引きこもりの悲(喜)劇
この物語は、AIをアシスタントに、アイデアを形にした短編集です。既視感を覚える部分があっても、それはAIや作者が無意識に影響を受けた結果かもしれません。「もうあったらすいません」くらいの気持ちで、気軽に楽しんでいただけると幸いです。
最初は勢いで頑張ろうとしていた三人だった。しかし自分の意志じゃない異世界転生と自分の目標だった「漫才師」や「ラッパーとDJ」という職業すらない世界でどう生きるかという答えを見つけられずにいた。
しばらく悩んでいたが答えの出ない問題に「まーなんとかなるさ!明日考えよう!」の思考に収束した。そして最終的に3人の完璧な引きこもりが誕生していた。
神様が用意してくれた食料は庭の畑に育っていた野菜と果樹の果物、そして倉庫にあった干し肉と乾パンと神様特製固形栄養食(素材の味がします)があった。しかし、ここでも同様の思考が、ここでも遺憾無く発揮されたことで一週間と経たずに固形栄養食以外の美味しいものは食べ尽くされていた。素晴らしい悪夢とはこのことだろうか。
家にいる時の大体の時間、ツッコとボッケは一緒の部屋にいた。アマリは別の部屋で1人で過ごしていた。
ゴミが散らばった、だらしない部屋には淀んだ空気が漂っていた。
「ツッコ~、今度は異世界最悪の、く」ボッケは寝転がったまま、天井に向かって呟いた。
「くそめんどくせぇよ..って。しりとりも、もう飽きたよ」ツッコも同じように寝転がりながら、虚ろな目で答える。
2人はもちろん、3人でできるゲームの、しりとり、じゃんけん、あっち向いてホイ、果ては数え歌まで、思いつく遊びは、もう何回やったか数え切れないほどだ。何しろ現代では当たり前だったPCもTVもない、この異世界での暇さ加減は、彼らの想像をはるかに超えていた。する事がないので早寝早起きになるのも皮肉が効いていた。
隣の部屋ではゴミはなく、そこそこ整頓されていたが同じ淀んだ空気が漂っていた。
「YO! わーたしは異世界ラッパ~ パッパラパ~ パ~ン パ~ン パン食べたいYO」 アマリはベッドに寝て小さな独り言を呟いていた。
趣味だった音楽もゲームもない。彼女もまた、ただゴロゴロするだけの生活に、精神を蝕まれていた。
そして半月が経ち当番制で食事を用意していたツッコが、固形栄養食が残り10日分しか無いことに気づいた。
「異世界でも死ぬのか?しかも餓死かよ」ツッコの顔は絶望に染まった。
ツッコの不安は膨れ上がり全員を台所に集めた。
「もう食料がほぼねえ!これ以上先延ばしは餓死だぞ!死にたくねぇだろ!対策立てるぞ!」
「あの不味い固形栄養食も、もうないの!?」ボッケが間の抜けた声で問う。
「あと10日持つかどうかだ。何も考えずに食うからそうなったんだよ!」ツッコがすかさず返す。
「ツッコも食ってたじゃん!」ボッケが反論する。
「なんだよ!」二人の声が重なる。 二人は顔を向き合わせ、喧嘩漫才のように言い争い始めた。
「いつかの漫才そうだったな、考えなしで文句言って、失敗したよな!」ツッコが吐き捨てるように言う。
「なんだよツッコだって、忘れて勝手に話、変えた時あったじゃん!」ボッケも負けじと返す。
「忘れて変えたのはお前の方が多いだろ!」 「数の問題じゃないよ!」 「この自己中ボケやろう!」 「なんだよツッコもだろ!」
険悪な雰囲気に、アマリは勇気を振り絞って声を出した。
「やめてよ!お兄ちゃんたち、仲良くしてよ!」
二人は驚いて口を閉じ、顔を見合わせ苦笑した。やがて気まずそうに、しかし素直に謝った。
「ちょっと待ってて」アマリは、以前見つけた分厚い本を持ってくると、地図のページを開いた。
「お兄ちゃんたち、この地図……」
「ここ……近くに街があるみたい。仕事できるんじゃないの?」
暇を持て余していた時に、全員がその本を大体は読んでその街を知っていた。ただ現実逃避のために、その情報を真剣に受け止めていなかっただけだった。この時アマリが、それを持ってきたことにボッケは無意識だが少し嬉しそうだったが気づいたものはいなかった。
「やっぱ、そうだよな……それしかないよな」ツッコは頭をかきながら、ようやく観念したように呟いた。
「オールドゼニスって書いてあるね! 昔はすごい栄えてたらしいけど、今は結構寂れてるんだって。なんかうちの街のシャッター街に似てるのかな?」ボッケはいつも通り呑気だった。
「流石にシャッターはねえだろ!お前の口にもシャッター下ろそっか?」ツッコは呆れたように返した。
「もう!そんなことはどうでもいいでしょ!」アマリが間髪入れずにツッコんだ。
ツッコとボッケは苦笑したのち、
「じゃあ、明日出発しよう!ツッコ頑張ってね!」ボッケが急に元気になる。
「お前も一緒にくんだよ阿呆!」ツッコがすかさずツッコミを入れる。
「一人は嫌だから、私も一緒に行く!」アマリも力強く弱気な宣言した。
こうして、全員の意見がおそらく一致したところで、しょうがなく引きこもりから卒業することになった。