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人間狩り

作者: 谷 風汰
掲載日:2026/06/27

 ハヌレクサは収穫物に触った。

 つるがうねうねと伸び、足に絡みつく。

 それはジタバタとし、ハヌレクサのほうを見つめている。

 目が血走っていた。


 ハヌレクサは足を引っ張ったり揺らしたりしてみた。

 

「うぅぅううう!!!」


 収穫物は叫んだ。

 張り裂けそうなほど両目は広がっていた。

 活きが良いな、とハヌレクサは思った。

 

 ハヌレクサは天井を見上げた。

 ちょうど太陽の光が目一杯当たる場所だった。

 これだと人間もよく育つ。

 日光はそれらに必須だからだ。

 周りを見ると同じようによく熟れた人間と、それらをしげしげと眺めているハヌレクサの仲間達。

 みな楽しそうだった。

 透明な天井には吊り下げられた人間たちが並び、その体には液体栄養を供給するための管が取り付けられている。

 人間の体重が百キロを超えてから収穫するのが通例だった。


 ハヌレクサは隣の人間に向けてつるを伸ばした。

 足を引っ張ってみた。


 もげた。


 ズボ、という音が聞こえた。

 叫びは聞こえなかった。

 顔を見ると真っ白だった。

 腐っているのだ。

 すでに。


 ハヌレクサはもげた足を回収用の青い箱に投げ捨てた。

 それから、その隣にいる人間に向けてつるを伸ばした。


 また足を引っ張ると、今度をずしりとした重みを感じた。

 恐らく百キロは超えているだろう。

 そして、引っ張ったときの根の力強さを考えても、状態は非常に良好だと分かった。

 ハヌレクサはその人間の足の指をちぎった。


「あぁああああぁあ!!!!!」


 それは叫んだ。

 猿のように甲高い声だった。

 ハヌレクサは確信した。


 食べ頃。


 今度は首につるを伸ばした。

 巻き付ける。

 力強い拍動がつるに伝わる。

 肌は滑らかだった。

 もう一つのつるを脇の下に巻き、首に巻いた方に力を入れた。

 

「カッ」


 乾いた断末魔が小さく聞こえた。

 ハヌレクサは首をねじった。

 ボキボキという音が鳴り、一回転。

 それから真上に引っ張った。

 

 もげた。


 頭は箱に放った。

 右手につるを巻き付けた。

 もいだ。

 左手ももいだ。

 右足をもぎ、左足も、もいだ。

 全て箱に入れた。

 パンパンになったので従業員を呼んだ。

 右からつるが伸びてきて、箱は消えていった。


 ハヌレクサは五体を取ったそれを体の近くに引き寄せた。

 たくさん汁が吹き出してるので、よく振って綺麗にした。

 生暖かい液体が体に飛び散ったのでつるで拭いた。


 収穫物を口に運んだ。

 食べた。

 新鮮だった。

 

 ただ、ちょっと甘味が足りないな、とも感じた。

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