラですが。いや、ダンジョンの意思をゲームマスターの意図だとすれば存外間違ってはいない。
「ええっ! それはつまり………」
隊長さんの顔が絶望に染まる。
「私が入れば、恐らくあなた達は生き残れないでしょう………しかし私1人で、相応のモンスターと戦闘になった場合、多分初めの一撃で人質が危うい………ていうか、不味い事に………」
出来るだけ表現をぼやかして目を逸らした。
だってこの先に確実に人質ちゃん達がいる。
ラスボス(タイムアウトギリギリバージョン)ステージは巨大魔法陣の上で定位置に固定された人質を解放し、逃がす担当と悪魔と戦う担当が要る。
ソロの私は戦闘になったら人質を助ける暇がない。
私レベルのモンスターだと初擊が物理でも魔法でも単発のエフェクトで人質のいる範囲ごと吹っ飛ぶ。
ドラゴンとかいたら先ずブレス吐いてくる。
人質優先しても、モヒカンについてきてくれるかという最初の問題にぶち当たる。
………女ウケのいいグッドルッキングガイだったら最初から1人で来てますから!
「ならば我々が突入します! あなたはここで待機してください」
その手があったか。
ハッ………違います、むしろそれしかないですよね! うん。そうですよ、最初からあなた達クルセイダースにそれをお願いするつもりだったんですよ、計画通り! アッハッハー。
「御武運を。 私はここを何人たりとも通さないと約束しましょう」
真面目な顔でごまかしとこ。
チンピラーノさんはわりとアホの子。




