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古本屋?それとも本屋?

 季節は春。冬の寒さがまだ少し残っているが、多くの学生はそんなことは気にしていない。

入学式──多くの学生が新たな出会いと、これから始まる生活に胸を躍らせているからである。

「はぁ……」

 俺は、教室の窓側の前から三番目の席でため息をついていた。


 県立管浪高等学校。県内唯一の公立中高一貫校であり中等部は入試をしないと入れない。けれども、高校からの外部進学生それなりに多いが、外部進学生の3倍ほど内部進学生がいる。つまりどういうことかと言うと、既に内部進学生によるクラス内グループが完成しているのである。

「あとで、ボーリングしに行こうぜ~」

「おう!というか、お前部活どうするん?───」

など、浮ついた会話が多い。辛い。


 気が付いたらあれから5カ月。何も…なかっだ。文化祭、体育祭、校外学習などの友人を作れそうな機会は全て逃した。

「最悪だ……。」

そんなことを言いながら、昇降口で上靴からローファーに履き替える。グラウンドからは、運動部の掛け声がかすかに聞こえる。9月にもなると日が短くなりはじめ、16時で太陽が沈みかけ昇降口のロッカーを照らしている。

「夕日に溶けて無くなりたい。」

校門をでて、ふとそんな言葉を口にした。別に、いじめられているなんて事はない。俺は、“極度の人見知りなんだ”。


 いつもの河川敷。いつもの俺。何も変わらない帰り道。そんな中、一つ気になることがあった。

「こんな本屋あったけ?」

外見は普通の古本屋、しかしこの5カ月間こんな古本屋は目にしたことが無かった気がする。

 興味本位で中に入ると、紺色の袴を着て麦わら帽子を深々被った背の高い男性いた。

「いらっしゃい。坊主。お前良いとこの学生か?」

俺、初対面なのに話しかけられた。この人…コミュ強だ怖い。

「え…っと。普通の学生です…。」

「はぁ?いい服着てて何言ってんだお前。」

呆れた様子で男性は続ける。

「お前、年いくつだ?」

「15です。」

「やっぱり良いとこのガキじゃねぇか。お前、赤紙は来てないんだろ?」

坊主からガキに降格してしまった。しかも、睨まれているし、その上視線に殺意までこもっている。にしても、

「え?赤紙???」

赤紙って、戦時中に徴兵するときに渡されたっていう。あの?

「お前……今は戦争中だぞ?赤紙の事も知らないとか、世間知らずにもほどがある。」

男性は、手元の新聞を片手で読み始めた。どうやら、機嫌を損ねってしまったらしい。だが、今が戦争中?何言っているんだ。この人頭がおかしい。

「今が戦争中なら、なんであなたは徴兵されてないんですか。」

「俺はぁ、空襲で片腕が飛んだ。だから戦争なんかに行っても役に立たねぇ。だから、適性検査の時に醤油をいっき飲みして心臓病と偽っただけだ。」

え…何言ってんだこの人。

「いいよなぁ…良いとこの学生君は、俺みたいな庶民の気持ちなんてわかりゃしねぇよ。」

「…」

思わず、無言になった。ジト目にもなっている気がする。

「わかったんならはよ出ていきな。お前に売る本はねぇ。ただでさえ今は戦争中、売れるなら本は売りてぇがお前には売らねぇよ。」

男性は、手でシッシのジェスチャーをしてきた。ただ、この人は頭がおかしい。だから、間違いだけでも正さなければ。厨二病は治るのが早い方が良い。

「あの……。今になって言うのもあれなんですけど、戦争は終わってますよ。」

「は?」

男性は目を見開いてこちらをみる。

「なら、戦争が終わったっていう証拠は?どこにあるんだよ。」

「じゃぁ店の外に出てみてくださいよ。」

「いいぜ、だがなもしも戦争が終わってなかったらお前…本当に殺すぞ。」


いつもの河川敷。いつもの俺。異質なオッサン。うん。非日常。

「嘘だろ…なんだよ…これ。」

男性は唖然としている。しかし、その眼には透明なしずくが浮かんでいた。

「戦争が終わったんならよぉ…なんで、知恵や和也が帰ってこねぇんだ!なんで、なんで、何のために。俺は今まで、あの本屋を続けてきたんだ…。」

「あの…」

「あぁ…すまねぇな坊主。情けねぇツラ見せてよ。」

「いえいえ。大丈夫です。それよりも、なんで今が“戦時中だと思ったんですか?”」

男性はまた驚いた顔でこちらを見つめてきた。しかし、さっきの様な殺意はこもっていなかった。

「そりゃぁ新聞で東京大空襲って書いてたからな。」

「え?ちなみに今何年だと思います?」

「はぁ?さっき新聞で1945年3月12日って報道されてたが。」

この期に及んでこのオッサンは…。

「今は2027年9月3日ですよ。あの…こんなこと言うのもアレですけど。1945年3月12日っていう証拠はどこにあるんですか?」

「はぁ?坊主。冗談はよしてくれ。いくら戦争が終わったことが真実とは言えよ。今が2027年だぁ?嘘つけ。」

今度は、睨まれなかったが、かわいそうな子を見るような目で見られてしまった。普通逆でしょ⁉そんなことを思いながら、スマホを取り出して、オッサンに見せる。

「ほら、2027年9月3日って書いてあるでしょ?」

スマホの画面を見せるとオッサンは「何だこれ」みたいな顔しながらまじまじとスマホの画面を見ていると。

「坊主。その変な板には1984年って書いてあるぞ。」

「え」


 はじめましての方ははじめまして!久しぶりの方は前作の事は忘れてください!

ほんとに気まぐれで投稿するので、面白かったら反応よろしくお願いします!

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