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第一話・カミカゼ走法

小学か中学の頃にチャリドリが流行って

自分も公園で折りたたみ自転車ぶん回してた事を思い出し

当時の感覚で小説を書いてみました。

(本作品は自身の経験とは全く関係ありません。)

厨ニ臭全開のイタい小説ですが、ご了承ください。

●浅羽市立浅羽第二高等学校●


剛『今日はどんなバトルするんだろー、森田先輩は!』

孝『そらまー、コーナー殺しのカミカゼ走法だろ!

  森田先輩にかかれば、コーナーがコーナーじゃなくなるんだ!』


オレは剛。別府剛(べっぷつよし)

最近の自転車ブームに感化されて、クロスバイクを買ったミーハーな男だ。

そして、竹田孝(たけだたかし)

孝は幼い頃からMTB(マウンテンバイク)に乗ってて、オフロードでは凄く速い。


剛『この前見たけど、やっぱあのギリギリのコーナリングはカッコいいぜ!』

孝『インベタギリギリのライン取りで、側溝や木に当たり兼ねない危険な走法なんだ!

  あれができたらオレにもカワイコちゃんの一人や二人は…』

剛『お前、ホント女にだらしねーなー。』

孝『うるせー!紳士たるもの、女が好きでなくちゃな!』

?『まーた孝は女の話か!』

剛『も、森田先輩!』

孝『げっ!』

健吾『お前等、今日はもう授業終わりか?』


この人は森田健吾(もりたけんご)先輩。

チームカミカゼのチームリーダーで、めちゃくちゃカッコいい。


剛『はい、今日は五時間で終わりなんっすよ!』

健吾『いいなぁー。オレなんか七時間だぜ。

   まぁいい、今日は八時に宝野公園のホームストレートに集合だ。』

孝『はーい!』

健吾『孝は女に溺れるなよー!』

孝『溺れませーん!平泳ぎでちゃんと泳いでまっす!!』


森田先輩は手を振りながら教室へ戻って行った。


剛『なぁ、今日も行っていいか?』

孝『いいぜ。けど、邪魔するんじゃねーぞ。』

剛『分かってるって!んじゃな!』


数時間後…


●宝野公園●


剛(孝の奴、先々行くなよ…。やっと着いたぜ。)

孝『よーし、今日こそはお前に勝つからな!』

翔太『ボクに勝つには百年早いよ!

   第一、そんな寸胴なマウンテンバイクで

   華麗なロードバイクに勝てる訳無いだろ!』

孝『な、何だとー!?』


このチビで生意気なロード乗りは花山翔太(はなやましょうた)

