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第二話・ABISEED、宝野を攻める

自転車の詳細知識はあんまり無いので

間違っている事があるかも知れません。

ご了承ください。

●浅羽市立浅羽第二高等学校●


孝(昨日の森田先輩のペダルターン。

  あれをやるにはどう練習すればいいんだ…?

  フロントタイヤをロックしてはみたけど、コケちまうよ。)

剛『孝ー、帰ろうぜ!』

孝『おお、剛か!いいぜ。』

剛『昨日の森田先輩、マジ凄かったよな!』

孝『もはや、あれは神だな…!』

剛『それでさーオレ、昨日の事もあって

  自転車にハマっちまったんだよなー。』

孝『んじゃさ、今日宝野公園行かね?

  お前にも本格的にテクニックを教えてやるからさ。』

剛『おぉ!頼むぜ、孝!』


●学校・駐輪場●


剛『待たせたな、孝。』

孝『へー、今までちゃんと見てなかったけど

  お前、いいクロスバイク乗ってるじゃん。ABISEED(アビシード)かぁ。

  ミーハーな剛の事だからルック車かと思ってたよ。』

剛『いくらミーハーな俺でもそれ位ちゃんとしてるよ。

  自転車なんか高い買い物だしな。』

孝『でもまぁ、ちゃんとした自転車でよかったぜ。

  もしルックだったら真面にバトルできねぇしな。』

剛『ちゃんと調べて買ったんだぜ。

  DYNA(ダイナ)っていう初心者にも扱いやすいって評判のメーカーだ。』

孝『ってかさ、もうタイヤが坊主じゃねーか!

  買って一か月経って無いんだろ?チャリドリのし過ぎだぜ。』

剛『面白いし、バトルでも積極的に使っていきたいなー。』

孝『チャリドリは所詮、曲芸みたいなモンだよ。

  バトルでは何の役にも立たないさ。』

剛『そんなモンなのかー…』

孝『オレのMTBはMAXREV(マックスレブ)V20(ヴィートゥエンティ)だ。

  マウンテンバイクにしては高速重視な感じのマシンだが

  チームでのバトルは必ずしもオフロードとは限らないからな。

  全体的にパーツを変えて、ホイールは高速重視にしてある。』

剛『オレのはドノーマルだなー。』

孝『まぁ、実際にそれで走ってみて気に入らない所が

  出てきたら改善してけばいいよ。じゃ、そろそろ行こうぜ。』


●通学路●


オレと孝は通学路の直線を走っていた。

孝のペースは少し早く、ついて行くのは少し厳しい。

その直線で、後ろから自転車が迫ってきた。

後ろにぴったり張り付き、煽ってくる。

オレは戸惑ったが、取りあえず無視した。するとオレと孝を追い抜いて行った。


剛『どっかで見た事あるな…。』

孝『翔太の奴め、負けてられっかよ!』


思い出した。昨日、孝と喧嘩していたチームメンバーの花山翔太だ。

孝がギアチェンジをして速度を上げていく。俺もギアを上げて

何とか孝に付いて行こうとするが、徐々に離される。

だが孝の前の翔太は更に速い速度で孝を千切って行く。

孝がトップギアで速めのケイデンスでも追い付けない。

オレはと言うと、孝の50メートル後ろに置いて行かれていた。

孝が諦めてスピードを落とした。翔太はもう見えない程遠くにいた。


孝『くっそー!ロードは速いぜ!

  しかも追い風となっちゃ、こっちは不利だ。』

剛『あのチビはえーな。』

孝『まさにライトウェイトだな。自転車と乗り手含めて

  オレとあいつとでは20キロは違うからなー。』

剛『あいつ、今日宝野公園に行くと思うか?』

孝『さぁな。でも、あいつは隣町の西名通りにも

  よく走りに行くから、今日は行かないかも知れないな。』


オレと孝はお互いの家に帰る為、交差点で一旦別れた。


●宝野公園●


孝『よし、剛!取りあえず一周しようか!』

剛『おう!』


孝が先行で走り、その後ろをオレが付いて行く。

バトルじゃないから、もちろん孝は本気を出していない。

でもオレからすればそのペースでも十分速くて、付いて行くのがやっとだった。

最初のカーブを抜けると、すぐに次のカーブ。

あんまりインに入ると、木の根に足を取られるから外側を走る。


剛(先輩が乗り越えた木の根っこだ。

  こんなデカいのよく乗り越えたよな…。)


考えている暇も無く、直角の左コーナーが来た。

孝はそのまま突っ込んで行ったが、オレは減速して曲がった。

案の定10メートル程、差が開いた。


孝『ちょっと速過ぎたかな。ペース、落とすぜ。』


孝がペースを落としたお陰で追い付いた。

やっと普通に付いて行けるスピードだ。しかし、ここからは長い上り坂。

何とも無いと思っていた坂だが、こう長いとキツい。

オレはすぐに息を切らし始めた。孝は何とも無い様だ。

上り坂が終わり、今度は下りに入った。

下りとは言え、S字状に急コーナーが連続で続くセクションで

ハンドルが忙しく、息をつく間も無い。


オレは立ち漕ぎになり、リヤタイヤをロックした。


剛(こんな急コーナーは、タイヤを滑らせた方が楽だぜ!)

