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HSP少女はかく語りき  作者: なみだいぬ
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第三話

 ある日の夜、私は自分の部屋でパソコンを立ち上げた。そして、アンドロメダオデッセイというオンラインゲームにログインした。


 高校一年生の時にパソコンを買ってもらってからほぼ毎日、このゲームを遊んでいる。子供の頃から何かしらテレビゲームで遊ぶことがあった。もちろん漫画やアニメを見たりもするし、友達と普通に遊んだりもしていた。


 このアンドロメダオデッセイは銀河を舞台にした近未来のSFアクションロールプレイングゲームで、基本無料で遊べる。キーボード操作は難しいので、わざわざコントローラーを買って使っている。左利きの私でも簡単に操作できるし、慣れてるから。


 私のキャラは魔法使いのようなエスプという超能力が使える男キャラで、肉弾戦は苦手だから敵に叩かれるとすぐに死んでしまう。私は筋肉マッチョよりも頭の良い人が好みだから、そういうキャラを作った。

 名前はエスト。いつも一人で冒険している。知らない人とパーティーを組んだりするのは怖いし、マナーが悪い人が多いみたいだし、友達とでも一緒にプレイすると気を遣ってしまうのが嫌だから一人で遊んでいる。

 だから、私がこのゲームをしていることは誰も知らない。このキャラを操作している事も誰も知らない。友達も家族も知ってはいない。誰にも知られずにゲームの世界に潜り込んでいるような状況に、何とも言えない好奇心が生まれていた。


 ゲーム内にある宇宙船のようなロビーフロアにはいつも沢山のキャラが集まっている。

 一人一人誰かが操作していると思うと、嫌な感じしかしない。画面のメッセージ欄には知らないキャラ同士のチャットが飛び交っている。フロアの所々で集まっている他のキャラの群れを素通りして、クエストカウンターで自分のみがプレイできるクエストを受注した。

 そして逃げるように急いで転送シャトルに乗り込んだ。


 短いワープの後に転送シャトルから出ると、見渡す限り砂漠が広がっていた。クエストはモンスター討伐から、荷物運び、落とし物探し、など様々だ。

 今回はベーシックなモンスター討伐クエストだ。キャラが弱い時は良くクエスト失敗した事もある。私自身、地道にコツコツと進めるゲームに向いているみたいで、難しいクエストでも何度も挑戦してクリアしてきた。キャラを成長させるために同じクエストを何度も繰り返すのは飽きるだろうけど、私は大丈夫だった。


 砂漠に現れる巨大トカゲやサソリを全て倒してクエストをクリアした。すると、目の前に転送シャトルが現れた。

 ロビーフロアに戻ると、クリアの報酬が得られた。報酬はゲーム内で使える通貨だ。早速、ショップが並ぶタウンエリアでキャラの装備や服装などの買い物をする。自分の部屋に置ける家具やアイテムも売っている。今度、新しいぬいぐるみを買う予定。


 私はこのゲームの仮想世界がとても好きだ。砂漠や森林に出掛けて風景を見たり、拠点コロニーの空間にいるだけで楽しい。自分の作ったキャラも好きだ。エストはこのゲームを始めた頃は自分の分身だった。個性も私自身で、自分が物語を体験している気持ちだった。


 ゲームの中で敵を倒したり、動物を助けたり、仲良くなったりしているとこう思うことがある。

私自身、現実世界では自分は弱い、駄目な人間だけど、この仮想世界では私は強い、私は優れているという気持ちを持つことができた、と。

 今日のノルマは達成したのでゲームをログアウトした。

 色々と考えすぎて疲れちゃった。


挿絵(By みてみん)

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