第四十一話
部屋の中は古い喫茶店のように小さなテーブルと一人掛けの椅子が沢山並んでいた。
あちらこちらでセミナー講師っぽいスーツ姿の男性が他の講師と話したり、コーヒーを飲みながら一服したりしている。サロンというのは共通の控室みたいな所だった。
「どこでも自由に座ってて。コーヒーで良い?」
「は、はい」
東河さんに言われた通り、私は周りに人が少ない場所を選んでゆっくりと椅子に腰を落とした。
しきりに周りの雰囲気を観察する。緊張して表情がこわばっているのが自分でも分かった。
カフェコーナーから東河さんが戻ってきた。コーヒーを乗せたトレイをテーブルに置いてこう言った。
「君は“HSP”だよね?」
私は息を飲んだまま何も言えなかった。
「だって、さっきの質疑応答の状況で、非HSPの人は僕へ質問をするのに順番を我先にと争っていたじゃない。一歩引いて遠慮して待っている君はHSPじゃないかって思ったわけ。我先にと来るの人はだいたい非HSPの人で、同業者か同業者になろうとしている人、あるいは大学で心理学を専攻していて学習のために来ている人、とか。ちょうど君の前に質問をしていた三人組の子がそうだったよ。次は君の番、ここだったらゆっくり時間を使えるから何でも聞いてよ」
東河さんは緊張を和ませるような笑顔を見せた。
「あの、私は……、HSPだと思います」
「やっぱり。診断テストもしてみたかな。まあ診断テストはHSPって結果は出やすいけどね。もしかして君のご両親のどちらかはHSPっぽい人がいたりする?」
私は自分の両親を頭に思い浮かべて、ハッとした。休日はいつも部屋で本を読んでいる父親の大人しい人柄がHSPに当てはまったからだ。
「はい、父親が近いと思います」
「やっぱり! 気質は遺伝するものだからね、自分の親がHSPって事は良くあるんだ。君はHSPだと今まで生きづらい思いをしてきたかもしれないね。無理に言わなくても良いよ。この世の中は自分の事しか考えない非HSPの人が多いからね」
「はい……」




