1/3
第零話
「お兄ちゃん、夏草亭のおまんじゅう買わないの?
もぉー、昨日、約束したばっかりだよー!
本当にヒドォイよぉ〜!」
誰もがこの街に来るまでは、何故、大柄な女が何故、僕に向かって駄々を兼ねているのか分からないだろう。故に、好奇心の強い、僕の友人達はよく彼女についての問いを投げかけて来る。
「あの人なに?知り合いなの?」
今日、この街を訪れた君も同じ様な問いを投げかけるのだろう。
それならば、僕も答えるべきだろう。
聞く覚悟があるのならば彼女の凄惨な人生をここで存分聞いていくがいい。