第9話「言い訳無用」
「そこの美しいお嬢さん、一緒にお酒でも飲みませんか?」
「え、」
「いえ少しお話するだけでも良いんですが・・・」
ほんとに引っ掛かりやがったよこの馬鹿
* * *
どうもただいま人生最大の危機をむかえてる私です。
ヘクトさんに頼まれて嫌々ながら引き受けた今回の役、どうも私には荷が重かったようです。
男 に 押 し 倒 さ れ る だ な ん て
確かに相手は美形です。
でも相手は男です、私も男です。
このピンチは私はどうやったら切り抜けれるのでしょうか、いやほんと。
ってああああああああ、こうしてる間にも顔は近付くし手は厭らしい!!!
鳥肌!鳥肌ものですよ!いっそ死にたいッッッ!!!
「初めてなのかな?大丈夫優しくしてあげるから怖がらないで」
怖いとか怖くないとかそういう次元じゃありませんよこれは!!?
ヘクトさあああああああん!まだ!?まだなんですかああああああああ!!!
「そこまでだ!この色情魔!!ってか作戦立てといてなんだけど引っかかるなよ!!」
「お、おま・・・ッ!!ヘクト!!?」
「遅いんですよ!!本気で自分を諦めかけましたよ!!」
「すいません、刀を研いでたら時間がかかりました」
「あー・・・そうですか」
私は納得してしまった自分が憎いです。
「誤解だ!!!」
「「は?」」
目の前で私に覆いかぶさっていた賢者殿はそう叫ぶなり飛びのいた。
というか誤解って・・・思いっきり押し倒してきてたじゃないですか。
これのどこが誤解なんだか。
それは部屋に入ってきたヘクトさんも思ったらしく呆れた様子で賢者殿を見ていた。
「これのどこをどう曲解したら誤解になるんだ?」
「すべてだ!!!」
「「無茶だろ(です)」」
・・・この人は本当に賢者なのだろうか?
どこからどう見てもアホの子にしか見えません。
「あー・・・もう面倒だしさっさと切り落とすか」
「ねぇ、何を切り落とすのかな、ねぇ」
「よっしゃ、歯ぁ食いしばれ!!!」
「ちょ、タンマタンマタンマタンマアアアアアアアアアアアア!!!!」
ザクセンさん的言い訳
だいたい誤解