最終レイドボス(vs世果の門番)
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物語はまだまだ続きます!
世果の門番。Lv不明。HP──
【HP:??????????】
桁が多すぎて表示しきれない。
「HPが見えないんですけど!?」
「なあ……桁がおかしいだろ、あれ」
レナが叫び、カインは眉をひそめた。
一方で、ゼクスは冷静に分析していた。
「表示限界を超えているということは、少なくとも七桁──1000万以上。三万人がかりでなければ削りきれないHPだ」
一千万。グラオザームが百万、ジャガーノートが五十二万、レヴナントが四十八万。桁が違う。
「問題ない。三万人いる」
トワは【果ての道標】を構えた。
『皆さん、最終レイドの実況を務めますミコトです。視聴者数──五百万を突破しました。BCO史上──いえ、VRゲーム史上最大の戦いが始まろうとしています!!』
> きたきたきた!!
> 震えてるよ、マジですげえ!
> ここに立ち会えて本当によかったと思った
> HP表示が壊れてるボスとか初めて見たぞ!
> 三万人で行くぞ! 頼む、倒してくれ!
> やめろ、フラグだろそれ!
セレスが【覚醒形態】に変わった。トワがその背に飛び乗る。
「セレス。いけるか」
「うん。──こんかいは、みんながいる。みんなのちから、セレスにもくる」
三万人のプレイヤーの意志が──セレスの力を増幅する。
「セレス、その輝きはいったい……」
プレイヤーや、コメント欄の応援が増える度に、セレスの角の銀色の輝きが増す。
【セレスティアの隠れパッシブスキルを解放しました】
【守護精霊は契約者だけでなく、祈りの数によって、効果範囲を拡張します】
トワの目の前にセレスの隠れパッシブスキル解放の画面が表示された。
応援が増えるほど、セレスの力が強くなる。
「トワ、みてて! セレス、がんばるから!」
【守護精霊セレスティア──全プレイヤー情報共有:完了】
三万人全員の視界に、敵の情報が表示された。
「おい、見えるぞ! 敵の弱点が、HPが、行動パターンが見える!」
「まさか、全員に表示されてるのか!?」
「あの光の妖精が──三万人全員に情報を!?」
三万人が、トワと同じ目を持った。
これでもう、あの時とは違う。千人のレイドの中で、トワが一人で何とかする戦いじゃない。
三万人全員の【旅】だ。それぞれが自分の判断で、最適な行動を取る。トワの情報を共有し、それぞれが自分の旅として戦う。
「──行くぞ。どこまでも、歩きに!」
『オオオオオオオオオオオオオオオォ!!!』
トワの合図によって、三万人が動き出した。
◇
【第一形態:天空の嵐】
世果の門番が翼を広げた。空が暗転する。嵐が生まれた。
雷、暴風、雹。空のフィールド全体が暴風域に変わった。プレイヤーたちが風に煽られ、足場を失う。
「嵐!? こんなの、立っていられねえ!」
「飛ばされるぞ! 掴まれ!」
三万人が混乱しかけるが、トワがすかさずチャットを打つ。
トワ:「嵐の安全地帯がある。門番の翼の真下──風が届かない。全員、門番の足元に集まれ!」
敵の足元に行けなんて、普通なら自殺行為だ。しかし今となっては、トワを疑う者などいない。
門番の巨体の下に潜り込む。翼が風を遮り、安全地帯が生まれていた。
「風が止まった!?」
「トワの言う通りだぞ!!」
安全地帯から──攻撃開始。門番の腹を、三万人が同時に叩く。
剣、槍、矢、魔法。ありとあらゆる攻撃が門番の腹に叩き込まれる。
HPゲージが──わずかに、動いた。
「削れてる! 少しだけど削れてる!」
嵐が止んだ。門番が上昇し、距離を取る。第一形態の攻撃は凌いだ。
『第一波を耐えました! トワさんの指示で嵐の安全地帯を見抜き、全員が足元に集結! 三万人が一斉に攻撃! HPが、少しだけ削れました!』
