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第11話 『村への道程』

第11話 『 村への道程 』




ポーン村郊外の草原,そこを2人の人間が歩いていた。

当然ながら翔とレナである。


「・・・そういえばさっきのゴブリン,50体ぐらい居たよな。」


翔は思い出したかのようにそう言った。


「ええ,確かそうだったと思いますけど?」


レナは別段疑問も持たずにそう言った。


「・・・確かゴブリンの全体は50〜60だったよな?

なら村を襲っているゴブリン達はせいぜい10体って事にならないか?」


確かにその通りである。

本来翔たちは先鋒隊,即ち20体前後のゴブリンたちを相手にするはずだったのである。

村を襲っているのが本当に10体程度なら,然程脅威ではない。

・・・尤も,全体が60体だったとしての話だが。


「確かにそうですね・・・,でもあの村の人たちで10体のゴブリンを相手に出来るでしょうか?」


これまた正論である。

ポーン村はお世辞にも大きな村だとは言えない。

民家が10棟に酒場,集会所,警備隊詰所の13の建物から成っている。

しかしこの『警備隊詰所』は警備員3人の小さなものなのだ,とても10体のゴブリンを相手に出来るとは思えない。

世間一般には『ゴブリンは弱い』という認識が広まっているがこれは間違いである。

確かに翔やレナの様な力を持つ者にとって,ゴブリンは脅威ではない。

しかし一般の人間に,ゴブリンを倒す力は無い。

・・・つまりはそういう事である。


「・・・難しい,だろうな。」


翔もまた,それを感じていたようである。

少し危機感を含んだ声でそう言った。


「急ぎましょう!」


レナが勢い良くそう言う,が・・・


「悪いな,身体が言うことを聞かない・・・。

歩くだけで精一杯だ。」


当然といえば当然である,抑えてあったとはいえ,初めて闇華の『力』を使ったのである。

しかもその後に身体能力の強化,魔法の連発などを行ったのである。

動かないのは当然といえた,いや,歩けること自体可笑しいとも言える。


「そっ,そんなっ!」


レナが悲壮感漂う表情でそう言った。


「先に行ってくれ・・・,レナなら10体ぐらい大丈夫だろ?」


そう翔が言う。

笑おうと努力しているようだったが,口元が笑っていない。

相当辛いようである。


「・・・分かりました,すぐに迎えに来ますから!」


レナは自分のために翔が強がっていることに気づいたのだろう,なきそうになりながらもそう言った。

返答を待たずにレナは村へと駆けていく。

それを見送る翔の表情は,心底安心したかのように穏やかだった・・・。


『へぇ〜,嘘までついて先に行かせるんだ〜。』


翔の頭の中に『光華』の声が響く。

見ると翔の顔はレナと話していた時とは比べ物にならないほど落ち着いていた。

額を伝っていた汗は完全に引き,顔色も良くなっている。

あの時はただ回復の流れを止めていただけだったようである。


「・・・まぁ,な。この戦いはレナが終わらせないといけないんだよ。

あの時の町の人間の表情,見ただろ?」


翔は周りに人が居ないからだろうか?

声に出してそういった。


『ま〜ね,間違っては居ないと思うよ?翔の出した答えは。』


翔の真剣な話を,『光華』軽い口調でそうさえぎった。

そして自分の仕事は終わったとでも言いたげに,


『さ〜て,今日はおしまい!』


明るくそう言ったかと思うと,翔とのコンタクトを終了したのである。


「・・・なるようになるだろう。」


翔は半分投げやりにそういいながら,ポーン村への道程をゆっくりと歩いていった


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