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第4話「99戦99敗」





「ここが勇者たちの滞在している・・・・・村?これ村ですか??」


「どこからどう見ても村ですね」


「でも勇者たちが滞在しているのは・・・」


「えぇ、『宰相の別荘』のはずです」


「宰相って金持ちですね、羨ましい」


「ヘクトさんも政治の裏側を覗きたいですか?」


「全力でお断りです」









   *   *   *









「いま思ったんですけどね、よく考えれば無茶ですよね」


「なにが無茶なんですか?」





スーウィンさんは私をキョトンとした顔で見てきた。


いやいや、そこはキョトンとするところではありませぬ。





「考えても見て下さい、相手は宰相なんですよ」


「はい、ここは宰相の別荘ですから当然ですね」


「しかも勇者たちが滞在中ってことは警備もあるはずですよね、たぶん」


「十分に考えられますね」


「勇者たちを脅すとか難しくないですか、それ!!?」


「いいえー、こういうときのための魔術師ですよ?頑張ってください」


「違います!!」





お、親指を立てるなッ!!


スーウィンさんの眩しいぐらいの笑顔が憎らしい・・・ッ









   *   *   *









「トウカ」


「はい、なんでしょうか」


「俺と一緒に熱い夜を過ご―――――」





 ゴンッ!!!!





「~~~ッ!」


「お前という奴はッ!!毎回毎回―――!!」





紫色の髪をした青年ザクセンを後ろから力いっぱい殴った青年は怒りのせいで顔を

耳まで真っ赤にしていた。


ちなみに毎回毎回と言われるのはザクセンがトウカと呼んだ少女のパーティーに加入してから毎晩、先ほどのように声をかけているからである。


最初のころは知り合ってすぐだというのもあってやんわりと注意していたが、

今では遠慮などするはずもなくパーティーメンバーは日ごろのストレス解消といわんばかりにザクセンを殴って止めるのが日常となっていた。





「シュバルツさん!落ちついてください!!」


「だ、だけどな・・・」


「 落 ち つ い て く だ さ い ! 」


「・・・・・分かった」





トウカは落ちついてきたシュバルツを確認してから痛みで座り込んでいるザクセンに目を向けた。


トウカも今までなんども言われてきてはいるが、やはり言われること自体には慣れていないのか顔を赤くさせていた。


そしてふとこの前ザクセンが酔った拍子に漏らした会話を思い出した。





「ザクセンさんもいつもそんなことばっかりしてるから本命の子にフラレまくってるんじゃないですか!?」



 サク



「そういえば告白して99戦99敗したとか言ってたな」

 


 サクッ



「・・・それフラレすぎじゃないですか、絶対に相手の方も呆れてますよ」



 ザクッ



「まぁ、だが相手の子は正しい判断をしてると思うぞ。顔が良くてもこんなどこかの街に着くたびにそこら辺にいる女の子ナンパするわ、夜になれば遊郭にいって朝まで帰ってこない奴と付き合ってなんかいられないだろうよ」



 ザクザクッ



「全部もとはザクセンさんの女性に対するだらしなさが問題なんですよね」



 ドスドスドスッ!



「まったくだ・・・おいザクセン!100敗したら教えろよ、盛大に祝ってやる」


「じゃあ今から貯金しときましょうか、盛大に祝うために」


「あぁ、他の奴らにも戻ってきたら伝えとくか・・・って泣いてるのか」


「・・・うるせぇ・・・」





トウカとシュバルツの会話がよほど堪えたのかザクセンは床に倒れ込み

涙で染みが出来ていた。





「俺たちにこんなこと言われて泣くぐらいなら最初から言われるようなことを

するなっての」


「・・・100敗しても絶対に言わねぇ」


「「えええええ・・・」」













 賢者ザクセン


 どうやら本命の子には見向きもされてないようです










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