> 三万人の一斉攻撃で「少し」しか削れないのかよ
> このボスのHP、どんだけあるんだ
> でもトワの指示がなかったら、嵐で全滅してたな
> 安全地帯を一瞬で見抜くの流石すぎる
◇
【第二形態:光の雨】
門番の翼から、光の粒子が降り注ぎ始めた。
触れたプレイヤーは、みるみるうちにHPが削られていっている。
「光が当たるとHPがやばい! こんなの、どこに逃げれば──」
光は全域に降っている。安全地帯がない。
マルクが叫んだ。
「回復が追いつかない! HP減少が速すぎる!」
三万人のHPが徐々に削られていく。回復職が全力で回復スキルを連打しているが、降り注ぐ光の量が多すぎる。
このままじゃ、全滅する。
トワは──空を見上げた。光は門番の翼から降っている。翼が光を放っている限り、光の雨は止まらない。
トワ:「翼を折る。遠距離職全員、翼の付け根に集中砲火!」
三万人の中から弓使いと魔法使いが名乗り出る。数千人が、一斉に翼の付け根を狙う。
しかし、翼は高い位置にある。弓の射程が届くギリギリだ。普通の弓では威力が減衰する。
ミコトが弓を構えた。
「【鷹の目】で翼の弱点を探します!」
矢を翼の付け根に放つ。【鷹の目】で情報を取得。
ミコト:「付け根の関節部に亀裂があります! 左翼の第三関節!」
トワ:「ミコトの情報を全員に共有する。左翼第三関節に全集中!」
数千人の射撃が、一点に集中した。
ミコトの矢が、最初にその亀裂に到達した。弓使いLv83の矢。大した威力ではない。しかし、亀裂の正確な位置を示す「目印」になった。
数千の矢と魔法がミコトの矢に続く。亀裂が広がり──
翼が──折れた。
左翼がひしゃげて、光の雨が半減した。回復が追いつくようになる。
「翼が折れた!!」
「ミコトさんの目印射撃がMVPだ!」
「Lv83の弓使いが、最終レイドでMVP!」
『や、やめてください……! わたしはただ、弱点を見つけただけで……!』
ミコトが涙目になって配信している。それでも手は止まらない、もう一方の翼にも矢を放つ。
右翼も──同じ方法で折れた。光の雨が完全に止んだ。
> ミコトさん!!!
> Lv83の矢が最終ボスの翼を折るきっかけになった
> トワの目とミコトの矢の組み合わせ、準決勝の時から変わってねえ!
> あの二人のコンビは最初のレイドからずっとだよな
> もうマジで泣いてるわ
◇
【第三形態:大地の崩壊】
翼を失った門番が、落下した。
空の床に叩きつけられ、透明な床がバリンッ! と、割れる。足の下に見えていたBCOの世界──ジオラマのような大陸が、近づいてきた。
落ちていく。三万人ごと、世界に向かって。
「落ちる! 落ちてる!」
「地面に激突する!?」
みんながパニックに陥る中で、トワだけは冷静だった。
トワ:「落下中に門番を攻撃しろ。着地の衝撃を門番に受けさせる。全近接職、門番の上に乗れ!」
落下しながら、門番の巨体によじ登るプレイヤーたち。
重力を利用して、落下の勢いを攻撃に利用する。
レナが門番の首に飛び乗った。
「この距離なら──外さない!」
突進スキル。首筋に剣を突き立てる。
カインが影の中から門番の目に短剣を突き刺す。
「目が弱点だ。近接組、目を狙え!」
ゼクスが、門番の額に張り付いた。
「俺の得意分野だ。急所を叩く」
【先制の絶技】。暗殺者の最大火力スキルを、門番の眉間に叩き込んだ。
地面が迫ってくる。
アストレアが全軍の前に立った。
「全防御職、着地準備! 【聖壁展開】!」
聖騎士スキル。巨大な光の壁が地面との間に展開された。ヴァルハラの盾が加わり、ソラの風魔法がブレーキをかける。
着地。
衝撃。だが──光の壁とバフが全員を守った。門番の巨体が地面に激突し、大地が陥没する。
着地点は──銀月の草原だった。
