第6話
「ありがとうございます。」女の子が笑顔になった。
私の方は
「こんなことがあろうかと思って持ってきたよ。競技用義足。」
「へえ。なんかやっていたのか。」慎太が聞く。
「ああ、陸上を大学のころにちょっと。」
「きいたことねぇーぞ。」
「あ、言ってなかったなごめんごめん。」
私は競技用義足をはめた
女の子の方に駆け寄る
「じゃあ、歩く練習しようか。」
「その前に片足の靴ないです。」女の子が言う。
その子は低いハイヒールを履いていた。
「高いハイヒール履いたことある。」
「はい、1度か二度なら。」
私は佳子に持っていたハイヒールを女の子にあげた。ちゃんと許可取って。サイズも確認したら義足の方のサイズはちょうどだったが、もう一方の方はぶかぶかだった。
仕方がない。裸足で練習することにした。
「じゃあ、やってみようか。」
女の子は義足に慣れていないので
「1,2,1,2
ドデン
「大丈夫かい。」
「はい大丈夫です。」
歩けるようになってから、一回そのまま外を走らせた。意外に早い。
「陸上やってるの」
「はい、やってます」
そうこうしている間に夜だ。
「ヤベエ、早く小田原でねーと。」私が言う。
「俺が運転する。」慎太が言う
「電車でごーやってたからか。」
「ああ、そうだよ。」
その話を聞いていた佳子が飛び乗る。ドアが閉まる。
慎太がマスコンを5に入れる。
「名前は、」私が聞く。
「槙野 沙耶です。中学校1年です。陸上部です。箱根高校です。」
「へえ、自転車は強いって聞いたことがあるけど。」
「はいそうです。っていうか私視力が0.1なくて。」
見ると端の方にメガネが落ちている。拾って渡す。
「ありがとうございます。」
と言ったとたん
「おい、見ろ。小田原の駅に人がいっぱいだ。」
「なぜだ、」
八ッと気づいてメールを見る
「ミッション1:絶対服従 槙野 沙耶の一部を東京の官邸に持ってくるか本人丸ごと大阪府庁に持ってこい。槙野 沙耶を守っている奴は1人ずつ10人を横浜の県庁に持ってこい。本人も10人横浜の県庁にもってこい。裏切り可。※4時間以内に。服従しなかったら右手がなくなる。」
だからか。ってことは
「俺がkillを稼ぐからみんな隠れて。あと、俺が出たらドアを閉めろ。」
「わかった。」慎太が言った。