非力でパワーは無いが、ハンドル捌きが上手くてコーナーに強い。


健吾『孝、翔太、いい加減にしろよ。

   高校生にもなって、ガキじゃねーんだからさ。』

孝『ご、ごめんなさーい。』

翔太『大体、孝が悪いんだよー!』

孝『こいつ、まだ言うか!』

健吾『やれやれ…』

剛『孝ー!お前、先々行くなよー!』

孝『わりーわりー。ついつい飛ばしちまったよ。』

剛『オレなんかドリフトしながら来たからヘトヘトだよ。』

孝『チャリドリかよー?あんなのガキがやる事だぜ?』

剛『いいじゃん、面白いんだからよー』

孝『ま、まぁオレもたまにやるけどな。』

健吾『よく来たな、剛。今日はチーム内でお互いの技術向上を

   披露し合うから、オレ達の走りをしっかり目に焼き付けてくれよ。』

剛『分かりましたー!森田先輩!』


数分後、カミカゼの試走が始まった。

宝野公園を外周している通路は、およそ800メートル。

路面は基本、運動場の様なオフロードでグリップ力が求められる。

チャリドリはしやすい環境だが

タイムを求める彼等にとってそんな事はどうでもいい。

カミカゼのチームメンバーが一人、二人と高速でコーナーをクリアしていく。

スピードは30キロ以上出している者ばかり。

曲がりくねって、さらに滑りやすいこのコースではかなりのスピードだ。

自転車は、主にマウンテンバイクやクロスバイク。ロードバイクは翔太しかいない。

こんな悪路じゃロードバイクはすぐに痛むし、タイヤが細い分グリップが不安だ。

でも、翔太は安定した走りをしている様だ。口だけでは無い。

孝も負けず、とんでもない安定感でコーナーをクリアしていく。

障害物を軽やかにかわす様に走る翔太とは対照的で、障害物を蹴散らす様に走る孝。

二人とも、他の者を牛蒡(ごぼう)抜きにしながらコースを周回している。

そして、チームメンバー達に的確なアドバイスをする森田先輩。

コーナーで安定してない、お前にはトルクが足りない…

正直、オレにはみんな完璧に見える。このチームはレベルが高い。

数十分で試走が終わり、全員がホームストレートに整列した。


健吾『お前等、前よりもだいぶ走りが安定してきたぞ。

   コーナーで安定してるし、的確に障害物をかわしたりもできてきた。

   だけど、やっぱりトルク不足と、何より恐怖心が残っているのが問題だな。

   もっとアグレッシブに走ってみろ。オレが手本を見せてやるぜ!』


そう言うと森田先輩は自らの愛機

DYNA・(ダイナ・)TITAN(タイタン)に跨ってスタートラインに着いた。


健吾(楽しいぜ…!みんな成長して、オレに追い付いて来ている…。

   だけどオレも、まだまだ成長するぜ!)


チームメンバーがカウントをして、スタートした。

森田先輩は猛烈な加速でスタートダッシュ。

ややホイールスピン気味だが、大したロスも無い。

あっと言う間に、先輩は点の様に小さくなってしまった。

オレやチームメンバー達は、慌てて先輩の方向へ駆け出し、先回りした。

ホームストレートから緩やかな左コーナー。早速インベタで無駄無くクリア。

そこから同じ様な右コーナー。イン側に木の根っこがあるが

フロント荷重を抜いて、根っこにタイヤを当てバウンド。

この瞬間、一気にフロントに荷重を掛け、リアもバウンドさせる。

後は綺麗に着地、根っこをかわす事無くクリアした。


剛『な、何だよありゃー!』

孝『あれがアグレッシブな走り方か…!?

  オレだってあんなデカい根っこ、怖くて避けちまうよ!』


早速、チームメンバーやギャラリーがざわめき始めた。

根っこを超えると休む間も無く直角の左コーナー。

体勢を立て直した瞬間、先輩はかなりのバンク角で突っ込んだ。


剛『あんなに傾けて、何でコケないんだ!?』

翔太『ジャイロ効果。かなりのスピードが出ている上に

   リムはステンレスで重たいから、車輪に遠心力が掛かり

   車体が縦に引っ張られてコケないんだ。』

孝『おまけにいいブロックタイヤを履いてるぜ。』


綺麗なアウトインアウトで左コーナーを抜け、暫く緩い右カーブ、ほぼ直線だ。

少し傾斜があり、みんなここで体力を削られる。

しかし、森田先輩は全くペースを落とさない。

変速のタイミングもばっちりだ。

こんな狭いコースなのに30段変速を見事に使い熟している。

この直線を超えると緩やかな下り、

そしてS字状の曲がりくねったコースが待ち構えている。

急激に右、左とハンドルを切る必要がある為、

流石の森田先輩でもほんの少しだけタイヤが滑っているが

それでも無駄が無く、理想のライン取りができている。


ギャラリー『あんな走り、よくできるぜ…!』

     『まさに「頭がおかしい」が最高の褒め言葉だな!』

     『何時(いつ)コケてもおかしく無いぞ、あんなの…!』

翔太『やっぱり、森田先輩は確実に進化してるよ…!

