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終焉の種  作者: 犬井猫朗
序章 十五年前
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 ―――――深夜。


 地平線の彼方まで広がる樹海を、幻想的な蒼月が照らしていた。


 樹海の中に在るとある山(・・・・)に、一匹の狼が歩を進めている。


 濃霧に覆われた木々の間を歩むその姿は、通常の狼とは異なっていた。


 深淵の闇から這い出た様な漆黒の体、一回り以上大きな体躯。


 何よりその纏う雰囲気が異質であった。


 狂気とでもいえばいいのか、凄まじい怒気や憎気にも似たものを感じさせる。



「……枯れてきているな」



 黒狼が巓に近付くにつれ、森は異状を濃くする。


 巓に行くほど生命力は薄くなり、付近では生命の息吹は感じられず山は死んでいた。


 それを一瞥すると、構わず更に(いただき)へと進んでいく。



「――――――クククッ!

畏れる余り誰も近付かない、故に誰も気付かない、か」



 あまりの滑稽な現実に嘲笑が漏れる。


 彼等(・・・)が最悪の権化として打倒しえたものを、畏れる余り、己から隠し近付かない様にした。


 それが、力を蓄える時間を与え、その芽吹きを気づく事が出来ない。



「…………あまりにも愚か」



 そう言い、脚をとめる。


 巓に着いたようだ。



「なぁ、お前もそう思うだろ

――――――――フィーナ」



 冷酷な鈍光が宿る青瞳の視線の先には、一樹の枯木が存在していた。


 咲くはずのない(・・・・・・・・・)、咲かしてはいけない(・・・・・)、枯木の枝先には一つの蕾が芽吹いていた。











 そして、15年という年月が過ぎ――――――。


 

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