孝『チャリドリかよ!』


右に左にとテールスライドしながらクリアした。

不思議な事に孝との差が詰まっている。


孝『チャリドリしながら付いて来てる!?しかも差が詰まってるぞ!』

剛『見たか!チャリドリの底力!』

孝『よし…!すぐに千切ってやるぜ!』


孝はスピードを上げた。流石に普通に走って孝に追い付く事はできない。


孝『スーパーダートだ!さあ、 お前はどうやってここを超える!?』


スーパーダートに突入した。地面から突き出した岩にハンドルを取られる。


剛(ダ、ダメだ!スピードが出ない!)


岩の抵抗でスピードが激減した。

スーパーダートを抜けた時には孝との距離は大きく開いていた。


剛(くっそー!追い付いてやるぜ!)


ポール地帯が近づいて来た。まさに今、孝がポール地帯に突入する所だ。


孝(ポール地帯を減速せずに

  突破できるのは森田先輩だけだ…だけど、オレだって…!)


孝は減速せずにポール地帯に突っ込んで行った。


カン!


孝のディレイラーがポールに接触した。


孝(やっぱり減速無しはまだ早いか…!)


孝がポール地帯を突破した瞬間、今度はオレがポール地帯に突入した。


剛『うらっ!』

孝『バカ!そんなとこ、チャリドリでクリアできる訳無いだろ!』


オレはチャリドリでポール地帯に突っ込んだ。

S字ドリフトでポールを上手くかわし、素早く突破できた。


孝『ク、クリアしたのか!?』

剛『チャリドリなら後輪を滑らせて微調整がしやすいんだ!』

孝(ぐ、偶然だ!)


次はヘアピン、孝は減速してアウトインアウトでクリアした。


孝『ヘアピンはしっかり減速しろよ、剛!』

剛(今だっ!)


タイヤが地面を切り裂く音がする。オレは横向きに滑走していた。


剛『や、やべっ!』


テールスライドで角度を付け過ぎて

元に戻せなくなり、イン側の壁に突っ込む寸前で止まった。


剛『リヤが滑りすぎた…!』

孝『ほら見ろー。チャリドリなんかするから

  普通はあり得ないオーバーステアなんかが出るんだ。

  バトルでチャリドリは無駄でしかないから、真剣にやりたいんなら卒業しろよ。』


それから暫くの間、チャリドリ無しで宝野公園を攻めていた。

各セクションが凄い勢いで襲い掛かって来る。

カミカゼのチームメンバー達がどれ程、高度な事をしているのかがよく分かった。


孝『タイムは縮まってきてるけど、まだまだだな。

  まあお前は初心者だし、これから成長するさ。

  と言うか運動不足を解消しないと、どうにもならないぜ。』

剛『自転車始める前はゲームばっかりやってたからなー。

  もう足がパンパンで動かねー。』

孝『オレ達、4時間も練習してたんだなー。

  オレも疲れたし、暗くなってきたからそろそろ帰るか。』


孝の携帯電話の着メロが鳴った。


孝『もしもし…森田先輩?どうしたんっすか?』

健吾『今、西名通りにいるんだけどさ…翔太が負けた。インペリアルズに!』

孝『インペリアルズに!?』


西名インペリアルズ…西名通りをホームコースとする自転車チーム。

カミカゼの宿命的とも言えるライバルだ。


健吾『もし来れるなら来てくれないか!?

   もしかしたら交流戦に発展するかも知れない!』

孝『分かりました!絶対行きます!』


孝は電話を切った。


剛『どうしたんだ?』

孝『翔太が、西名インペリアルズって言うチームとバトって負けた。

  これから西名通りに行くぞ、剛!

  大規模な交流戦になるかも知れないんだ!』

剛『わ、分かった!』


オレと孝は西名通りに向かう為、宝野公園を後にした。

☆マシン図鑑☆

MAXREV・(マックスレブ・)V20(ヴィートゥエンティ)

 セミスリックタイヤを装備し、サスが固めでMTBにしては速度重視。

 フルサスなので、チューニング次第ではもちろん悪路もOK。

 オンロードでもオフロードでも質の高い走りが可能だが

 最高のパフォーマンスができるシチュエーションは少ない。

 名前の由来はMAXREV社20番目のMTBという事から。

 新車価格は78000円。

搭乗者・竹田孝(たけだたかし)

カラー・バーニングレッドソリッド

孝仕様…多種多様なストリートバトルに対応する為

    V20の長所であるオールラウンドな性質に

    さらに磨きを掛けたが、どちらかと言うとオンロードが強い。

※自転車、およびメーカーは全て架空の物です。

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