第6話「ベタなんです」
「退治されるのは貴方達よ!」
そういうなりトウカという少女は剣を構え斬りつけてきた。
「うわっとお!!いきなり何するんですか!!」
「死ぬのが嫌なら誘拐した人たちを返しなさい!」
「いや返せとか普通に無理―――――って貴女短気ですね!」
無理だと答えた瞬間、トウカはまた斬りかかってきた。
運が良いことに剣を持ち始めてまだ日は浅いのか、もしくは剣が体にあっていないのか剣を振るうたびにトウカのほうが剣に振りまわされていた。
「うるさい!」
「うるさいと言われましても・・・」
どうします?と横を向くとスーウィンさんも眉を少し寄せて困ってる様子だった。
まぁ、問答無用で斬りかかられたら困って当然か・・・
「トウカ落ちつけ!!」
「止めないで!!!」
突然斬りかかる行動にザクセン達も驚いたようで慌てて止めに入ってきた。
「何でそこまで熱心なんですかね」
「魔王に対する嫌悪感が半端ないですよね」
あまりの嫌悪感にいっそ感心してしまうぐらいだった。
さすがにここまで嫌悪感むき出しにされたことないよ。
「貴方たちみたいな人がいるからお父さんは死んじゃったのよ!!」
「「はい!?」」
お父さん!!?そんなベタすぎるでしょうが!!
しかも全然身に覚えがないんだが!!
スーウィンさんも驚いて口をポカンと開けていた。
「私のお父さんは魔王のせいでいなくなったのよ!!」
「いや、いなくなったというだけであって死んでないんじゃ・・・」
「言い訳なんて聞きたくないッ!!」
そういうなり男二人の拘束を振り払い私達に再び切りかかってきた。
知らねぇ!!身に覚えが無い!!濡れ衣だ!!!
・・・とは思うものの聞いてもらえるわけありませんよねー、ですよねー・・・
「えっと、ここはひとまず退散!!」
「了解です!!」
「逃げる気ですか!この卑怯者!!」
「「逃げて当然!三十六計逃げるに如かずです!!」
たぶん今の私達は隼が急降下する速度にも負けず走り去っているだろう。
そのことを考えると少し目の前が滲んだがきっと気のせいだ、そう信じている。
ヘクトさんとスーウィンさんの特徴
逃げ足は天下一品です