人間狩り
ハヌレクサは収穫物に触った。
つるがうねうねと伸び、足に絡みつく。
それはジタバタとし、ハヌレクサのほうを見つめている。
目が血走っていた。
ハヌレクサは足を引っ張ったり揺らしたりしてみた。
「うぅぅううう!!!」
収穫物は叫んだ。
張り裂けそうなほど両目は広がっていた。
活きが良いな、とハヌレクサは思った。
ハヌレクサは天井を見上げた。
ちょうど太陽の光が目一杯当たる場所だった。
これだと人間もよく育つ。
日光はそれらに必須だからだ。
周りを見ると同じようによく熟れた人間と、それらをしげしげと眺めているハヌレクサの仲間達。
みな楽しそうだった。
透明な天井には吊り下げられた人間たちが並び、その体には液体栄養を供給するための管が取り付けられている。
人間の体重が百キロを超えてから収穫するのが通例だった。
ハヌレクサは隣の人間に向けてつるを伸ばした。
足を引っ張ってみた。
もげた。
ズボ、という音が聞こえた。
叫びは聞こえなかった。
顔を見ると真っ白だった。
腐っているのだ。
すでに。
ハヌレクサはもげた足を回収用の青い箱に投げ捨てた。
それから、その隣にいる人間に向けてつるを伸ばした。
また足を引っ張ると、今度をずしりとした重みを感じた。
恐らく百キロは超えているだろう。
そして、引っ張ったときの根の力強さを考えても、状態は非常に良好だと分かった。
ハヌレクサはその人間の足の指をちぎった。
「あぁああああぁあ!!!!!」
それは叫んだ。
猿のように甲高い声だった。
ハヌレクサは確信した。
食べ頃。
今度は首につるを伸ばした。
巻き付ける。
力強い拍動がつるに伝わる。
肌は滑らかだった。
もう一つのつるを脇の下に巻き、首に巻いた方に力を入れた。
「カッ」
乾いた断末魔が小さく聞こえた。
ハヌレクサは首をねじった。
ボキボキという音が鳴り、一回転。
それから真上に引っ張った。
もげた。
頭は箱に放った。
右手につるを巻き付けた。
もいだ。
左手ももいだ。
右足をもぎ、左足も、もいだ。
全て箱に入れた。
パンパンになったので従業員を呼んだ。
右からつるが伸びてきて、箱は消えていった。
ハヌレクサは五体を取ったそれを体の近くに引き寄せた。
たくさん汁が吹き出してるので、よく振って綺麗にした。
生暖かい液体が体に飛び散ったのでつるで拭いた。
収穫物を口に運んだ。
食べた。
新鮮だった。
ただ、ちょっと甘味が足りないな、とも感じた。