あの、銀色の草原。トワが最初に鹿と出会った場所。セレスと出会った場所。
門番が大地に倒れ、草原の土が舞い上がる。銀色の草が光の粒子のように散った。
「銀月の草原……ここに落ちたのか」
「トワ、セレスと出会った場所」
「ああ、もしかしたら運命だったのかもしれないな」
◇
【最終形態:世界の記憶】
門番の姿が、一変した。
巨大な龍の姿が崩れ、光の粒子に分解されていく。しかし消えるのではなく、再構成されていく。
龍ではなくなった。
光の粒子が──人の形になった。
旅人の姿。フードを被り、杖を持ち、世界を歩く者の姿。
──ソルシア王国の、最初の旅人。壁画に描かれていた【空を歩いた旅人】。
【世果の門番──最終形態「始まりの旅人」】
「旅人──の形をしてる……」
ハルが呟いた後、始まりの旅人が口を開いた。
「久しいな、旅人よ。──お前が来るのを、待っていた」
トワはセレスの背から降りた。門番の……始まりの旅人の前に、一人で立つ。
「お前は──ソルシアの旅人か」
「ああ。かつてこの世界を最初に歩いた者だ。世界が完成した日に、私はここに置かれた。最後まで歩く者が来るまで、待てと言われて」
「誰に」
「この世界を作った者に」
──開発者。カガミたちBCOの開発チーム。
「最後の試練だ、旅人よ。──お前の旅の全てを、見せてもらう」
始まりの旅人が、杖を構えた。
レヴナントの時とは違う。完全コピーではない。始まりの旅人は【最初の旅人】であり、トワとは別の存在だ。別のスキル、別の武器、別の戦い方を持っている。
【始まりの旅人 HP:10,000,000 ATK:50,000】
ATK50,000。トワのATKを優に超えている。HP1000万。
一対一では勝てないだろうが──
「俺は、一人じゃない」
三万人がトワの後ろにいる。
始まりの旅人が、微笑んだ。
「そうか。お前は──仲間を連れてきたのか。私は一人だったが」
「俺も最初は一人だった。歩いていたら、隣に人がいた」
「よい答えだ。──では、全力で歩こう」
始まりの旅人が杖を振った。光の波動が三万人に向かって押し寄せる。
トワ:「全軍散開! 波動は命中したら一撃だ、全員伏せろ!」
三万人が同時に伏せた。光の波が頭上を通過する。
反撃。三万人が立ち上がり、始まりの旅人に向かって攻撃を叩き込む。
しかし、始まりの旅人は三万人の攻撃を、たった一人で捌いていた。
杖で魔法を防ぎ、剣で近接を弾き、弓で遠距離を落とす。──【万象の構え】。全武器種を使いこなす旅人のスキル。
「強い……! 三万人の攻撃を、一人で!?」
「あれが『最初の旅人』の実力か……!」
十分経過。始まりの旅人のHPがほとんど減っていない。三万人の攻撃を、ほぼ全て防いでいる。
「削れない! 強すぎる!」
「受けるな、避けろ! くらったらワンパンだ!」
「うげぇ……俺はここまでのようだ……」
「こんなの、本当に倒せんのかよ!?」
「行動パターンは!? 行動パターンを見て避けろ!」
「んなの、分かってても無理だ! 見て避けることも難しいんだよ!」
「トワって、ほんとにすげえことしてたんだな……」
三万人が阿鼻叫喚する中、トワは見ていた。
始まりの旅人の戦い方を。【見聞録】と【砂時計のレンズ】で、一挙一動を解析している。
──見えた。
始まりの旅人は全武器を使いこなすが──切り替えの瞬間に、0.03秒の隙がある。トワの【果ての道標】は切り替え時間ゼロだが、始まりの旅人の武器には──微小なラグがある。
0.03秒。通常のプレイヤーには見えない。だが、トワには見える。
トワ:「ゼクス。お前の影潜りで、始まりの旅人の背後を取れるか」
ゼクス:「やってみる。──だが、あいつも見聞録を持っている。温度センサーで見つかる」
