No title
僕は未来に希望を持っていた。いつまでも、いつまでも、将来へと続く階段を2段飛ばしで先へとかけていける、そう思っていた。あのときまでは。
僕は、前まで普通に暮らしていた。そして、この学年に上がってからあるゲームの犠牲になった。それはターゲットにしぼった相手を朝から放課後まで無視し続けたりするゲームだった。最初はこんなことすぐ終わる。先にいけるはずだから。そういいきかせて生きていた。だけど、それはエスカレートしていった。いじめの主犯格のあいつは突然僕を呼び出しサンドバッグのように扱ったりした。いじめからつけられた心の傷。どんどん深くなっていく傷。それを無理矢理縫いつけて、ずっと続いていくこのいじめというゲームを我慢してきた。慣れた痛みと思っていたけど、予想外に痛みからの恐怖に焦る呼吸と鼓動に気づかれないように自分で勝手に強がっているふりをして手をさしのべてくれる人もいなくなった。僕は一人きりになった。
あのときから僕は何が正しいのかわからなくなった。誰がこのいじめという続けてはいけないものを続けてしまったんだろう?そして、この間違いをただし、誰がその対価をはらうのか?まずこの間違いをただすことすらできないんじゃないか?僕はそう思う。このいじめというものが生まれてしまったこの時から、不正解で、最善策なんて一つもなかった。あれはなくならない。深く心に残り続けるだろう。
あの日の僕、希望に満ちていた僕は緩やかに崩れて壊れていった。あの日の僕が殺されていく。緩やかに僕が僕じゃなくなっていく。僕の心がどんどん知らないものになっていく。少しだけ、恐怖も感じた。けれどそれは一瞬だけ。そのときに感情も崩れてきていた。
いじめがあって何ヶ月か経った。憂鬱だなと思いながら過ごしていると隣の家に引っ越してきた人がいると聞いた。だから、親に挨拶へいってこいと言われた。はっきりいって家族以外の人とは話したくない。人間不信のようなものになっている。けれど、親に無理矢理外に出されたので、しょうがない、適当に挨拶しとこうかなと思いながら、隣の家に行った。ピンポーンとチャイムを鳴らし、早く帰りたいなと思っていたが玄関から出てきた人に目を奪われた。小学生の頃に仲の良かった幼なじみの女の子がでてきたのであった。
「なんで…ここに…?」
僕がそういうと彼女は優しそうに答えた。
「久しぶり。帰ってきちゃった。」
彼女は小学生から中学生に上がるときに転校した。彼女は僕の幼なじみであり、唯一の支えだった。だから、中学校にいないと知り、とても悲しかった。だけど、今、帰ってきたと知っただけで涙が出そうだった。
「最近どう?元気にしてた?」
彼女は言った。
「ど、どうって別に普通だよ。元気にやってた。」
そういい、僕は右の頬をかいた。
「今、嘘ついたでしょ。」
と言われた。突然のことでとてもびっくりした。
「嘘つくと右の頬をかく癖があるのわかってたよ?困ったことがあるんでしょ?相談してみな?」
と言った。そんなことを言われたら相談するしかないじゃないか、そう思いながら、彼女に話した。
「ふーん。そんなことがあったんだ。」
素っ気ない返事に少しびっくりしたが、彼女はそういう所もあるけど優しかったことをしっかりと覚えている。彼女はいつも僕に何かあったとき相談に乗ってくれた。そして、必ず歌っていた。とても綺麗な歌声で。その歌声は嫌なことや悲しいことを浄化してくれた。この歌声は僕しか知らないんだと思う。
「明日から、学校行くから。待っててね?なんかあったらまた相談しなよ?」
そう言い残し、家へと戻っていった。明日学校というのは嫌だったけど、彼女がいるというだけで少しその気持ちが軽くなった。
次の日、学校へ行くとクラスメイトから、当たり前のように無視されていた。だけど、その日だけは少し違った。彼女がいるから。
「おはよう。」
そう話しかけてくれた。僕はそれだけで嬉しかった。いつもと違う日が訪れているということがとても幸せだと思っている。それから、僕はいつもより明るい気持ちで、授業へ望んだ。
昼休み、1人で弁当を食べていると、ある男が話しかけてきた。
「なぁ、朝、お前に話しかけてたのって誰?めっちゃ美人だったわー」
そんなふざけた調子で話しかけてきたのは、いじめの主犯格のやつだった。
「えっと…そのと、となりに引っ越して来た人です…」
僕は慌てて話した。怖い。話しかけないでほしい。本当に嫌だ。いじめをしてくるあいつにもう恐怖しかわかない。
「なぁー、あの子紹介してくんね?仲いいでしょー?」
あいつはそう言った。怖い。さっさと話を終わらせなきゃ。そう頭の中では思っていたはずなのに。
「それはだめです。嫌です。」
と口が咄嗟に言っていた。そう言った途端にあいつの表情が怒りへと変わっていく。
「今、てめぇなんていった?」
とても低い声で言っていた。
やばい。やってしまった。怖い、怖い。怖い。怖い。怖い。
「おい、ちょっとこっちこい。」
僕は言われるがままに階段の方へと連れていかれた。
なぜだかわからないけど、階段は人気が少ない。最悪だと思いながら、僕は何度も殴られるんだろうと察した。案の定、拳が飛んできた。一発、また一発と殴られた。
「てめぇ、俺に逆らうんじゃねぇだろうな?紹介するよな?」
殴りながら、あいつは言っていた。もう僕の意識は遠のいていた。すると、
「あんた、何やってんの?」
と声がした。あいつの後ろには、怒りに満ちた顔の彼女が立っていた。「影でこそこそこんなことしかできないの?ったく弱い奴ね。やるんだったら正々堂々教室かなんかでやりあったらどうなの?」
「待って、そんなに言ったら…」
遅かった。あいつは彼女に殴りかかっていた。僕は止めようとしたけど間に合わなかった。僕は目をつぶった。すると、大きな物音がした。彼女は大丈夫なのか?