   普通、こんな急なカーブは減速しないと曲がり切れないもん!』

孝『滑りやすい路面でジャイロ効果を利用し、敢えて大げさに

  バンクを取る事によって、急激なカーブを可能にしているんだ…!』


コースを半分クリアし、残るはスーパーダートとポール地帯と最後のヘアピンカーブ。

森田先輩がスーパーダートに突入した。

スーパーダートは、カミカゼが名付けたセクション。

数々の大きな岩が地面から剥き出しになっていて、非常に手強い悪路となっている。

孝はここをごり押しで通過し、翔太は間を縫って上手く脱出する。

森田先輩はどのような走り方をするだろうか…!


健吾(死ぬ気で練習したアレを披露する時が来たぜ!)


森田先輩はインに向かって突っ込んで行った。


ギャラリー『うわあああっ!』

剛『ぶつかるっ!』

孝『せ、先輩!!』


…………………………!?

イ、イン側の…ブロックの上に…


翔太『やっぱり!』

孝『な、なんだ!?』


その時、先輩はイン側のブロックの上を走っていた。

それも、ただ走っているだけじゃない。

ぶっとばしの最高速度で飛び乗り、その速度を維持し続けているのだ。


翔太『先輩は前から、これを練習していたんだ…!スキッドブロック!!』

孝『ぶ…ぶったまげた…。』

翔太『気を抜くな孝!まだヘアピンがあるだろ!』


スーパーダートを通過した途端、先輩はブロックから降りた。

(わず)か5センチ程のブロックの上を、40キロ以上の速度で10メートル以上走った。

数本ものポールが生えているポール地帯も、殆ど減速する事無く通過。

残るは最後のヘアピンカーブだけとなった。


剛『あんなスピードでヘアピンに入ったらクラッシュしちまうよ!』

孝『先輩!』


とんでもないスピードでヘアピンのイン側に突っ込む。

そして、コーナーの僅か1メートル手前でレイトブレーキング。

ハンドルをインに向け、フロントタイヤをロックした。

当然、車体は急激に傾き始める。

誰もが転倒すると思った瞬間、先輩は何時の間にかヘアピンをクリアしていた。

並みの動体視力では、はっきりと分からない速度だった。


翔太『今のはどうなってるんだ!?』

孝『ペダルターンだ!

  イン側のペダルを下げて、わざと地面に

  ぶつけて食いつかせ、そのままコンパスみたいにUターンするんだ!』

翔太『Vブレーキの強力なブレーキ力で

   フロントタイヤをロックし、そのまま車体を急激に傾けたんだね!』

剛『全く分からないけど、とにかくすっげえや!』


先輩はそのまま素早い立ち上がりでゴールインした。

チームメンバーがタイマーを凝視し、目を疑っている。

森田先輩は自転車を降りて、片隅に駐輪した。


健吾『あの技、ペダルの寿命縮めるから、あんまり使いたくねーんだよな。』

孝『先輩!凄かったっすよ!』


チームメンバーとギャラリーから大喝采が起こった。

人数は少ないが、一人一人の感じた事がしっかり染み付いているのが分かった。


剛 (やっべぇ…マジ、ハマっちまうぜ…)


先輩の常識外れな走りを見て、オレはただ茫然と立ち尽くしていた。

☆マシン図鑑☆

DYNA・(ダイナ・)ABISEED(アビシード)

 走行安定性と操縦のしやすさを重視した初心者向けクロスバイク。

 従来のクロスバイクよりも気軽に乗れるが、性能は劣らない。

 走りの性能は平凡だが、だからこそ自転車の楽しさを学べる。

 まさに万人の入門にぴったりな一台。

 新車価格は38000円。

搭乗者・別府剛(べっぷつよし)

カラー・ダークパープルメタリック

剛仕様…現段階ではほぼドノーマル。

    今後はチャリドリに適したカスタムをしていく。

※自転車、およびメーカーは全て架空の物です。

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