7.憑りつかれたような目~後日談~
僕は骸機を操ってもろくなっていた子竜の体から降りたが、そこから記憶が無くなった。
気がついたのは救護艇のベッドの上で、意識はまだ朦朧としていた。夢うつつの中では、いまだベナトルとあの銀色の機体の完璧な骸機が空を飛行していた。そこで僕はあの骸機に一生懸命呼びかけるのだが、もう何も送ってはくれない。
慰めるように時々左眼が短い信号を捉える。それは、救護艇のドッグにいる骸機〈5〉からのものだ。この骸機を乗りこなせば、あの銀色の骸機にまた会えるだろうか。
隣りのベッドには、エマさん達に機械の四肢を解体されたキアンが横になっていた。僕を診察しながらエマさんが話してくれたが、キアンはカーゴをベナトルに突っ込ませるために機関室に侵入しようとしていたそうだ。四肢を外され動けなくなった時、キアンの全ての生命活動が止まった。辛うじてまだ心臓は動いているが、生命維持装置を外せばそれも止まる。この状態がウォンバル公の操作のためなのか、̪船橋が破壊された時の損傷によるものなのか分からないという。僕は前者だと思った。キアンが他の作業員も乗っている船を体当たりさせようなんて考えないというのが理由だ。
まだ安静が必要だからと、一人でお見舞いに来てくれたアーロンさんが軽く笑って「なんだか憑りつかれたような目をしている」と言った。
やっと出たかすれ声で「まだ本物の骸機はいる?」と尋ねると、「俺はまだ見たことはないが」と言って、一旦門を閉ざしたスゴンの城がこちらと連絡をとって早々に救護艇を送ってくれたのは、大陸中央の国からきた銀色の機械人の手引きだと教えてくれた。機械人は、キアンのような半機械人への”領主にあるまじき扱い方”と”城の非常事態用のエネルギー備蓄体制に問題あり”といってウォンバル公を拘束し、公をアップデートしてすぐ去ってしまった──という竜狩人ギルドからの連絡があったそうだ。ギルドもやって来た機械人とは直接会ってはいない。でも、新しいウォンバル公は無駄な感情のない、いい領主になったと評価しているとか。
「まずは体を治すことだな。それから、まずはサンドウィッチ係としてなら入隊を許可してやってもいい。お前の骸機もまだ改修が必要だしな」
世界の秘密を知る第一歩がサンドウィッチとは!──思わず口元がにやけてしまって、何個作れば自分の骸機に装甲をつけられるか、なんて考えていると、またまどろみの中へ吸い込まれていった。
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