第十一話:揺るぎない意志
反乱者たちの拠点での戦闘は激しさを増していた。ケイ率いる反乱者たちは、統合機構のシステムを掌握するため、中央制御室を狙っている。その一方で、マイケルとアリスは、反乱を阻止するための鍵となるデータを確保し、反乱者たちの計画を公にする準備を進めていた。
「アリス、システムの接続はどうだ?」
マイケルは銃撃戦の中、遮蔽物の後ろから問いかける。
「あと少し!」
アリスは急いで端末を操作しながら答える。
「でも、このセキュリティを突破するのは想像以上に難しい。時間が必要だわ。」
「了解だ。俺が時間を稼ぐ!」
マイケルは銃を構え、迫りくる敵を抑え込むように応戦する。その目は疲れを感じさせない鋭い光を放っていた。
制御室の奥では、ケイが高台に立ち、冷ややかな視線でマイケルを見下ろしていた。
「マイケル、お前は本当に分かっていないな。人間と無人機が共存できると思っているその考えが、すでに誤りなんだ。」
ケイの声は冷徹で、しかしどこか悲しみを帯びている。
「お前がどう思おうと、俺たちは諦めない。」
マイケルはケイに視線を向けたまま言い放つ。「共存の未来を信じている人々がいる限り、俺たちは戦い続ける!」
ケイは短く笑った。
「その信念が、全てを滅ぼすかもしれないというのに。」
ケイは手をかざすと、周囲に無人機の小型ドローンが一斉に出現し、マイケルたちに襲いかかる。それを見たマイケルはすかさず反応し、持っていた電磁パルスグレネードを投げ込む。ドローンの群れは瞬く間に機能を停止した。
「ケイ、これ以上の無意味な戦いはやめろ!」
マイケルは叫んだ。
「お前だって、分かっているはずだ。こんなやり方で未来を変えることはできない!」
ケイの顔に一瞬迷いの色が浮かんだが、それをすぐに冷徹な表情で隠した。「マイケル、お前の理想は美しい。だが、それが現実になる日は永遠に来ない。」
その時、アリスの声が響いた。
「マイケル!システムの制御を取り戻したわ!」
アリスは端末を使い、統合機構のネットワークに接続。反乱者たちが操作していた侵入プログラムを逆転させ、彼らの計画を阻止した。さらに、反乱者たちの不正行為や陰謀を証明するデータを全システムに公開することに成功する。
「これで、反乱者たちの計画は終わりだ!」
マイケルは安堵の表情を浮かべた。
しかしその瞬間、ケイが最後の切り札を発動させた。彼が操る巨大な戦闘ドローンが起動し、制御室を破壊し始めたのだ。爆発の衝撃でマイケルとアリスは吹き飛ばされる。
「くそっ…ケイ!」
マイケルは立ち上がり、戦闘ドローンに立ち向かう。アリスも懸命に援護を続けるが、ドローンの火力は圧倒的だった。
「マイケル、私がここを引き受ける!あなたは逃げて!」
アリスが叫ぶ。
「そんなことできるか!」
マイケルは迷わずアリスをかばい、ドローンの攻撃を防ぎながら最後のグレネードを使って、戦闘ドローンの機能を停止させた。
しかし、その攻撃の余波でマイケルとケイはともに瓦礫の下に埋もれてしまう。アリスは必死にマイケルを助け出そうとするが、周囲の崩壊が進む中でそれは困難を極めた。
瓦礫の中で意識を失う寸前、マイケルはケイに向かって言葉を投げかけた。
「ケイ…俺たちはまだ終わっていない。未来は、俺たち全員でつくるんだ…。」
その言葉を聞いたケイの表情には、わずかながら悔恨の色が浮かんでいた。そして二人の姿は、崩れ落ちる瓦礫に飲み込まれていった。
制御室から脱出したアリスは、マイケルの意思を胸に、残された仲間たちと共に次の戦いに備えることを誓った。
「マイケル…あなたの信念は、私たちが引き継ぐ。」
崩壊した制御室を背に、彼女は涙を拭いながら歩き出した。新たな共存の未来を目指して。