トワ:「温度は俺が消す。【霧散らしの粉】──じゃない。セレスの力で、お前の周囲の温度を攪乱する。――セレス、できるか?」
「うん! ゼクスのまわりのおんど、ぐちゃぐちゃにする!」
セレスの角が光り輝き、フィールド全域周囲を照らし出す。
【条件発動型レイドスキル:月光の祈り】
どうやら以前にセレスが「月の光は温かい」といっていたのは本当だったようで、フィールド全体が、月の光で満たされた。月の光は……温かい。全体が温かいおかげで、温度情報がノイズだらけになる。
効果は……
全プレイヤーのステータス+10%、クリティカル確率+20%、移動速度+30%、攻撃速度+20%。
直ぐにゼクスは影に潜った。始まりの旅人の【見聞録】が──ゼクスを見失った。
トワ:「レナ。正面から突っ込め。始まりの旅人が剣で受ける。受けた瞬間、0.03秒の隙が生まれる。その隙に──」
レナ:「──全力で、斬る!」
レナが突撃した。始まりの旅人が杖から剣に切り替えてレナの剣を受ける。
0.03秒。
ゼクスが背後から短剣を突き立てた。
120,000──超クリティカル。暗殺者の全力の一撃。
同時にトワがセレスの背から飛び、空中から【果ての道標】を叩き込んだ。全武器形態の同時一撃。
200,000。
リゼの魔法。カインの毒刃。マルクの聖光。ミコトの矢。アストレアの聖剣。ソラの風。ヴァルハラの盾撃。
全員の攻撃が──0.03秒の隙に集中した。
始まりの旅人のHPが──一気に半分まで削れた。
「通った!!」
「半分削れた!!」
『いまの連携──トワさんが0.03秒の隙を見つけて、ゼクスさんがセレスちゃんの温度攪乱で背後を取って、レナさんが正面で隙を作って──全員の攻撃が一点に!! これがチームワークです!!』
> 0.03秒の隙を見つけるトワ
> その隙を突くゼクス
> 隙を作るレナ
> セレスの温度攪乱で見聞録を騙したのか?
> 全部、全部噛み合ってるぞ!
> これが二年間の旅で出会った仲間の力だろ!
> いっけえええええええええええええええぇ!!
始まりの旅人が──白い歯を見せた。
「その手腕、見事なものだな。とはいえ……まだ半分だぞ、旅人?」
【始まりの旅人】の身体が光に包まれた。
【始まりの旅人:覚醒モード】
全ステータスが上昇する。ATK50,000が──100,000に。
半分まで削ったHPが、2倍に。最大HPは、20,0000,000に。
「覚醒した!? まだ上がるのか!?」
「うっそだろ……」
「あと、どれだけ戦える? まだ立っているプレイヤーは?」
「そんなの関係ねえ、やるしかねえだろ――」
始まりの旅人が本気の──全力の一撃を放った。
光の柱が、フィールドの中心に現れた。直撃した数百人のプレイヤーが、HPゼロで倒れていく。
「回復! 回復が必要だぁ!」
「急いで、倒れたプレイヤーの蘇生を!」
マルクが全力で回復を飛ばすが、追いつかない。始まりの旅人の攻撃速度が上がりすぎている。
トワは──アイテムストレージを開いた。
【始まりの大盾】
チュートリアルの隠しクエスト報酬。パーティ全員に被ダメージ90%カット。
グラオザーム戦で使った時は【旅人の広域煙幕】と組み合わせて千人に効果を拡張した。
そして今回は──セレスがいる。
「セレス! 大盾の効果を、三万人全員に拡張できるか!?」
「やる! セレスの……ぜんぶのちからで!」
トワが【始まりの大盾】を掲げた。セレスの【月光の目】拡張モードが、大盾の効果範囲をフィールド全体に広げる。
【始まりの大盾──守護精霊の力で全プレイヤーに拡張】
【全プレイヤーに被ダメージ90%カット:20秒】
三万人全員に──光の盾が展開された。
始まりの旅人の全力の攻撃が──盾に阻まれた。
「全員に防御バフが!?」
「ダメージ90%カット!?」
「あの盾──グラオザーム戦のやつだ!」
