第78話 ハニポンの願い
ジークさんとの訓練を終えると、僕はハニポンに色々とダメだしを受けていた。
僕が、「弱い相手?」と聞くと、ハニポンはこう答えた。
「うん。最初の対戦相手のガタイの良かった、おいちゃんわぁ。見た目は強そうだけどぉ、ステータスも、パッシブスキルも、装備もバラバラぁ。
他の人もぉ、初心者丸出しの魔法使いやぁ、右も左も分かっていない、アーチャーとかだったでしょぉ?」
「まあ、確かにそうだね。ナイトで魔法攻撃を上げる装飾品とか装備してたし」
「別にその人たちの、それが悪いとは言わないよぉ? 人それぞれだろうしぃ、ゲーム初心者あるあるだから仕方ないしぃ。これから勉強して覚えていけばいいと思うしぃ?」
「そうだね。それでなんでわざわざ、僕のために弱い相手を選んでたのさ?」
「簡単な話ぃ。あーしはあんたの傲慢で甘えた考えを、改めさせるためにだよぉ!」
「傲慢で甘えた考え? どういうこと?」
「あんたは、最初は相手のレベルとか確認して戦っていたっぽいけどさぁ、挑んでくる相手に勝ち続けるうちにぃ。だんだんと調子に乗ってきてぇ? 何も確認せずにぃ? 僕はギルドのみんなのために、ギルドマスターとして強くなりたいぃ? 自分はスキルを使わなくても勝てたぁ?
そう言ってた割には、本当に強い相手に何もできず、恥を晒して敗北ぅ? ただの甘えだし、ナメプじゃーん」
ハニポンの言う通り、戦っているうちに相手の情報は見ることはなかったし、ジークさんにも敗北した。
けど、別に傲慢になってた訳でもないし、ナメプをしていた訳でもない。僕はただ今できることをやっているだけだ! と、言いたかったが、何も言い返せなかった。
今の僕は、周りからそう見られていても仕方ない。
「で、でも、強くなりたい気持ちは誰にも負けない!」
「ほんとにぃ? あーしからしたら、口だけに見えるんですけどぉ? そんな戦い方をするんだったら、あんた、頭はいいらしいから、サポートに回ればぁ?
あの、ジークって王子の方が本気で強くなりたいんだなって伝わったよぉ? 恩寵ってのを制御できるほどに強くなったんだと思うしぃ、あの全力の姿勢。いいわぁ」
「頭はいいらしいって僕の何を知っているのさ!」
「んーー。まっいっか。えっとねぇ。最初に、ログインする時に、入力したシリアルコードあったっしょ?
あれは、旧エタドリのサーバーのキャラ情報とリンクしてるの」
「事前登録のやつだっけ? あれがゲームの時のエタドリのキャラデータと繋がっているってこと?」
「そうそう。あのコードには、旧サーバーのキャラクターデータの情報が紐付けされているのぉ。
だからシリアルコードを入力した時点で、その人が前にどんな、職業で、どんな装備を、どれくらいのステータスをしていたかとか、色々分かるわけよぉ」
あのシリアルコードにそんな意味があったのか。
何も知らずに打っていたよ。
「なるほど。なら、僕の旧エタドリのステータスとかバレてるってことか……」
「バレバレのバレーボールよぉ。あんたは表向きは、『魔石騎士』で、本気の時は、『乗獣騎士』でしょぉ?
ストーリも早い段階でクリアしていて、レジェンド装備もかなり所持してたわねぇ」
「そうだねぇ。まあいいさ。それで? 僕に何をさせたいのさ?」
「本当に、ギルドマスターとして強くなりたいんだったらぁ、ちゃんとやれってことよぉ。ヒロピーを泣かせるような事をしたら許さないからねぇ!」
「やってるよぉ。僕はただ、上級職になってたくさんスキルを取るつもりだったし。それで、ヒロピーってヒロさんのこと?」
「うん! ヒロピーとあーしはズッ友だから!
あーしはあんたに、みんなを守れるくらい強くなって欲しい訳ぇ。
見ていて、身体能力はいいってのは分かったしさぁ」
ハニポンはずっと僕を試してたのか。そこまでバレていたとは思わなかったけど。
強くなりたいって気持ちに偽りはない。スキルポイントが勿体ないと思って、必要な時にしか、スキルを取っていなかったけど、そんな古い考えは捨てないといけないな。
「そっか。分かったよ。色々ごめん。考えを改めるよ。各職業のクラスアップもして、スキルもちゃんと取っていくよ」
「分かればよろしぃ! あーしがサポートできるとこはしてあげるから、あんたはみんなのために強くなりなさいな」
「ハニポン……意外と優しいんだね」
「意外は余計よ!」
これまでのことを深く反省した僕は、ハニポンと一緒に、ジークさんたちと合流。
また僕が強くなったら、訓練をしようと約束をして解散した。
その日の夜。
ゲームパッドを確認すると、一通のメッセージが届いていた。
橘さんからだ。確認してみると、
『やぁ、橘だよ。知っての通り、ギルド対抗戦・本戦の開催が決まったみたいだね。僕との約束は、本戦で叶えてもらうとするよ。トワ君たちの本気を楽しみにしている。では、決勝戦で会おう』
お知らせを見てなかったから知らなかった……。
お知らせには、約三週間後に開催されるみたいだ。
それまでに訓練を重ねていこうと思う。
橘さんに返事を返して眠りについた。
ブックマークや評価はとても励みに、モチベUPに繋がっております♪
よろしければ、ブクマや評価をお願いしますm(_ _)m




