登録の悲(喜)劇
この物語は、AIをアシスタントに、アイデアを形にした短編集です。既視感を覚える部分があっても、それはAIや作者が無意識に影響を受けた結果かもしれません。「もうあったらすいません」くらいの気持ちで、気軽に楽しんでいただけると幸いです。
考え直した3人は、必要のなくなった無駄な装備を外すことにした。じゃんけんに負けたボッケがリュックに水筒と保存食を入れ背負う。念のためにボッケは、その辺の棒を杖に、ツッコは腰にナイフを吊るし、アマリは防御ができないと文句を言っていたが、フライパンからトンカチに変えるよう説得してベルトに吊るした。3人の服装だが、現代の服装ではなく、この世界でもおかしくない服装に転生時に変わっていた。そしてアマリは人見知りの為、フード付きの服に変えていた。そして、腹のあたりが少し膨らんでいた。
歩き出すと、すぐ街の入り口に着くことができた。
オールドゼニスの街門は、重厚な石造りではあったが、あちこちが風雨にさらされて崩れかけていた。
門にの近くで、男がぼんやりと空を眺めて椅子に座っていた。男は防具と腰に剣をつけているので門番かもしれない。
ツッコは少し警戒しながら、なるべく丁寧に聞いてみた。
「あのー、ちょっといいですか?」
「なんだー?」男はゆっくりと、どこか間の抜けた眠そうな顔でふり向いた。
襲ってくる気配は、なさそうなのでツッコは普段の口調に戻った。
「この街で仕事を探せるとこって、ないかな?」
男は、三人の様子を見て、ふむ、と顎に手を当てた。
3人とも装備は酷い。疲れた顔で質問をしてきた男。街に興味があるのかキョロキョロ見回している呑気な男。もう一人の顔を見せない小さいのは腹の音が鳴ってオドオドしている。まーどっかの農家から追い出された奴らだろうと考えた。
「そんな装備じゃ、まともに戦えねえだろうよ。ギルドに行って雑用でも探すことだな。」
「ギルドってどっちにあるんだ」とツッコがさらに聞くと、男は「この道をまっすぐ行った突き当たりに看板があるところだ」と、指をさした。
「ありがとう!」とツッコとボッケが言って、アマリは頭を下げた。
「俺は門番でグースって呼ばれてる、じゃあな」とだけ答えて再び空を眺め始めた。
言われた通りに道を歩いていく。街は活気がなく、店もほとんどが閉まっていた。
しばらく歩くと、少しだけ活気のある建物が見えてきた。
そこには「古き誓いのギルド」と書かれた看板が掲げられている。
「ここか……」三人は、緊張しながらギルドの扉を開けた。
ギルドの中は閑散としおり受付には年配の女性が座っていた。
「いらっしゃい。初めて見るね?私はマーサ。なんの用だい?」こちらに気づくと優しい笑顔を浮かべた。
「すまねえ、仕事を紹介して欲しいんだ」とツッコが答えた。
「そう、それじゃあ、まず冒険者の登録をしてもらうけど、それでいいかい?」
ツッコが了解すると、3人は別の個室に案内された。
その部屋には、サッカーボールより少し大きいぐらいの球体の水晶の装置が置いてあった。
「登録する前に、まずこの水晶の上に手を置いてちょうだい。あなたたちの名前と職とスキルがわかるのさ」マーサは装置の後ろから言った。
ツッコが最初に恐る恐る水晶に触れると、水晶が淡く光り、水晶内に文字が浮かび上がった。
「名前:ツッコ、職業:漫才師、スキル:言葉(ツッコミ)LV1」
マーサは見たことのない文字に頭を抱え、説明書を見たが、そんな名前はどこにもなかった。
「マンザイシ?ツッコミ?なんだいそれは」読み上げて質問した。
「えっと、相方がボケて、それを俺が指摘して笑いをとるっていう…」
ツッコの説明が中々伝わらず。説明はかなり続いた。
「はぁ、そうかい...とにかく、人に話をしてお金を稼いでいたってことかい?…そう、じゃあ次あんただ」とボッケを指差した。
次にボッケが水晶に触れる。
「名前:ボッケ、職業:漫才師、スキル:言葉(ボケ)LV1」
「また漫才師、今度はボケ……あんたも同じでいいね、次そこの小さい子」と困惑しながら言った。
最後にアマリが怖がりながら水晶に触れると、さらに奇妙な文字が浮かび上がった。
「名前:アマリ、職業:ラッパー+DJ、スキル:言葉(ラッパー)LV1、言葉(DJ) LV1」
「ラッパーとディージェー?」
マーサは、また説明書を見たが、やはり、そんな名前はどこにもなかった。
「あなた!ラッパーとディージェーって何だい、説明してちょうだい!」と問いただした。
「えーと、その、」アマリは口ごもる。
「聞こえないわ!はっきり言いなさい!」と怒られた。
その時ボッケとツッコはアマリがどうするか期待があったのか?少し様子を見ていた。
オロオロするアマリは、助け舟がないので、意を決して服から木の仮面を取り出し、顔につけた。
その仮面は、昔ネット配信で使ったもので、転生時に木の仮面になっていた。それを服の中に隠し持っていたのだ。
「Yo!かますぜ! 説明!行くぜ!」
アマリは叫ぶと、ツービートのリズムに乗るように、別人のように元気に歌い出した。
「YO わーたし異世界ラッパー パッパラパー パン パン パン食べたいよ お金欲しいよ 笑顔になるよ 願い響くよ チェケラアチョ!」
3人は驚いて固まっている。
その後、先に現実に戻ったボケがアマリをなだめ、同じくツッコがマーサを必死に説明した。
「その叫んでた子も、人に叫んでたんじゃなくて歌ってお金を稼いでいたってこと?」しばらくマーサは考えると、急に膝を打って、閃いたように言った。
「それなら、全員吟遊詩人だね!人に歌や詩を聞かせて、報酬をもらうのは吟遊詩人の仕事だからね」
そう言って、マーサは冒険者カードに名前と職業を書き込み、三人に手渡した。
3人は、カードにステータスと違う職種の「吟遊詩人」と、かかれ違うと思ったが、さっき説明しても無駄だったので、まあいいかとカードを受け取った。
「はい、これであなたたちも晴れて冒険者だよ」
こうして、吟遊詩人3人がギルドに登録されたのだった