「始まりの大盾! トワの切り札!」
20秒間。この間に決める。
トワ:「全軍、20秒で決着をつける──全員の全力を、あの旅人に叩き込め!」
三万人が、動き出した。
剣が振られた。矢が放たれた。魔法が飛んだ。盾が構えられ、毒が塗られ、回復が飛び、歌が響いた。
三万人の全霊全力。BCOに存在する全てのスキル、全ての武器、全てのアイテムが──一人の旅人に向かって注がれた。
HPが削れていく。500,000。400,000。300,000。
15秒。200,000。
10秒。100,000。
5秒。
トワがセレスの背から──最後の跳躍をした。
空中で、【果ての道標】が全ての武器の形を同時に取った。剣であり弓であり槍であり杖であり、そして──旅人の杖。始まりの旅人と同じ、世界を歩く者の杖。
始まりの旅人が、同じように跳躍した。
二人の旅人が空中で交差する。
最初の旅人と、最後の旅人。一人で歩いた者と、仲間と歩いた者。
刃が交わった。光が弾けた。
──そして。
始まりの旅人の身体が──光の粒となって散っていった。
「ああ……見事な旅だ。旅人よ……」
始まりの旅人が──最後の笑みを浮かべた。
「お前の旅は、私の旅の続きだ。私が一人で歩いた道を、お前は仲間と歩いた──それが答えだ」
「答え?」
「旅は……一人でも歩ける。だが、誰かと歩いた方が……遠くまで行けるのだ。この私を倒した、お前のようにな」
始まりの旅人が手を差し出した。光の粒子が散っていく中で。
「よい旅だった。──最後の旅人よ」
トワはその手を握った。
光が、弾けた。
◇
【世果の門番──始まりの旅人 討伐】
【BCO最終レイド ── 完了】
【称号「最後の旅人」を獲得しました】
空が、朝の光で満たされた。
銀月の草原に、朝日が昇っている。最終レイドの戦場が、トワの旅の始まりの場所だったこと。そこに朝日が昇ること──BCOの開発者が、最初から用意していた演出だったのかもしれない。
三万人のプレイヤーが、銀月の草原に立っている。銀色の草が朝日を受けて、金色に輝いて。
静寂。
そして──
歓声。
三万人の歓声が、世界を揺らした。
『……終わりました。BCO最終レイドボス──クリアです!! 始まりの旅人が──微笑んで消えました!! 「旅は誰かと歩いた方が遠くまで行ける」と言い残して──わたし、もう、何も言えません! ただ……ありがとうございます、トワさん、セレスちゃん、みんな──いい旅でした!!』
ミコトが泣いていた。配信のコメント欄が全て「ありがとう」で埋まっていた。
> ありがとう
> ありがとう
> いい旅だった
> ありがとう
> 泣いてる
> 最高のゲームだった
> BCOを始めてよかった
> トワに出会えてよかった
セレスが小さな姿に戻って、いつものようにトワの肩に降りた。
「トワ。おわった?」
「ああ……終わったな」
「つよかったね。さいしょのたびびと」
「確かに、とんでもなく強かった」
「でも、トワがかった」
「俺だけじゃない。みんなで勝った」
「うん、みんなで」
セレスがトワの首元に頬をすり寄せた。
「トワ。セレス、きいていい?」
「なんだ」
「つぎは?」
冬夜は、空を見上げた。
朝日が眩しい。三万人の仲間がこの場所にいる。肩の上に小さな妖精がいる。
全てを歩いた。全ての場所を踏破した。最終試練をクリアし、世界の果てに到達し、最後のボスを倒した。
普通なら──ここで終わりだ。
だけど、
「まだ歩ける。きっと、まだ──知らない場所がある」
「うん! セレスも、そうおもう!」
朝日の中で、旅人と妖精が並んでいた。
旅は、まだまだ終わらない。
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物語はまだまだ続きます!




