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ドール  作者: りょく
第一部
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第十四章 闘技場《前編》

シンは牢屋のような場所に入れられたまま、かなりの時間が経っていた。

クソー!どうなってんだよ・・扉は鉄製、高い天井・・空気穴は小さくて通りぬけることなんてできないし!!

「あ゛~腹減ったなぁ・・・レキ、心配してくれてるかなぁ・・・」

こうやってする事も無かったら色んなこと考えちゃうな・・。俺がレキについて旅に出たことや、それがだんだん事件とかに巻き込まれていくこと。

レキの行く道に俺の答えが待っていると思った、だからレキについて旅をしてたけど・・・俺レキのことってほとんど知らないんだよなぁ・・・すごい力を持ったドール、そして元は人間だったレキ・・そしてレキの力を欲する人間達・・。

「あ゛~!弱気になったらダメなんだ!まずココを抜けださないと!・・それからだよな・・レキに・・」


レキはメグに教えてもらった、ロウス=政府機関の町に向かっていた。

『お前は化け物・・・誰にも干渉せず誰もお前には干渉しない・・お前はお前と思う事は許されない・・すべて我らの手中の中・・・』

頭の中に繰り返し浮かぶ言葉・・そしてそれはレキを縛る言葉。最近その頻度が増えてきた。

「決められた・・運命か・・・・」

奇妙な笑みを浮かべながら、ロウスに向かう馬を急がせた。


「ライメイ、何を考えている?」

仲間達に指示を仰いでいたライメイは、メグの言葉に振り向く。何が?と聞いたライメイには怪しい瞳の光を携えている。

「他の人に干渉しないハズじゃなかったの?」

「今でもそうさ!俺はレキを倒すが、他の者に倒されてもおもしろくないだろ?ただそれだけさ、それじゃなメグ」

部屋を出ようとしたライメイを見て、メグは複雑な気持ちになる。大きなため息をひとつついてキッパリと言う。

「・・・私も行くわ、ロウスに」

「・・・それじゃ皆さんで出発と行きますか」


「クッソー・・引っ張っても叩いてもこにの扉びくともしねぇ・・・」

「・・おい出ろ」

声がする方の扉を見ると、兵士が数人立っていた。言われるままに兵士の後を着いていくと、すれ違いに政府の上官らしい者達と会うが、何故か頭を下げるのは上官達の方だった。兵士達に連れられてしばらく歩いていくと、大な歓声の声が響き渡っている。何だと思いながら、その歓声のする方へ行くと、暗い牢屋にずっといたせいで目が光りに弱っている、しばらくして目が光りになれてきてそこで見たものは・・。

視界に飛び込んできたのは、闘技場?の様な場所。中央には平らな広間があり、数人の人物が武器を振り回し戦っている・・その周りには大勢の人々が歓声の声を上げていた。

「ようこそ、シン・スゥー君だったね?」

声の主は太りきった体を重そうに揺らし、全身を黒いスーツを身につけ、髪はテカテカに固められている。指や胸には大きな宝石の塊があったが、正直って完全に似合っていない・・。

「君はこれからあそこで最強を競って戦ってもらうよ」

近くにいた側近の男らしい人物がシンの腕にナンバーの入った鎖を結び付ける。

「これは君の会員証、これにはコンピューターで自動的に記憶されていく、色は赤・青・黄色になりその色は体調や成績などが記憶されますので・・・」

もうひとつ渡された名刺の様なカードは銀色で、名前と写真が載せられている・・その他は何のへんてつもないものなのだが・・。

「まずは君達選手の控え室だ」

案内された所は、控え室って言うよりは、結構きれいで長い廊下の両端には扉が永遠と続いている。数人の人物は廊下に座り込んだり、何かブツブツ呟いたりしている。

「ここだ、今日の午後10時から君の初戦が始まる、それまでに体調を整えておくのだな」

「ちょっ!今日!?」

シンの質問には答えず、行ってしまった・・。

「やぁ兄ちゃん新入りかい?」

数人の男達がシンの後ろに立っていた、その男達はニヤニヤとあやしい笑みを浮かべながら近づいてくる。

「かわいそうに、こんなにまだ若いのになぁ~」

「本当に、でもここに連れてこられるって事は兄ちゃん何をしたんだ?」

「まぁすぐにここを出られるさ」

「そうそう、死体となってだけどな」

「人にそんな事を教えるくらいなら、おじさん達こそ頑張ったら?次がないんでしょ?」

幼い声にシン達が振り向くと、10歳位の金髪で片目を長い前髪が隠している少年。

「ッチ!」

男達は少し怯えた感じでそそくさと去っていった。

「お兄ちゃん今日来たの?」

「あぁ・・俺はシン、君は?」

少年は人懐っこい笑顔で答える。

「僕はロンだよ!よろしくねシン!!」

そう言うと、またねと手を振って行ってしまった。

シンは決められた自分の部屋と言っても、部屋の中にあるのはベットと洗面台があるだけ・・。

「おい時間だ出ろ」

電気もほとんどついていない廊下を歩いていくと、先の方から光が見えそっちの方から人の声が聞こえる。光の道を進んでいくと大勢の人達のが、真ん中にある舞台を中心に歓声をあげている。その中央では人間や機械人形達が戦っている。

