30話
マートル様が私と結婚したいなんて、突然そんな事言われても……。
「マートル様……何か間違ってませんか?」
「何を間違っているというのだ?」
「私なんてそんなマートル様のような王族に相応しくありません」
「それは誰が決めたんだ?……というかこんな場所で言う事ではなかった……今日はゆっくり休んでくれ」
「はい……私も少し落ち着いて考えたいです」
マートル様は去って行った……。
「ねえサクラ……マートル様の顔見た?」
「ミモザ……私今少し混乱してる」
「なんで?というか悩む必要ないと思うのだけど」
「私結婚とかまだまだ先の事だと思っていたから……」
「とりあえず婚約したらいいのでは?多分王様も反対しないと思うけど」
「なんで?」
「辺境伯家なら上級貴族だから良いと思うよ」
「でも私は魔獣狩ったりするのよ……」
「それは……戦いたいから狩ってるの?」
「それは違う。守るためよ」
「ならいいのでは?」
と話していたら、マートル様が戻って来た。
「マートル様、顔が少し濡れておりますが……」
「少し顔を洗って来た……ではなく、城に行こうか?」
「何故ですか?」
「……寮を見てきたら分かる。修繕しないと住めないぞ」
「ミモザ、今日泊めてくれない?」
「無理」
「何で?」
「男爵家に辺境伯令嬢を泊めるのは……」
「私は別に気にしないけど」
「いや親が驚く……というか困る」
「そう……私他に友達いないし……」
「これは提案だが、不安ならミモザも一緒に城に泊まればいいのでは?」
「私もですか?」
「不満か?」
「いえ、光栄です……が、お邪魔しても良いのですか?」
「今日は一人ではサクラも不安の様だから頼む」
「分かりました。家にはそう伝えます」
こうして城に泊まることが決まった。
「あのマートル様……今日は泊まらせていただきますが、すぐに家を探して引っ越しますので……」
「待て、先日襲われたのを忘れたのか?」
「覚えています」
「どこかに家を借りて住むのなら防犯上の問題がある。ここなら防犯的に安全なので寮の修繕が終わるまでここに居てくれ」
「でもご迷惑では?」
「父も理由を知って許可してくれている……というか推奨してくれている」
「はい?」
「王もここに居てくれると嬉しいらしい。だから気にしないでくれ」
「分かりました」
「ではまた明日」
マートル様は自室に戻って行った。
「ねえ、サクラ……私の存在忘れられてない?」
「忘れては無いけど、何も言わないから……」
「二人がどうなるのか見ていて楽しいから」
「……良い性格してるよね」
「私は城に泊まるのなんて初めてだから緊張してるのよ」
「私は慣れてるみたいに言わないで」
「サクラは慣れてないの?」
「そんなに来てない」
「それは意外……」
「そんなに私って城に縁が有りそう?」
「だってマートル様と仲いいし」
「まあ悪くはないわね」
「私以外だとマートル様位しか学校で仲いい人居ないのでは?」
「そうね……」
「サクラ……良いの?マートル様今年で卒業だよ。卒業したら違う人と政略結婚するかもしれないよ」
「私には分からないのよ……何が幸せかなんて」
「そうね、私にも分からない。でもね、後悔だけはしたくないかな」
「後悔か……」
「マートル様の事嫌い?」
「嫌いな訳ないじゃない」
「と言う事はどちらかと言うと好きなんだ」
「そうね」
「そうか、明日それをマートル様に報告するよ」
「え?」
「サクラはマートル様が好きって……」
「やめて……悪役令嬢になってしまう」
「悪役令嬢?」
「まあその話は忘れて」
「それって前世の話?」
「!?」




