第十話:運命の選択
マイケルとアリスは、統合機構内での陰謀を暴くために動き出してから、ますます追い詰められた状況に置かれていた。裏切り者の存在が明らかになったことで、彼らはもはや単なる反乱者ではなく、未来を守るための決断を下さなければならなくなっていた。
「裏切り者のリストは…?」
アリスが冷静に尋ねる。
「まだ完全には把握できていない。」
マイケルは手にしていたデータ端末を見つめながら答えた。
「だが、少なくとも統合機構の上層部に確実にいることは分かっている。その中に私たちのかつての仲間も含まれている可能性が高い。」
アリスはため息をつき、顔をしかめた。
「そんな事実を知ってしまったら、私たちは一体どうすればいいの?」
マイケルはしばらく黙っていた。彼自身も答えを出せない。仲間だと思っていた者たちが裏切り者であることは、彼にとって最も苦しい現実だった。だが、彼には守るべきものがある。無人機との共存の未来を。
「私たちは、この状況を暴露する必要がある。」
マイケルが決断を下した。
「統合機構内の反乱者たちを暴き、無人機と人間の間に築こうとした信頼を守らなければならない。」
その時、彼らの通信端末に緊急のメッセージが入った。メッセージはメタリオンからだった。
「マイケル、大変なことが起きた。反乱者たちが動き出した。統合機構内での反乱は、すでに制御不可能な状態だ。君たちが今すぐ動かないと、無人機側も危機に陥ることになる。」
メタリオンの言葉を受け、マイケルはアリスと顔を見合わせた。時間がないことは明白だ。無人機の反乱者たちが、ついにその計画を実行に移したということだ。
「私たちは、統合機構のセキュリティを突破し、反乱者たちの計画を阻止しなければならない。」
マイケルは強い決意を込めて言った。
二人は、すぐに計画を実行に移す準備を始めた。まずは、無人機側の内部情報をもとに、反乱者たちが現在どこで集結しているのかを突き止める必要があった。そのために、マイケルとアリスは再び統合機構内に潜入し、セキュリティを突破する手段を探ることになった。
「これで最後だ。」
アリスが言った。
「私たちが成功すれば、この戦争を未然に防げる。でも、もし失敗すれば…」
「それでも、俺たちはやらなければならない。」
マイケルは毅然と答えた。
「もう後戻りはできない。」
二人は、統合機構内の秘密のルートを通り抜け、反乱者たちの拠点へと向かった。その途中、彼らはセキュリティの監視をかいくぐりながら、着実に目的地に近づいていった。
ついに、反乱者たちの拠点にたどり着いた。そこには、かつての仲間たちが集まっていた。マイケルの胸中には複雑な思いが渦巻いていた。彼らは、かつて一緒に戦った仲間だった。だが、今はその思いが裏切りに変わり、彼らの行動はマイケルにとって許しがたいものとなっていた。
「マイケル、大丈夫か?」
アリスが心配そうに声をかけた。
「問題ない。」
マイケルは無言で応え、反乱者たちの前に現れた。
「よく来たな、マイケル。」
反乱者のリーダーであるケイが、冷笑を浮かべて言った。
「君が来ることは分かっていた。」
「ケイ、お前が裏切っていたのか。」
マイケルの声は怒りで震えていた。
「どうしてそんなことをした?」
ケイは肩をすくめ、
「君たちの共存計画は失敗する運命だった。無人機が人間と共存することなんてあり得ない。」
「結局、無人機は人間を支配し、支配しなければならない。私たちはその時が来ることを待っていたんだ。」
と冷たく言い放った。
「お前のやり方じゃ、結局どちらも破滅するだけだ。」
マイケルは引き締まった表情で言った。
「共存する道があるなら、それを貫きたい。」
ケイはそれを嘲笑するように笑った。
「共存?そんなものは幻想だ。お前も、結局は無人機と戦うことになる。」
その言葉を最後に、反乱者たちとの戦いが始まった。激しい戦闘が繰り広げられ、マイケルは無人機たちとの戦闘に臨んだ。彼の心は、仲間だった者たちとの決別を告げることで痛みを感じていたが、それでも共存のために戦い抜く覚悟を持ち続けた。
その戦いの最中、アリスは反乱者たちの計画を暴くためのデータを手に入れ、マイケルに届けることに成功する。だが、それと同時に、無人機側からの支援もあり、戦局はついに一気に動き出すこととなった。
戦いの終息を迎えることは、まだ遠い未来のことだった。