「あっ!お兄ちゃん」

向こうの方から自分の姿を見つけたロンは嬉しいそうに手を振り、走り寄って来る。

「お兄ちゃんもココでお仕事するんだ?」

「仕事?」

その時大きな歓声があがり中心をみると・・。さっきまで中央で戦っていた、人間の方が機械人形の刃に貫かれている。

「おーっと勝者が決まったようです!!」

司会者の声に合わせて歓声が響く。それをじっと見ていたシンに向かってココへ案内した兵士はおもしろそうに言う。

「さぁお前の番だ、せいぜいバラバラにされないようにな」

「お兄ちゃん頑張ってね!」

何を頑張るのか、ロンが言っていた仕事って・・・わからないまま中央へ行くように命令され・・・。

「今度は新人の人間だ!!さてどの様な試合を見せてくれるのか!!」

耳が痛くなるような巨大な声でアナウンスする司会者にウンザリだが、自分と同じく舞台の上に来たのは、シンよりも倍以上ある体格の機械人形だった。

「ルールはいつもと同じ!どちらかが死亡あるいは戦闘不能になるまで戦ってもらいます!!では始め!!」

観客達はスタートと同時に歓声を上げ始める。

死亡や戦闘不能って要するに、どっちかが死ぬまでってことじゃないか!?

「・・・・・ゲテ・・」

「・・・??」

「タ・・・・助・・ケ・・テ・・」

確かに機械人形が言った・・言ったと言っても機械同士だけに理解できる電波の様なもので伝えたのだが・・。大きな腕を振り回し向かってくる機械人形を避けながら、シンは思う。

「お前・・・・意思が残ってるのか!?・・・」

こういう闘技場は戦争が終結するとともに世界各地にできてたということは聞いた事があったが、大抵の場合は廃棄処分決定となった機械人形を買い占めた金持ち達の道楽でやられることが多かったようで・・・。

「・・・・助・・・テ・・・・」

こんな場合、意思などのプログラムは消去されているハズ・・なのにこいつは意思が残ってる・・・ここは不法な闘技場ってわけか・・。

いつまでも勝負がつかない試合に観客達はヤジを飛ばし始める。

「・・・苦しいのか?・・・・」

その言葉に一瞬機械人形が涙を流した様に思えた。それはただの思いこみなのか、オイルが流れただけだったのかもしれないが・・・。頷く機械人形の急所を破壊する。早業だったため他の者達には見えなかったが、機械人形は動かなくなった。

「・・・・」


「勝者新人!なんと言うことでしょうこの私でも、あまりの早業で見えなかった!!」

「お兄ちゃんすごーい!!」

試合が決まり舞台を降りると、さっきの兵士がまた来て部屋に連れて行く。

「ふん・・今回は運が良かったな!次は無理だろうがな!!」

「・・だったら、あんたが俺と戦う?」

兵士は青い顔をして、部屋から出て行った。その後、部屋の扉をノックする音がして扉を開けてみると。

「ロン?どうしたんだ?」

「お兄ちゃん、今日の試合すっごかったよ~!!」

「はは・・・あっ・・ロンどっかに土あるとこないか?」

「土?あるよ!」

ロンの後を着いて行くと、なんとか一人通れるような通路がありその先は外に出る事ができた。

「へぇ・・・こんなとこに通路なんてあったんだなぁ・・」

シンがポケットからだしたモノを土の中に埋めていると、不思議そうにロンが覗きこむ。

「何してるの?」

「これはさっき戦った奴の核だよ・・・こうして弔ってやらないと」

「機械なのに?どうして?」

ロンはわからないっといった感じで、目をぱちくりさせていた。

「・・っにしても・・ここじゃあんまり寝心地良くないかもしれねぇけど・・勘弁してくれな」

「ロン!早くこっち!」

違う子供の声がして、振り向こうとすると兵士達の声が聞こえるとロンがシンの服の裾を引っ張った。

「ん?何か今物音がしなかったか?」

「気のせいじゃないか?」

「そーだな・・今度はこっちへ行くぞ」

兵士達は気づかずに行ってしまった。

「ロン・・あんな所で何してたんだよ~危ないよ?」

今度は振り向くと、そこにロン位の年頃の子供達がいた。

「うん、ちょっとね・・それより新しい仲間を紹介するよ」

そう言うと一斉にシンの方へ視線を向けた。

「おっおう・・よろしくな」

それから、ロン達が秘密基地に行くというので一緒に行くことになった。通されたのは、オンボロの地下室でその壁には破れているが、アズの絵がが掲げられていた。

【アズ:この世界での女神の名前。ボロボロの無垢の布の服を着て、手に持っている天秤には人の心臓と零れ落ちる砂、裸足の下に茨が生えている絵】

部屋を見わたしていると部屋の電気が消され、数本の蝋燭の火だけになる。

「ロン?何するんだ?」

「仲間の弔いだよ」

そう言ってロンは隅から出して、台の上に置いたのは・・まだ幼い機械少女の首だった。

「この間、仕事で壊れちゃったんだ・・だから・・」

次の瞬間、機械の少女を分解し始め使えるモノを探し取り合いまでしていた。

「な!?何してんだ!!」

「お兄ちゃんも欲しいの?」

「そーじゃねぇよ!!こいつお前の仲間だろ?例え壊れて再起不能であっても・・そんなこと・・」

ロン達は、本当にわかっていないようだった。

仲間って事はこいつらも機械人形なんだろうけど・・理解できないのか、それともそういう風に制御されているのか・・・。

「だって、人間みたいに土に返らなでしょ?それに火で燃えるわけでもない・・どうするの?」

「どうって・・とにかく、もうやめろ!いいな!」

ロン達は不服そうな顔をしていたが、なんとかやめてくれた。それからしばらく皆部屋にいたが、ボソボソと喋るかじっとしているかのどちらで・・とくに何もしなかった。一人が扉から出て行くと、ぞろぞろと他の子供達も部屋から出て行く。

「それじゃ僕達も帰ろう!お兄ちゃん」

「あ・・・あぁ・・・・」



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