第6話 『翔の作戦』
第6話 『 翔の作戦 』
レナの口からその言葉が出た時,翔は・・・
(・・・はぁ,俺が考えたんだけどな・・・。)
と,最もな事を考えていたとか。
「いったいどんな提案だい?」
ブラットは少し怪訝な顔をしながらそう問いかけた。
「ゴブリンの撃退方法です。」
レナははっきりとそう告げた。
「・・・ゴブリンなら私達の力で倒すことが出来るんだよ,ありがたいけど大丈夫だ。」
ブラットはそう少女に告げた,が
「ちょっと待って下さい。」
少女の横,つまり翔がそう言った。
「・・・何だい?」
「貴方の言っている『ゴブリン』と言うのは今来ている先鋒隊のことですか?それとも100匹全部のことですか?」
「・・・・・」
翔のその言葉にブラットは何も言えず,無言のまま翔へと目を向けた。
「・・・やっぱり,先鋒隊のことだったんですね・・・。」
翔はもともと確信を持っていたようにそう言った。
「・・・ああ,その通りだ,で?それを知っていながらの提案なのか?」
「ええ,そうです。」
翔は自信満々にそう言った。
「・・・分かった,聞こう。」
そうブラットが言った。
「分かりました,まずですね・・・」
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長くなるので書かないが翔の作戦はこうである。
先鋒隊は約10匹,これは今まで通り正面からぶつかり倒す。
その後約100匹のゴブリンが来る前に進路へ油を撒き,先鋒隊の隊員たちは両端で待機。
ゴブリンが通ったときに油へ火をつける。
その後,残ったゴブリンに弓矢を1度射,後は白兵戦,と言う作戦である。
「なるほど,普通に戦うよりはよさそうだな。」
その作戦をきいたブラットは感嘆の意を込めてそう言った。
「この作戦,実行していただけますね?」
「ああ,分かった,協力しよう。」
翔が問いかけた,というより確認した言葉にブラットは即答した。
「・・・だが,この作戦の為には用意がいる,先鋒隊を倒していては間に合わん・・・。」
「それは私達2人で先鋒隊を相手すれば解決されると思います。」
ブラットのその問いに答えたのは翔ではなくレナだった。
「なっ!それは無茶だ,君達では何も出来ない,絶対に無理だろう!」
「本当にそう思いますか?ではなぜ今まで私を恐れてきたんです?」
(?どういうことだ?)
レナの思いがけない,突然の言葉に翔は首を傾げた。
「・・・」
ブラットは答えない。
何か意味があるのだろう,その顔を見てレナは捲くし立てるようにこう続けた。
「私は知っていましたよ,私が魔術師だからでしょう?この力が怖いんでしょう!」
「・・・ああ,そうさ!」
ブラットはそう吐き捨て,続きにそう言った。
「・・・好きにしろ,だが・・・,必ず倒せ・・・。」
これがレナにとって,はじめての認められた言葉だったのだった・・・。
もっとも翔にそれを知る術はなかったのだが。
「じゃ,いきましょう。」
「え?」
反射的に翔はそういったが,
「先鋒隊を倒しに行くんでしょう?」
レナは全く気にせずにそういった。
「ああ・・・,そうだったな,行こうか。」
そうして2人はその場を離れていく・・・その時,
「あ,そうそう,早く用意をして追いかけて来てくださいね。」
そうレナがブラットへ告げると2人は今度こそ外へ消えていった。
「・・・頼む・・・。」
ブラットが誰もいない空間にそう呟いていた。
そして,
「みんな!聞いてくれ!我々は先鋒隊の後に来る部隊を相手することになった!」
そう言った後,翔の作戦を隊員へと話していった。