第8話「だが美人に限る」
「・・・さすがにこれは・・・」
「大丈夫です」
「いやいや、これは無理だと―――」
「大丈夫です」
「さすがにさっき男だって知ったばかりで女装は無理がありますって!!!」
* * *
目の前に立つスーウィンさんはどこからどう見ても綺麗な『女性』だった。
それはもう見事としか言いようがないぐらいにどこからどう見ても『女性』だった。
この人が女性じゃないなんて信じられない、それぐらいに『女性』だった。
「なにを言ってるんですか、相手は色情魔ですよ」
「色情魔だからこそ分かるとは思いませんか!?」
「いえいえ、頭より先に本能で動く獣のような人と呼ぶのもおぞましい生き物ですから大丈夫です」
「それって私が危険ってことじゃないですか!」
「そのときはスーウィンさんが危なくなる前に私が切り落とすので御安心を」
「・・・・・聞きませんからね、『何』を切り落とすかなんて聞きませんからね」
前々からスーウィンさんには女装が似合うとは思ってたけどここまで似合うとは・・・
うん、きっと生まれてくるときに性別を間違えたんだね納得。
「じゃあ作戦を確認しますね」
「もう分かりましたよ・・・」
作戦はいたって簡単で単純。
屋敷を出て次の村に着いたらザクセンはおそらく即行綺麗な女性を探しにかかる。
これに関しては、人がいつか死ぬんだということぐらい分かり切っている。
そこですかさず女装したスーウィンさんにザクセンを誘惑してもらう。
あいつは美人だと男性と女性の区別があいまいになることが多いからな、馬鹿だろ。
そしてあの馬鹿のことだから宿屋にすぐに連れ込むだろう、ほんと救いようがない。
そこで連れ込んだら即行奴のブツを切り落と・・・・・いや、なんでもない。
まぁ相手が男だと気付いたらその時点でそうとう凹むだろうしな。
ははは、いろいろと再起不能になれば良いんだというかそのまま死ねえええええ!
ヘクトさん的復讐
出来ることならなんでもするよ