第95話 因縁の対決 ジークvsドミニデス
95話と96話はジーク視点になります。
※ ジーク視点
「よし、橘の許可をもらえたし始めようぜ」
「あぁ、始めるとしよう」
俺とドミニデスは武器を構えてお互いに距離を取る。
太陽の恩寵は、トワさんのスキルによって発動できている。スキルの制限時間があると言っていたから早めに決着を着けなければならない。
早くドミニデスと決着を着けてルナたちを助けにいかなければ。
先に仕掛けたのは俺だった。
勝たないといけないプレッシャー、国を奪われた怒りと悲しみ、そして、自分自身の弱さへの苛立ち、強くならないといけないという焦りから、俺はドミニデスに八つ当たりをしたいだけかもしれない。
俺は槍を天高く放り投げ、背中から炎の翼を出現させ、滑空してドミニデスに近づきながらスキルを放つ。
「俺は負けない! 『太陽神の鉤爪』!」
両手から炎の爪を作り出して、相手を切り裂くことができるスキルだ。
クリティカル率が高いこのスキルは、クリティカルヒットすると、火属性限定だが、次に使用するスキルをクリティカルヒットさせる追加効果がある。
「新スキルか。いいねぇ! 『ラスティクロー』!」
そういうとドミニデスの武器は、錆色に変わり、お互いにスキル同士をぶつける。
俺は滑空を続けドミニデスに何度も攻撃を仕掛ける。
俺とドミニデスのスキルがぶつかり合うたびに、カキンッ! カキンッ! と甲高い音を鳴らす。
俺は空を飛び、空中に浮遊している槍をキャッチする。
槍を前に突き出し、高速で回転させーー
「はぁぁっあ! 『龍巻旋風』!」
横型の巨大な竜巻を発生させる。その竜巻はドミニデスの方向へと曲がる。
ドミニデスは臆せず走りだすと、スピードを殺さずに、竜巻の上を逆流するように上ってきた。
「おらおらぁ! 俺はこんな風なんかに負けねぇぞぉぉ!!!」
「なにっ!?」
俺は思わず声が出た。奴は根性だけで俺の所まで上り詰めたのだ。
「くらいな! 『ブレイククロー』!」
「ぐああぁっ! くっ! まだだ! 俺は負けない! 『太陽神の一撃』!」
「おぉ……。いい根性だ! 『鋭裂爪』!」
俺は連続でアポロブローを打ち込むが、ドミニデスも負けじとスキルを使用してくる。
俺らの戦いはどんどん激しさを増す。
俺は空中で回し蹴りをするが、それをドミニデスは受け止めて、そのまま落下する。
地面に落ちる手前で俺を思いっきり叩きつけた。
ドミニデスは飛べるわけでいから、落ちる時がチャンスだと思っていたが、甘かったようだ。
ウォリアーは地上で行う接近戦が得意と聞いていたが、何故か奴は空中戦にも慣れている様だった。
ドミニデスの呼吸音などで接近してくるのが分かった。俺はすぐさま立ち上がり、『太陽神の咆哮』を放つ。
ドミニデスは手をクロスさせ、武器の鉤爪で風を切るように進む。
全然効いていないように見えるが、ちゃんとダメージはあるみたいだ。
「ガッハハハ! 楽しくなってきたぁ! 『山崩し』!」
大振りの攻撃を躱し俺は空を飛ぶ。その間に息を整える。
「ーー『アクセル』!」
俺はドミニデスの背後に回り、拳に炎を纏い腰辺りに重い一撃を打ち込んだ。
「ぐおっ!?」
俺はそのまま連続で殴り続けるが、ドミニデスもこちら側を向き、己の拳で殴りかかってきた。
「うぐっ!」
俺の顔面やボディに何度も何度も鋭い拳を打ち込んでくる。攻撃をする度に、受ける度に自分の体温が上昇しているのが分かる。
しかし、鋭い一撃に俺は思わず膝を崩してしまった。
俺が体勢を崩したのを見たドミニデスは挑発するかのような口で言ってくる。
「背後からの一撃は効いたぜ。だが俺の体勢を崩せるほどではない。
立てよ王子様。お前の守りたいものはこれくらいのことで守れるのか?」
「はぁ……はぁ。わ、分かった風な口をきくな! そんなこと俺が一番分かっている!」
「お前は恩寵を上手く扱えていると思っているのか?」
「どういう意味だ? 俺は前とは違ってコントロールできるようになった!」
「コントロール? ふんっ。知らないようだから教えてやろう。ーーお前の恩寵は……未完成だ」
「なっ!? 未完成だと! お前に何が分かる!」
(しかし、恩寵を発動させても勝てないのか……。いや、弱気になってはいけない。俺一人で勝つと決めたんだ! 俺は……勝ちたい!!)
《勝ちたいか?》
(あぁ、勝ちたいさ)
どこからか、そんな声が聞こえてきた。俺は無意識のうちに答えていた。
《力が……欲しいか?》
(欲しい! みんなを守れるくらいの強さを!)
俺は不思議な声と心の中で会話していた。その声の持ち主は誰かは知らないが、とても低い声だった。
《ならば、くれてやろう。そして勝たせてやる。だが、代償は払ってもらう》
(代償?)
《お前の体をもらう》
(断る!!!)
《ふん。面白いやつだ。ならば耐えてみよ、我が力を!》
言い終えると同時に突然、俺の体が燃え始めた。