「大丈夫!?」
と目を開くとそこには予想外の光景が広がっていた。彼女ではなく、あいつが飛ばされていたのだ。
「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。」
あいつは謝っていた。驚いた。あいつが謝るなんて。
「もうこんなことはするな。わかったか。」
と彼女は言った。
「は、はい。」
あいつは怯えて逃げていった。
「あ、ありがとう。」
僕はそう言った。女の子助けてもらうなんてカッコ悪いなと思いながら。
「大丈夫。あなたこそ大丈夫?」
心配した表情で聞かれた。
「うん。これくらい大丈夫だよ。」
と僕は言った。そして、昼休みの終わり五分前のチャイムがなった。
教室に帰ると、一斉に視線がこっちに向き、こそこそと話し始めた。
「また、ボコボコにされてるよ」
「よわっちいーな、ダサいわー」
とどんどん嘲笑われけなされていく。
そうだよな。よわっちいよな。僕は悔しくて涙が出てきた。すると、彼女が教室に入ってこう言った。
「あなたたちのほうが弱いわ。」と。
クラスメイトはとても驚いた顔で彼女へ向いた。
「あなたたちは、自分のクラスメイトがいじめられているのをみて、助けようともせず、ただ、あいつは弱い、かっこ悪い、ダサいなどと影でこそこそと。それは弱者のすることよ。もう一度考え直すことだわ。」
そう言い、僕に
「屋上へ行こう。」
と言った。
「え、あ、うん。」
僕は急いで屋上へかけていった。
屋上まで行くと、彼女はこう言った。
「私が引っ越した理由わかる?」と。
「いや分からない。」そう答えると彼女は言った。
「私ね小学校のときにいじめをされていたの。君は知らなかったと思うけど。私はそれがとてもとても苦痛で、違う場所へ逃げた。弱い奴よね。あの話を聞いたときあなたの頑張りは素晴らしいものだと思った。あなたは私と違って逃げなかった。それはとても勇敢なことよ。だから私はあなたのいじめが嫌な気持ちも分かる。私は前、弱かったけど今は強くなった。あなたを助けられる。私はね、いつまでもあなたの味方だから。」
その言葉を聞いて僕は安心したのか分からないけど自然に涙が出ていた。
「これからは、もう安心して。大丈夫だから。」
そう言い彼女は僕の頭を撫でた。僕は泣いた。彼女は僕の泣く声を隠し、今までの出来事を忘れさらせるようにあの綺麗な声で歌った。今までの僕が緩やかに崩れ壊れた。前の僕に戻るように今の僕は壊れた。
あの日からいじめはピタッとなくなった。クラスのみんなも僕をクラスの輪の中に入れようとしてくれている。まだ、きちんと入れそうにないけれど、仲良くしていきたい。そして、彼女とは毎朝一緒に学校へ行っている。彼女とはクラスが違うので、僕のクラスで起こったことを話したりしている。彼女は僕の話をいつも笑って聞いてくれる。それも一つの安らぎだ。だから、いつかお礼をしたい。僕には夢ができた。それは、彼女のように人に安らぎを与える歌を歌うこと。次は、僕が彼女に届ける番だから。
今回は2回目の投稿です!
読んでくださってありがとうございました!!m(_ _)m今回はいじめの話みたいのを書いてみました。人権作文を書いたから書いたのかもしれません笑